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【第97回アカデミー賞】名作だらけ!アカデミー賞候補者たちの「とにかくこの映画観て!!」4選!

日本時間3月3日に行われる第97回アカデミー賞授賞式。先日、そのノミネートが発表されましたが、今回は演技4部門で候補入りした名優たちの過去作から、

とにかくこの映画は絶対観て!という作品を、映画祭ウォッチャー大西Dの独断と偏見でおススメします!

文:大西D(ヒカセン兼業ライター)

 

【主演男優賞】部門
エイドリアン・ブロディ『戦場のピアニスト』

今でも破られない最年少受賞記録
ホロコーストを生き延びてアメリカに渡った建築家を演じた主演男優賞に候補入りしたエイドリアン・ブロディ。

これが『戦場のピアニスト』以来、実に22年ぶり2回目の候補入りとなりました。

ロマン・ポランスキーが監督し、彼自身もアカデミー賞監督賞を受賞した同作で、エイドリアン・ブロディはユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンを演じて、アカデミー賞主演男優賞を受賞。当時29歳での受賞は、今でも破られていない同部門の最年少受賞記録です。

ピアニストとして素晴らしい才を持ちながらも、戦争とホロコーストという残酷な時代の中で生きるシュピルマンの演技は世界中で評価され、日本でも同作は興収34億円という大ヒットを記録しました。また、授賞式当時はイラク戦争が始まっていたこともあり、映画を通して戦争の悲惨さを体験したブロディのスピーチは、今でもアカデミー賞の歴史に残る名場面でしょう。もっとも、スピーチ前のハル・ベリーとのディープキスの方が有名かもしれないけど・・・

『戦場のピアニスト』
劇場公開日:2003年2月15日(日本初公開)
配給:アミューズピクチャーズ

出演者:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン

監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロナルド・ハーウッド、ロマン・ポランスキー
音楽:ヴォイチェフ・キラール
撮影:パヴェル・エデルマン
編集:エルヴェ・ド・リューズ

 

【主演女優賞】部門
デミ・ムーア『ゴースト/ニューヨークの幻』

今でも愛されるロマンス映画のヒロインが・・・
年齢を理由に仕事を失ったかつてのスターが、クローン技術に手を出して、美と若さに固執して破滅していく様を描いた『サブスタンス』で、その主演を務めたデミ・ムーアが、アカデミー賞主演女優賞に候補入りしました。

少し前であれば彼女がアカデミー賞に候補入りするなど考えられもしなかっと思います。そんな彼女の代表作と言えば何と言っても『ゴースト/ニューヨークの幻』。今でもロマンス映画の金字塔の1本として、世代を超えて多くの人に愛される同作でヒロインを演じたことで、デミ・ムーアは有名になりました。

日本でも大ヒットし、興収61億円を記録。映画を観たことが無くてもあの名曲、ライチャス・ブラザースの「アンチェインド・メロディ」はどこかで耳にしているはず。あれから35年、還暦を超えたデミ・ムーアが、美と若さに執着するスターを怪演し、オスカーに挑む!

『ゴースト/ニューヨークの幻』
劇場公開日:1990年9月28日
配給:UIP

出演者:カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーン

監督:ジェリー・ザッカー
脚本:ブルース・ジョエル・ルービン
音楽:モーリス・ジャール
主題歌:ライチャス・ブラザーズ「アンチェインド・メロディ」

 

【助演男優賞】部門
エドワード・ノートン『ファイト・クラブ』

多くの映画ファンに今でも愛される大傑作
あのボブ・ディランの若き日を描いた映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』で、フォーク歌手であるピート・シーガーを演じて4度目のアカデミー賞候補入りを果たしたのがエドワード・ノートンです。

そんな彼の代表作と言えば何を思い浮かべるだろうか。『アメリカン・ヒストリーX』、『レッドドラゴン』など、数多くの秀作に出演していますが、特に映画ファンに愛されているのはやはり『ファイト・クラブ』でしょう。ブラッド・ピット、デヴィッド・フィンチャーという『セブン』のコンビが手掛けた同作で、エドワード・ノートンは主人公である「僕」を演じました。同作は日本でも興収19億円の大ヒットを記録しました。

思えばエドワード・ノートンは、いつオスカーを受賞してもおかしくない程の名演技を常に披露してきました。彼ほどの俳優が、これまでのキャリアでノミネートが4回というのは少なすぎではないですか?

『ファイト・クラブ』
劇場公開日:1999年12月11日
配給:20世紀フォックス映画

出演者:エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーター

監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ジム・ウールス
音楽:ザ・ダスト・ブラザーズ
主題歌:ピクシーズ「Where is My Mind?」

 

【助演女優賞】部門
イザベラ・ロッセリーニ『ブルーベルベット』

映画界屈指のサラブレットが衝撃的な姿に・・・
これまで賞レースとは縁がなかったイザベラ・ロッセリーニが『教皇選挙』で遂に候補入りを果たしました。同作で彼女は、枢機卿たちの宿泊施設の運営責任者を演じた。そんな彼女の代表作はやはり『ブルーベルベット』ではないでしょうか。

つい先日亡くなられたデヴィッド・リンチ監督作品で、彼女は倒錯的な性行為を体当たりで演じて、映画自体もかなり物議をかもしました。倒錯的な性行為を強要される一方で、その性行為にマゾヒスティック快感を覚え、泥沼から抜け出せなくなってしまう。実はこの映画、公開当時は評判が悪く、「自分のせいで尊敬するデヴィッド・リンチに迷惑をかけた」とかなり落ち込んだそうです。それまでモデルとして活動していたのに、この映画でいきなり汚れ役を演じて、モデルの仕事を続けられなくなったことでも、かなり悩んでいたようです。

イザベラ・ロッセリーニと言えばネオ・レアリズモ巨匠、ロベルト・ロッセリーニと、スウェーデンが誇る世界的名女優イングリッド・バーグマンの娘という、映画の歴史の中でもこれ以上ないほどの「サラブレット」。72歳にして掴んだ初のオスカーノミネーション、母イングリッド・バーグマンのファンである私は、彼女の候補入りが一番嬉しかったのはここだけの話し。

『ブルーベルベット』
劇場公開日:2025年2月7日
配給:鈴正、weber CINEMA CLUB

出演者:カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーン

監督・脚本:デヴィッド・リンチ
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
撮影:フレデリック・エルムス

 

いかがだったでしょうか。

第97回アカデミー賞授賞式は、日本時間3月3日に行われます。今回も多くの巨匠や名優が候補入りを果たしましたが、今回候補入りした映画だけが凄かった、という人はほとんどいない。アカデミー賞というのは、過去のその人がどんな演技をしていたかを、改めて確認する機会をくれるし、中には初めて観る作品に出会うこともあるかもしれません。

そんな映画との出会いと再会を、アカデミー賞は映画ファンに与えてくれます。

だからアカデミー賞は面白い!

 

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