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【終戦記念日特集】学校では教えてくれない戦争の本当がわかる映画たち⑥/何故原爆は落とされたか?(前編)カミカセ・ニッポンへの恐怖心『永遠の0』

8月。終戦記念日。

どうも日本人にとって戦争というのは、ある種のセンチメンタリズム(感傷主義)でしか語ってはいけない感じですよね。しかも、まず「もうしません」みたいな反省からはいる感じで気が重い。
高校の授業で20世紀の世界大戦を学ぶ時間もほとんどない。3学期のギリギリに複雑で政治的な匂いもある戦争なんて、先生もちょっと避けて通りたいのかもしれない。そうなると多くの日本人はテレビ番組のイメージで戦争を捉えてしまう。つまりセンチメンタリズムですね。焼野原の東京や広島・長崎の悲惨な姿や、アジアの国々の「被害者」からの怨嗟の声。

「戦争というのは嫌なものだなぁ」

つらいんで大体の人の思考はそこでストップしてしまいます。
それでいいんでしょうか?考えてみてください、これは特筆すべき人類の歴史です。戦争は政治も経済も社会も、人材も科学も一箇所に力を集中しますので、多くの先鋭的な結果を残します。インターネットや携帯、GPS、電子レンジなど現代を支配している文明が、図らずも戦争から生み出さたれたように、戦争の事実から学べることがもっとあるような気がします。
その中には「どうしたら戦争にならないか」も含まれていることでしょう。

今回は、終戦記念日企画として、「第二次世界大戦の真実」特別講義!
学校の授業、普通に接しているマスコミでは決して触れない角度から第二次世界大戦を解説!秘められた歴史の真実から、8月みるべき映画を特集してみます!

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

学校では教えてくれない戦争の本当がわかる映画たち⑥

何故原爆は落とされたか?(前編)
カミカセ・ニッポンへの恐怖心『永遠の0』

カミカゼ、イオウジマ、増幅する恐怖心~ヤルタ密約
1945年2月、ドイツの敗戦が決定的になったタイミングで戦後体制を話し合うヤルタ会談が行われました。ルーズベルト、チャーチル、スターリンがクリミア半島にある昔のロシア皇帝の別荘に集まったこの会議。既に冷戦は始まっていました。チャーチルは言います「ルーズベルト閣下、スターリンは東ヨーロッパをすべて共産化しようとしています。許しがたい行為だ」対するスターリンの意見はこうです「ルーズベルト閣下、我々は戦勝国です。大きな犠牲を払ってナチスドイツを東ヨーロッパから追い払った。何もないということはないでしょう」

アジアとヨーロッパで枢軸国をやっつけ世界を託されたルーズベルト大統領ですが、彼は重病人、高血圧で危険な状態でした。ルーズベルトは早く戦争を終わらせたかったはずです。ですが、チャーチルからの日本への無条件降伏を緩和すればという案に「日本人にそんなことをするのは無駄、付け上がるだけ」と固辞。一方、スターリンを別室に呼んで二人で話した内容は驚愕です。「東ヨーロッパはソ連の勢力圏にしていい。ドイツも東半分はもっていってください。そのかわりー」そこで話されたのがソ連の太平洋戦争への参戦要請でした。ルーズベルトはスターリンに日ソ中立条約を破らせ、戦争を終わらそうと思ったのです。

アメリカ人が建国以来現在に至るまで最も怖いと思った敵は間違いなく大日本帝国です。もはや制空権もなく、サイパンを落とされフィリピンを奪還され、沖縄を血に染めてという状況になればなるほど日本軍の抵抗は頑強で、白旗をあげるそぶりもみせず死ぬまで戦い続けます。特にカミカゼという体当たり攻撃と、徹底したゲリラ戦を挑んで全滅した硫黄島の戦いは、参戦していた米兵たちにとって悪夢で、「日本人を全員殺さないとこの戦争は終わらないのではないか?」という幻想を米国人全体に抱かせました。

だから、ルーズベルトは残虐なスターリン率いるソ連にも助けを求めた。スターリンは答えます「2つ条件があります。ひとつはドイツ降伏から体制を整えるのに3か月待ってほしい。もうひとつ、領土はもらいたい」ということで、日露戦争で失った南樺太ばかりか千島列島までソ連にくれてやるとルーズベルトは密約した。これは二国間の秘密協定です。余程、ルーズベルトは日本人を憎んでいたか、非文明人としてみていた節がありますね。彼の母親の家系はアヘン戦争時中国大陸で財を成した商人ですから中国には親近感があった分、日本人を毛嫌いしていたのかもしれません。在米の日本人は財産を凍結、(ドイツ人イタリア人にはやらなかった)収容所にいられてひどい扱いを受けたのは有名な話です。人種差別というべきでしょう。

このコラムのどこかで、ヒトラーとスターリンが自分の国でもなんでもないポーランドを半分ずつ分け合おうという秘密協定を結んだのを指して「帝国主義の時代のジャイアン的思考」と書きましたが、まさにソ連とアメリカがやっていて、相手は日本なわけです。これこそが北方領土問題の原点だし、その前のカイロ会談では尖閣諸島問題の発端もあります。これは過去の話ではなく現在進行形の話、戦後秩序は未だに(不合理に)連合国が握っているという事を我々は忘れてはいけません。

『永遠の0』とハリウッド・カミカゼ映画
アメリカにトラウマ級の恐怖を与えた「カミカゼ」を映画いた作品としては『永遠の0』があります。これは現代の若者が、特攻でなくなった自分の祖父がどういう人間だったのか?当時の生き証人たちの話を聞きながら、その実像に迫っていくという、ミステリーと人間ドラマ、現代と戦争末期が混然一体となった傑作ですが、あのラスト、海面スレスレに飛んで、直前で反転急上昇から空母に特攻するやり方はドキドキしました。創造の産物ではないリアルが宿ってますが、モデルがいたようです。戦争末期、空母エンタープライズに特攻したゼロ戦パイロット冨安俊助中尉がそれで、最後背面飛行から前部甲板に垂直突入。空母エンタープライズは大破、航行不能に。彼の遺体はエンタープライズ内部から発見され、米海軍によって丁重に葬られました。また、特攻した日本人パイロットを米海軍が海軍葬で送ったエピソードは戦艦ミズーリで実際にあった話で、艦長のキャラハン大佐は「死した兵士はもはや敵ではない。翌朝、勇者の葬儀を執り行う」という命令で、敵のために棺桶を包む旭日旗を米軍の水兵たちは徹夜で作ったそうです。キャラハン艦長の兄は第三次ソロモン海戦で日本軍に殺されているのになんという男でしょうか。今、真珠湾で一般公開されている戦艦ミズーリに行くと、艦側面の当たった部分の装甲がへこんでいるのが確認できます。

『永遠の0』は特攻自体をヒロイックに描くことを抑えつつ、それでも主人公がかっこいいんだからしょうがないという感じの仕上がりになってますが、むしろやられた側のアメリカで「カミカゼ」はその後重要な文化になったと思います。『アルマゲドン』『インデペンデンス・デイ』『スターウォーズ』など特に大作エンタメハリウッド映画では、重要な局面で自らの命を犠牲にしての体当たりで、局面の打開を図る事はヒロイックな描かれ方をする事が多いという現象を生み出しています。

次の記事を読む➡何故原爆は落とされたか?(後編)映画『オッペンハイマー』への想い

 


『永遠の0』(2013)

Apple TVで視聴する⇒こちら
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出演:岡田准一、三浦春馬、井上真央、濱田岳、新井浩文、染谷将太、三浦貴大、上田竜也、吹石一恵、田中泯、山本學、風吹ジュン、平幹二朗、橋爪功、夏八木勲 ほか
監督:山崎貴
原作:百田尚樹
脚本:山崎貴、林民夫
製作:市川南、畠中達郎
VFXディレクター:渋谷紀世子
主題歌:サザンオールスターズ
戦時考証:神立尚紀
軍事指導:東裕一
零戦製作監修:大澤克俊
配給:東宝

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