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『ミッシング』公開記念!我が子を奪われ、ぶっ壊れていく親たち。 魂を抉りに来る「我が子喪失サスペンス映画」特集

人間の“剥き出しの姿”を描き、常に観客を揺さぶり続ける、“人間描写の鬼”吉田恵輔監督。そして、独自の企画力で世に一石を投じる作品群を送り出してきたスターサンズ。両者が3度目のタッグを組み、一児の母となった石原さとみを主演に迎えて放つ衝撃作『ミッシング』が今週5/17(金)より公開されます。

『ミッシング』作中で最愛の娘を失い、“ぶっ壊れて”いく母親・沙緒里にちなんで、今回は“我が子を失い、いろんな意味でぶっ壊れていく親”を描いた「我が子喪失サスペンス映画」4作品をご紹介します!

文:紙巻き(肺が真っ黒)

 

巨匠イーストウッドが暴く、アメリカのやばい実話。
『チェンジリング』

クリント・イーストウッド監督がアンジェリーナ・ジョリーを主演に迎えたヒューマンサスペンス。舞台は1928年のロサンゼルス。シングルマザーのクリスティンは息子ウォルターを家に残して出勤しますが、その間に息子は行方不明に。5ヶ月後、警察から息子が見つかったとの連絡が入りますが、帰ってきたのは息子と全く別の子供でした。そこでLA市警に歯向かったクリスティンは、「息子が帰ってきたのに育児放棄する精神病の母親」として環境の劣悪な精神病棟に強制送還されてしまいます。

なんとも胸糞悪いお話ですが…、なんとこの作品、実話を基に描いたという衝撃作。当時のLA市警は腐敗しきっていて、保身のためにこうした非道な行為が横行していたようですね。ただこんなにも胸糞なストーリーを映画的に面白く魅力的に演出するのは流石のイーストウッド監督と言わざるを得ないです。彼の作品はどれも独特な間があって、鑑賞後の余韻というか、すごいもの観た…という感動に満ちていますね。

出演者:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ

監督:クリント・イーストウッド
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
製作:クリント・イーストウッド、ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ロバート・ロレンツ
製作総指揮:ティム・ムーア、ジム・ウィテカー
音楽:クリント・イーストウッド、クリスティン・ヤバラ
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・ローチ

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この映画、ひと事じゃない。
『プリズナーズ』

先日公開された『デューン 砂の惑星PART2』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。『メッセージ』『ブレードランナー2049』など、神秘的な映像美でSF映画の圧倒的な才能を見せつけるヴィルヌーヴ監督ですが、一方で『灼熱の魂』と本作『プリズナーズ』のようなサスペンス映画においては、まるで別人監督が撮ったような強烈で魂の煮えたぎるような悪魔的人間ドラマを描き出してくれます。

日本では誘拐事件というのはあまり馴染みがない気もしますが、アメリカでは日常的に起きる犯罪のようで…、『チェンジリング』同様、誘拐された子供を取り戻すために、警察をあてにせず、孤軍奮闘する親を描いています。娘を奪われた父親を演じるヒュー・ジャックマンの血気迫る演技がなんとも強烈。そしてキーポイントになるのが、誘拐容疑をかけられた、10歳程度の知能しかない精神障害の青年を演じるポール・ダノ。この青年を犯人だと確信したジャックマンは、法とモラルを犯して狂気のリンチに走ります。陰鬱な展開とヒュー・ジャックマンの狂気に引き込まれ、事件の真相に息を呑む、一級品のサスペンスです。

出演者:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ジレンホール、ヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロ、テレンス・ハワード、メリッサ・レオ、ポール・ダノ

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:アーロン・グジコウスキ
製作:ブロデリック・ジョンソン、キーラ・デイヴィス、アンドリュー・A・コソーヴ、アダム・コルブレナー
製作総指揮:エドワード・L・マクドネル、ジョン・H・スターク、ロビン・マイジンガー、マーク・ウォールバーグ、スティーヴン・レヴィンソン
音楽:ヨハン・ヨハンソン
撮影:ロジャー・A・ディーキンス
編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ

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愛する息子は殺人犯か、それとも被害者か?
『望み』

『十二人の死にたい子どもたち』『人魚の眠る家』の堤幸彦監督が、堤真一を主演に迎え、同名ベストセラー小説を映画化したサスペンス。今回の作品群の中でも一味違ったテイストの作品で、両親は子を奪われた単なる“被害者”とは言えない点がポイントです。

幸せな日々を送っていた両親と高校一年の息子、そして中学3年の娘のある家族。しかし突然、息子の規士が家に帰らず、音信不通に。やがて規士の友人が遺体で発見され、彼が殺人事件に関わっている可能性が高まります…。息子を守りたい母・貴代美は、たとえ規士が犯人であっても生きていてほしい、と祈る。息子を信じたい父・一登は、被害者であっても無実でいて欲しい、と願う。この微妙なスタンスの違いが、家族を引き裂いていきます。

家族が殺人犯かもしれない、生きているかわからない。そんな苦しみを抱いても救いの手は差し伸べられず、マスコミや世間の目は鋭く突き刺さる。こんな立場に陥った時、あなたなら何を“望み”ますか?

出演者:堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶、加藤雅也、市毛良枝、松田翔太、竜雷太

監督:堤幸彦
脚本:奥寺佐渡子
原作:雫井脩介
製作:二宮直彦、天馬少京、千綿英久、内山雅博
音楽:山内達哉
撮影:相馬大輔
編集:洲﨑千恵子

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観る者の価値観さえ変えてしまう吉田恵輔ワールド
『空白』

『ミッシング』の吉田恵輔監督×スターサンズが2度目のタッグで送り出した傑作ヒューマンサスペンス。スーパーでの万引きがバレた女子中学生は、店長から逃げて車道に飛び出し、車に轢かれて命を落としてしまいます。彼女の父親は店長の責任を追及し、マスコミや教師といった周囲の人間を巻き込んで憎悪をエスカレートさせていきます。

娘を失った喪失感と怒りから、モンスターと化した父になりきる古田新太の怪演の凄まじさにノックアウトされるのもよいですが、むしろ吉田恵輔作品の特異な点は、脇役キャラをはじめとするディテールの演出にあると思います。娘の学校教師やスーパーの店員、運転手に至るまで、事件に巻き込まれる全ての素朴なキャラクターが吉田恵輔の絶妙な心理描写によって魂を吹き込まれ、作品全体のリアリティを生み出しているのです。ここまでリアルな人間描写を見せつけられると、観ているこちら側の心の内を覗き込まれているような気がしてなりません。

出演者:古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子、寺島しのぶ

監督・脚本:吉田恵輔
製作:佐藤順子
製作総指揮:河村光庸
音楽:世武裕子
撮影:志田貴之
編集:下田悠
制作会社:スターサンズ

 

いかがだったでしょうか。

悲劇的だけれども心を掴まれてしまう、映画的魅力に満ちた作品たちを紹介しました。
今週末は『ミッシング』を観て思う存分、心を揺さぶられる映画鑑賞を愉しみたいと思います。

 

『ミッシング』
5月17日(金)全国公開

【ストーリー】
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。そんな中、娘の失踪時、沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。その先にある、光に———

【キャスト】
石原さとみ、青木崇高、森優作、有田麗未、小野花梨、小松和重、細川岳、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純、 中村倫也

【スタッフ】
監督・脚本:吉田恵輔
音楽:世武裕子
企画:河村光庸
プロデューサー:大瀧亮、長井龍、古賀奏一郎
撮影:志田貴之
製作幹事:WOWOW
企画:スターサンズ
制作プロダクション:SS工房
配給:ワーナー・ブラザース映画
©︎2024「missing」Film Partners

公式HP:missing-movie.jp
公式X:@kokoromissing
公式Instagram:@kokoromissing #ミッシング