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「戦争と陰謀」マスコミも教科書も嘘ばっかり?真の歴史を知るなら陰謀に挑め!/②『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019)

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

 

歴史で「陰謀」などというと荒唐無稽で、あやしげで「信じるか信じないかはアナタ次第!」ってのでしょう?という風に思われる方が多数だと思います。

じゃ陰謀論の正反対、みんなが信用して共有している史実っていったい何なの?といえば、まあ歴史教科書とかマスコミが語っている歴史なわけですが、それが正しいかと言えば実はそんなこともない。普通に考えてだいぶ危うい。

ウクライナ戦争はウクライナから見ればロシアの侵略戦争だし、ロシアから見ればネオナチ掃討作戦。台湾危機は米国から見れば民主主義を守れ!だけど、中国から見たら内政干渉だったり、もう立ち位置で180度見え方が違う。これは今現在の話だけじゃなく、前の世紀からそれ以前からもそう。

歴史は勝者の都合のいい物語だし、正義は後から付け足せる世界に我々は住んでいる。

そんな中、8月といえば終戦記念日!毎年恒例の「戦争映画特集」となりますが、今年はウクライナ戦争や台湾危機、アフガンやパレスチナから、ウィグル問題までどうにも実体不明の戦争や紛争、危機が勃発しているので、「戦争と陰謀」をテーマに皆さんが知っている歴史認識の危うさと、想像力の限界に挑む「陰謀の世界」に扉を開く映画をご紹介させていただければと思います。

 

 

ソ連共産党の犯罪と、プロパガンダの世界拡散
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019)

こちらはスターリン体制のソ連という大国にひとり立ち向かったジャーナリストの実話をもとにした歴史ドラマです。

若き英国人記者ガレス・ジョーンズは、世界中で恐慌の嵐が吹き荒れる中、ソ連だけがなぜ繁栄を続けているのか不思議でした。「これが共産主義・五か年計画の凄さか」と期待半分で単身モスクワを訪れるジョーンズ、でもなんだか周りの様子がおかしい。彼は外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、謎の答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。

というお話ですが、これはもう1932年から33年にかけてウクライナで起こった大規模飢饉「ポロドモール」の現場を見てしまった英国人記者の目撃談なのです。

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019)

映画は真っ白な凍てつく大地でごろごろ人が倒れている姿を映し出し、凄惨この上ない映像が展開しますが、我慢してみましょう。

この「ポロドモール」の特徴は、天候や自然災害による飢餓ではなく、人為的・作為的に引き起こされた飢餓ということで、つまり大規模虐殺事件なのです。

穀倉地帯であるウクライナの農民は独立心旺盛でいろいろ中央の指示に従わない。そこでスターリンと共産党は彼らの奴隷化を目指して、収穫された作物をすべて取り上げました。農民たちは厳寒の冬に木の樹皮しか食べるものがなかったらしい。結果、大人から子供まで餓死者数は、330万人から数百万人と言われるほどで、ナチスドイツのホロコーストに匹敵する人類史上最大の悪事が引き起こされたのです。

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019)

この映画のもう一つの側面として、当時のジャーナリズムに注視している点が挙げられます。モスクワにいた大半の外国人記者はソ連の悪事を黙認するだけでなく、政府高官を喜ばすような記事を書き世界に発信していました。もちろん記者たちは首都から出ることができず、統制された情報しか手に入らない状況にあったのかもしれません。ただ、ソ連政府と深い関係のジャーナリストも結構いたようです。ガレス・ジョーンズが帰国後に書いたポロモドールの告発記事は、ピューリッツアー賞も獲ったこともあるウィル・デュラントなど大物の在モスクワ記者たちによって次々に否定されています。

驚いたことに20世紀の終わり(ソ連崩壊)まで、この悲惨な事件の全容は世界に秘匿させられ、モスクワの外国人記者たちはその後もせっせと共産主義国家ソ連のプロパガンダを書き続け、そのせいで第二次世界大戦前、世界のインテリたちは「世界恐慌で資本主義の限界は見えた、次は共産主義だ」と、ソ連を理想郷だと考えるようになりました。

(もちろん日本人も例外ではありません、この状況が新たな悲劇を生んでいきます。)

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019)

ウクライナという国は、飢餓あり、戦争あり、そしてチェルノブイリの原発事故ありで、

激しくモスクワ(中央政府)の悪意に晒されてきた地域だといえます。

現代のウクライナ人とロシア人の間に、このような歴史的事件が影を落としているとしても不思議ではないでしょう。

【キャスト】
ジェームズ・ノートン、ヴァネッサ・カービー、ピーター・サースガード

【スタッフ】
監督:アグニェシュカ・ホランド
脚本:アンドレア・チャルーパ

(C) FILM PRODUKCJA – PARKHURST – KINOROB – JONES BOY FILM – KRAKOW FESTIVAL OFFICE – STUDIO PRODUKCYJNE ORKA – KINO SWIAT – SILESIA FILM INSTITUTE IN KATOWICE

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