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【海外ニュース】注目の映画スタジオA24の新作ホラー『X(原題)』の予告編・ポスターが解禁!

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ユニークかつハイクオリティな作品の製作・配給でじわじわと知名度を上げてきたA24。2017年のアカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞した『ムーンライト』などの賞レース向きの作品だけでなく、『ハリー・ポッター』シリーズで知られるダニエル・ラドクリフが万能の死体役を演じた『スイス・アーミー・マン』のような実にヘンテコな作品も手がける、なかなか底の知れない映画スタジオだ。作品選びのセンスの良さと先見の明はホラーの領域でも発揮されている。『クイーンズ・ギャンビット』などに出演している若手トップスターのアニャ・テイラー=ジョイの初主演作『ウィッチ』を配給し、今最も注目されていると言っても過言ではない若手監督アリ・アスターのデビュー作『ヘレディタリー/継承』を製作・配給。ホラーにおいても普通とは一味違うものを提供してきたA24がこの度、まさに「ザ・ホラー」とも言えるような一見ありがちな新作を発表した。その名も『X』。

あらすじは、「ポルノ映画撮影のためにテキサスの田舎町を訪れたクルーたちが、滞在場所を提供してくれた老人夫婦に命を脅かされる」といったものだ。オーソドックスなホラー映画では、よく田舎町を舞台にして惨劇が起こる。恐怖の対象が老人というのも、M・ナイト・シャマランの『ヴィジット』など数多くの作品がすでに存在している。予告編では、特に老婆がただならぬ気配を醸し出しており、寝ているクルーの寝室に入り込むなど不審な動きを見せている。夫の方は「妻は体調が優れなくてね」などと言っているが、どうもそれだけではなさそうだ。監督は、『サクラメント 死の楽園』や『バレー・オブ・バイオレンス』のタイ・ウェスト。元々は「マンブルコア」畑の人間である。マンブルコアとは、2000年代に多く作られた、発音が不明瞭でモゴモゴ言っているよう(マンブル)なリアルな会話を取り入れ、身の回りの小さな人間関係をテーマにした低予算の自主制作映画群のことだ。だが、侮ってはいけない。何と、ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)で作品賞と主演女優賞を受賞した『レディ・バード』(そしてA24配給)のグレタ・ガーウィグや、昨年大きな話題となった超大作『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガードもマンブルコア出身の映画監督なのだ!

タイ・ウェストの『バレー・オブ・バイオレンス』にはイーサン・ホークやジョン・トラボルタの他、最近の『ジュマンジ』シリーズや『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のネビュラ役で印象的だったカレン・ギランなど、そうそうたるキャストが出演している。『X』の方には、『ピッチ・パーフェクト』のブリタニー・スノウや、リメイク版『サスペリア』のミア・ゴスなどが出演。特にミア・ゴスは、いつも奇怪な雰囲気をまとった独特な女優だ。予告編の冒頭で「君にはXファクター(特別な“何か”)があるね」と言われているのが彼女だが、ストーリー上でも予測不能な化学変化を起こすことが期待される。「X」と聞いて思い出すのは、昨年公開された邦画『聖地X』だ。同作は2021年を代表する摩訶不思議な作品だった。ならば、『X』の方もきっと…、タイ・ウェストが“何者なのか”を新たに規定する一作となるだろう。

 

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