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映画『Michael/マイケル』を何倍も深く味わうための”おすすめ”予習映画&動画3選

文:武内三穂(株式会社TSトーキョー)

“キング・オブ・ポップ”と呼ばれ、今もなお多くの人々に愛されるマイケル・ジャクソンの半生を描く『Michael/マイケル』が、6月12日より全国公開される。マイケル・ジャクソンを伝説と呼ぶにふさわしい記録は、数々残っている。レコードは全世界で10億枚以上売れ、13のグラミー賞を受賞、ギネス記録は30を超える。さらに、ムーンウォークをはじめ、比類なきダンスの才能でも世界中を魅了した。『Michael/マイケル』には、マイケルが兄弟と共にジャクソン5で活躍していた頃から、ソロアーティストとしてさらに大きく飛躍するまでの軌跡が描かれている。たとえ、マイケルをよく知らないままに本作を観ても充分に楽しめる一方で、予習をしていると何倍も楽しめる。そこで、本特集では、予習にオススメの3作品を紹介する。

他に類を見ない超スーパースター、マイケル・ジャクソンの偉業を振り返る3作品
【1】『マイケル・ジャクソン:ポップ・プロフィール』
【2】ミュージックビデオ『スリラー』
【3】『狼男アメリカン』

マイケルの楽曲は曲名を知らずとも、耳にすれば誰でもマイケル・ジャクソンの楽曲だとわかるものが多い。音楽に疎い筆者でも、『Michael/マイケル』に出てくる楽曲を聴いて、これほど自分が知っている楽曲があるとは驚いたほどである。そして、マイケルの楽曲はただ大ヒットしただけではない。その背景には、音楽界に多大な変化をもたらしただけにとどまらない、社会現象といえるほどのドラマがある。

 

【1】『マイケル・ジャクソン:ポップ・プロフィール』
デジタル配信中/約21分

マイケル・ジャクソンの楽曲を一気に振り返ることができる、約21分にまとめられたドキュメンタリー。複数の音楽専門家が音楽史を踏まえて、マイケル・ジャクソンの楽曲の中でも、印象に残る楽曲を挙げ、順に紹介している。序盤には、子どもの頃のマイケル・ジャクソンの写真なども映し出される。子どもの頃やティンエイジャーの頃のマイケルの写真を見た上で、『Michael/マイケル』を観ると、青年期のマイケルを演じたジャファー・ジャクソン(マイケルの実の甥)や、子どもの頃のマイケルを演じたジュリアーノ・クルー・ヴァルディの憑依ぶりにも驚かされるであろう。本作でマイケルに関する基礎知識も入れられるので、『Michael/マイケル』でさらに背景を知ると、一層おもしろみが増す。

映画『Michael/マイケル』より

映画『Michael/マイケル』より

 

【2】ミュージックビデオ『スリラー』
YouTubeにて配信中/約14分
リンク先:https://www.youtube.com/watch?v=sOnqjkJTMaA

マイケル・ジャクソンを語る上で外すことができない楽曲の1つが「スリラー」である。マイケル・ジャクソンのアーティスト公式YouTubeチャンネルでの再生数は2026/05/18現在で、約11億5千万回と驚異的な数字を示している。このミュージックビデオの尺は約14分あり、ドラマ仕立てとなっていて、短編映画といっても過言ではない。マイケル自身もショートフィルムと呼ばせていたようだ。そして、発表当時は、映画さながらのプレミア上映が行われただけでなく、米国議会図書館の国立フィルム登録簿に登録された、最初で唯一のミュージックビデオとされている(映画公式資料)。ヴィンセント・プライスの渋い声が印象的なラップ(ナレーション)も、独特な世界観を生み出し、1度観れば忘れられないミュージックビデオとなっている。

映画ファンは特にエンドロールまで楽しめる。製作は、マイケル・ジャクソンと、ジョン・ランディス、ジョージ・フォルシー・Jr.、脚本は、マイケル・ジャクソンとジョン・ランディス、特殊メイクはリック・ベイカーとEFX社、Scary Musicはエルマー・バースタイン、といった映画人が名を連ねている。このミュージックビデオは、監督を務めたジョン・ランディスの1981年の映画『狼男アメリカン』が元ネタとされており、同作のスタッフが『スリラー』を手掛けている。

『Michael/マイケル』でも、『スリラー』の撮影秘話が盛り込まれている。そのシーンでは、マイケルのエンターテイナーとしてのこだわりと、子どもの頃から母と多くの映画を観てきたセンスが感じられる。『Michael/マイケル』においてこのシーンは、偉大な振付師マイケル・ピータースにオマージュを捧げる意味でも特別なシーンであったという(映画公式資料)。

また、『スリラー』をはじめ、当時のマイケルのミュージックビデオは、音楽番組の常識を変えた。『Michael/マイケル』では、MTVのルール、ひいては人種の壁を壊したといえる逸話が描かれている。

映画『Michael/マイケル』より

 

【3】『狼男アメリカン』
ブルーレイ&DVDレンタル&発売中/約98分
R-18
監督・脚本:ジョン・ランディス
製作:ジョージ・フォルシー・Jr.
特殊メイク:リック・ベイカー
音楽:エルマー・バースタイン
出演:デヴィッド・ノートン、グリフィン・ダン、ジェニー・アガター、ジョン・ウッドヴァイン

『スリラー』の元ネタとなる本作も、『スリラー』に負けず劣らず、ドラマチックな背景を持つ作品である。1969年、当時18歳だったジョン・ランディス監督が本作の脚本を初めて書いた時、恐怖と笑いは両立しないといわれ、それから11年以上経ち、ようやく1981年に映画化され、日の目を浴びた。1981年に完成した『狼男アメリカン』には、恐怖と笑いの両方があり、強烈な描写もある一方で、軽快な笑いを誘うシーンもある。ランディス監督とタッグを組むリック・ベイカーの特殊メイクも、カルトムービーとして『狼男アメリカン』が映画史で語り継がれる一因となっている。その証拠にベイカーは『狼男アメリカン』で、1982年に米アカデミー賞(第54回)に新設されたメイクアップ部門で受賞している。

『スリラー』を観ると、現実と夢の境界が曖昧だったり、狼男に加えてゾンビの群れが登場したり、奇想天外な描写が目を惹く。また、ダークな世界観であるにもかかわらず、良い意味でどこか混沌としていて笑いを誘う。『狼男アメリカン』を観ると、『スリラー』の設定や世界観は、想像以上に、元ネタの『狼男アメリカン』に忠実に作られているとわかる。『狼男アメリカン』のブルーレイに合わせて収録されているドキュメンタリーを観ると、「なぜ、狼男とゾンビ?」「なぜ、現実と夢が交錯してる?」という純粋な疑問に対する答えもある。

 

【1】【2】【3】は順番を変えて観ても、異なる印象で楽しめるだろう。『Michael/マイケル』を観るまでの間、この3作品を観たり、楽曲を一通りおさらいして備えよう。

 

『Michael/マイケル』
6月12日(金)より全国公開

監督:アントワン・フークア
出演:ジャファー・ジャクソン、ジュリアーノ・クルー・ヴァルディ、コールマン・ドミンゴ、ニア・ロング、ケンドリック・サンプソン、マイルズ・テラー、ローラ・ハリアー、ケイリン・ダレル・ジョーンズ
配給:キノフィルムズ
公式HP:https://www.michael-movie.jp

【ストーリー】
圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、アーティストの枠を超え、全世界的なアイコンとなった“キング・オブ・ポップ”=マイケル・ジャクソン。
彼は幼いころから兄弟と共に歌い続けていた。製鉄所で働く父・ジョセフは野心家で、「人生は勝つか負けるかだ」と言い放ち、息子たちに厳しいレッスンを課し、兄弟グループ“ジャクソン5”としてデビューさせた。
彼らをみた聴衆は誰しもマイケルの圧倒的な歌声に酔いしれた。評判は広まり、ステージからステージへ人気は急上昇、モータウン・レコードと契約し、スターダムを駆け上がっていく。しかし、喝采の裏で彼はまだ一人の少年だった。孤独と重圧の中、唯一無条件の愛で支え続けたのが母・キャサリンだった。
やがて青年となったマイケルに運命の出会いが訪れる。音楽史にその名を刻む名プロデューサー、クインシー・ジョーンズ。彼との出会いによってマイケルはグループの枠を超え、ソロアーティストとして前人未踏の音楽的創造性を爆発させていく。『オフ・ザ・ウォール』『スリラー』、歴史的メガヒットアルバムと名曲の数々を生み出し、全世界の寵児となっていくマイケル。
しかし、その栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感、強権的な父親の呪縛、家族への愛と自分の中に溢れるビジョンとの間で葛藤する一人の人間の姿があった…
そして今、音楽史を塗り替える存在——“キング・オブ・ポップ”伝説誕生の瞬間へ。

Glen Wilson / Courtesy of Lionsgate