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映画には時折主役を喰ってしまうほど、強烈なインパクトを残す脇役が存在する。もちろん物語が進むうえで大切なのは主役の存在なのだが、その周りにいるキャラクターの個性が豊かであればあるほど、映画の楽しさも増える。そこで今週の「今夜何観る」は存在感が抜群すぎる脇役映画を特集。彼ら脇役がいるからこそ、映画の良さが引き立つのだ。

『ミスト』(2007)

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スティーブン・キング原作のこの映画は、映画史に残るトラウマ映画として名を刻んでいるが、それに一役買っているのは狂信的なキリスト教信者を演じたマーシャ・ゲイ・ハーデンの存在が大きいだろう。決して出番が多いわけではないのだが、そのインパクトは強烈だ。怪物よりも彼女に恐怖を感じた人も多いだろう。

人は追い込まれると神に縋るとよく言われるが、この映画では彼女が人々を扇動して、神への救済を請うように仕向ける。そうして味方を増やしていき、最終的には閉じ込められたスーパーの中でカルト集団の教祖のように大きな権力を得る。スーパーの外には異形の怪物が徘徊しているが、スーパーの中でもまた別の怪物が生まれたのだ。もはや主人公一行を完全に喰うほどの強烈なインパクトを残している。

演じた女優はマーシャ・ゲイ・ハーデン。失礼かもしれないが、彼女の名前を聞いてもピンとくる人がいるのは余程の映画ファンだけだろう。しかし『ミスティック・リバー』をはじめ、彼女は脇役や助演で輝いてきた女優だ。そのたびに強烈なインパクトを残す彼女だが、その彼女の実力がフルで発揮された作品がこの『ミスト』と言えるだろう。

＜ストーリー＞
激しい嵐が過ぎ去った町に不気味な深い霧が立ち込め、住民たちは身動きが取れなくなってしまう。やがて霧の中に潜んだ正体不明の生物が彼らを襲いはじめ……。

監督：フランク・ダラボン
キャスト：トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、マーシャ・ゲイ・ハーデン　ほか

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