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【終戦記念日特集】学校では教えてくれない戦争の本当がわかる映画たち⑦/何故原爆は落とされたか?(後編)映画『オッペンハイマー』への想い

8月。終戦記念日。

どうも日本人にとって戦争というのは、ある種のセンチメンタリズム(感傷主義)でしか語ってはいけない感じですよね。しかも、まず「もうしません」みたいな反省からはいる感じで気が重い。
高校の授業で20世紀の世界大戦を学ぶ時間もほとんどない。3学期のギリギリに複雑で政治的な匂いもある戦争なんて、先生もちょっと避けて通りたいのかもしれない。そうなると多くの日本人はテレビ番組のイメージで戦争を捉えてしまう。つまりセンチメンタリズムですね。焼野原の東京や広島・長崎の悲惨な姿や、アジアの国々の「被害者」からの怨嗟の声。

「戦争というのは嫌なものだなぁ」

つらいんで大体の人の思考はそこでストップしてしまいます。
それでいいんでしょうか?考えてみてください、これは特筆すべき人類の歴史です。戦争は政治も経済も社会も、人材も科学も一箇所に力を集中しますので、多くの先鋭的な結果を残します。インターネットや携帯、GPS、電子レンジなど現代を支配している文明が、図らずも戦争から生み出さたれたように、戦争の事実から学べることがもっとあるような気がします。
その中には「どうしたら戦争にならないか」も含まれていることでしょう。

今回は、終戦記念日企画として、「第二次世界大戦の真実」特別講義!
学校の授業、普通に接しているマスコミでは決して触れない角度から第二次世界大戦を解説!秘められた歴史の真実から、8月みるべき映画を特集してみます!

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

学校では教えてくれない戦争の本当がわかる映画たち⑦

何故原爆は落とされたか?(後編)
映画『オッペンハイマー』への想い

世界大戦最終局面。トルーマン、スターリンに挑む
45年5月ドイツ降伏。ヒトラーは自殺を遂げました。その後行われたポツダム会談にもはやルーズベルトもいません、彼はヤルタ会談終了後帰国し、すぐに脳卒中で死亡していました。第二次世界大戦というドラマは終盤にキャストが動くストーリーなのです。代わりに副大統領だったトルーマンが大統領となって、チャーチルとスターリンと渡り合うことになりました。副大統領というのは、いざという時のスペアですから、そこまで何も知らされてないわけです。彼はポツダムに行くにあたり、死んだルーズベルトからの申し送り=密約の内容を聞いて驚愕します。

「ルーズベルトはまさかそんなことまでスターリンに約束していたのか!これでは東アジアが共産化してしまう」

トルーマンの考えはチャーチルに近く、もはや共産主義の拡張を何よりも恐れる東西冷戦モードに突入していたのです。会談の席でスターリンがにっこり微笑み、目をのぞき込んできます(新入りわかってるよな、密約は。。)と言っているかのようです。

トルーマンは考えます。「ドイツ降伏は5月7日。それから3か月後の8月7日にソ連は日本に侵攻を開始する。彼らが侵攻した地域はソ連領になってしまうだろう。8月7日までに、どうやって日本を降伏させることができるのか?」通常のアメリカ軍の上陸作戦は千葉県から上陸し、東京を半年かけて落とすというものでした。それだと早くて45年の12月までかかる。ソ連の参戦から5か月も立てば東と西で日本を分割することになる。

(それは避けねばならない。)

苦慮するトルーマンに極秘のメモが渡されます。

〝Babies satificatority born〟(赤ん坊は無事生まれた)
と書かれていました。それはアメリカが原子爆弾の実験に成功したという意味でした。

(スターリンを出し抜ける!)

トルーマンとチャーチルの表情に思わず笑みが浮かびました。ですが、スターリンにそれを悟られてはいけません。あの猜疑心の塊の特栽者の目は全てを見通す力を持っているかのようです。トルーマンは何食わぬ顔を必死で作りました。

ところが、後日「やはり、同盟国のスターリンにも実験成功を伝えなければまずいだろう」ということになった。7月24日の会談の後の雑談で、意を決したトルーマンはスターリンに「新型爆弾」が完成したと伝える。スターリンは特に驚いた様子もなく陽気な態度を変えず何も質問しなかったといいます。トルーマンは肝がつぶれそうでした。

ヒロシマ、ナガサキの悲劇
トルーマンは原爆をソ連参戦前の8月6日に使用することを決定します。迷わなかった。候補地は、新潟、京都、広島、小倉、長崎のどこかです。この5都市はそれまで米国軍が空爆を行っていなかった無傷の都市ばかり。この中から当日晴れたところを選ぶ。

つまり原爆の威力が分かる、人体実験に適した町に落とそうとしたということです。

8月6日、その日サイパン近くのテニアン島の米軍基地からB29“エノラゲイ”が飛び立ち、広島へ、広島は快晴でした。エノラゲイの腹部の爆弾用のハッチが開き、一発の原子爆弾リトルボーイ(赤ん坊は小さい少年になったんですね)が落とされます。

ピカッという閃光と共に、広島の街が消えました。

大きなキノコ雲が立ち上ります。

この報に最もびっくりしたのはスターリンでしょう、寝耳に水、、。いや少し聞いていたのに、そこまで注意を払わなかった自分を呪った(トルーマンめ!やりおったわ!)

彼は翌8日17時00分(日本時間23時00分)駐ソ日本大使を呼び出し、午前0時をもって宣戦を布告する旨伝えます。しかもソ連側によって大使館の電話線が切られていたため、東京へ伝えることができず、日本は文字通りの奇襲を受けます。(ちょっとびっくりの卑怯さですよね。)

満州全域から進行するソ連軍は、かつてノモンハンで日本軍を圧倒した戦車部隊よりさらに精強で圧倒的な物量と速度で南下していきました。(逃げ遅れた日本人は60万人が捕虜になりシベリアでの強制労働で6万人が死亡しました。これは明確な国際法違反です。)

トルーマンは「日本政府はソ連が宣戦布告したのを知りながら、まだ降伏しないのか?日本がソ連の手に落ちるぞ!」と焦り、次は小倉にB29を差し向け向けます。ところが、小倉上空は曇り、そのまま長崎へ行ったら快晴。使ったのは別タイプ、ファットマン(太った男)という原子爆弾。

長崎の町が消えました。
大きなキノコ雲が立ち上がります。

日本はソ連軍が攻めてくるその時まで、日ソ中立条約を信じていました。実は少し前に「条約は延長しない」という通告を受けているにもかかわらず、その期限は少し先だからと注意を怠った。むしろ対米戦争の仲介をスターリンに頼んで、有利な条件で降伏しようと考えていたのです。

そんなことができるわけがない、お人好しにもほどがある。スターリンがもしのってきたら、それこそ悪魔の契約です。確実に日本は今の姿ではなかったでしょう。

ここから8月15日の終戦に至る道は、これは昭和天皇がいたから成しえたことで、かつて私が書いた『日本の一番長い日』コラム(※20年の終戦記念日特集ページ)を参照いただければと思います。

日本は国際社会に立ち向かえるのか?
これは対日ソ連参戦に限ったことではなく、現代に生きる我々は大日本帝国の情報戦・諜報戦での圧倒的な弱さを学ばなければなりません。

なぜゾルゲ事件が明らかになり、スターリンの陰謀だと気づいていながら、日米戦争をはじめたのか?
なぜ真珠湾の大戦果を分かっていながら戦艦巨砲主義を変えられなかったのか?
なぜミッドウェーの大敗北を海軍は隠したのか?
なぜ南方戦線の惨状を伝えてもっと早く降伏できなかったのか?(日本の戦死者は1945年に集中していて、マラリアなどの感染症や餓死など非戦闘死が多くの比率を占めています。無駄死にです。)

実は現場の報告、情報や諜報活動では有効な情報はいくつも上がっている形跡がありますが、上が取り上げない。伝達されるにつれ内容がオブラートにつつまれていくという。。「和」の心なのかもしれませんが、伝え方と危機察知能力において日本軍と政府は大きな問題を抱えていました。

冷静に見て日本軍は戦場では強かったと思います。兵器や兵士の士気、戦術レベルの強さは英仏を上回り、ましてや中国など問題にならないくらいだったと思います。しかし日本は補給や、情報・諜報戦においては二流国だったのです。まさしくトップマネージメントの駄目さという事ですが、そのあたりはどうも現代にも引き継がれていて、日本が世界的に優秀なのは中小企業で、大企業はいまいち、メディアと教育と官僚は二流以下ということでこのあたりは暗澹たる気持ちになりますね。そして、そこに通底する大きな要因は今も昔も変わらず、成功も失敗も事実【ファクト】を見ないという所にあるようです。

映画『オッペンハイマー』は日本人にとって最も苦い映画でしょう、しかし同時に事実【ファクト】の発見の映画になると思います。原爆使用の時代背景や、原爆を開発し苦悩した科学者がいたという事ばかりではありません。現在にいたるまで決して原爆使用の非を認めようとしないアメリカの中に潜む贖罪意識に触れれるのではないかと期待してます。。そして我々日本人が「戦争について考えたくもない」という洗脳を教育やメディアから受けている事に気付く機会になればと思います。

この映画の上映に多くの反対意見が巻き起こっていることも知っています。公開は難しいかもしれません。ですが、これはお金を払って観る映画です。日本が先進国なら、感情ではなく、理性に従ってそれを確認しに行く機会を確保すべきだと思います。

戦後80年経つのになぜそれができない?

そろそろ態度としての反省ではなく、現実に目を向けるべき時なのではないでしょうか。

(終わり)

PS:長々とお読みいただきありがとうございました。本文の目的は戦争映画をより愉しく意味深く観るための一助になればということで、特定の政治的立場からの主張ではないことをご了承ください。また記載事項は厳密ではなく映画解説ゆえの緩さがあることをお許しください。その上でドイツ軍の話をあまり深く書いていないのがちょっと心残りなので、今後気が付いた時に、戦車、アサルトライフルから、ジェット機、ロケット機、大陸間弾道弾まで究極のエンジニアリングがその後の世界を変えたナチスドイツの歴史について、もう少し掘り下げてみたい所ではあります。


『オッペンハイマー』(2023)

出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー ほか
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン
『オッペンハイマー「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』(PHP研究所)
製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
音楽:ルドウィグ・ゴランソン
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
編集:ジェニファー・レイム
製作会社:シンコピー・インク、アトラス・エンターテインメント
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ

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