【BOND60 公開記念特集】「女とクルマと007」(その1)3人の極端な女たちに囲まれる新世代ボンド『ゴールデンアイ 007』
「女とクルマと007」などというと、フェミニストじゃなくても世の反感を買いそうなタイトルですが、この秋、4Kとなってリバイバル上映される「007」シリーズの見どころを並べるとまさにそんな感じ。「女もクルマも魅力的に美しく描かれているが、全ては007という殺しのライセンスを持った孤独なスパイのための“添え物”であり“乗り物”である」という前提がこの映画を改めてみるとビシビシ感じます。現代映画では再現不可能なファンタジーとして、男のロマンに浸りたい男性、時代錯誤な男の生き様に萌える女性の皆様は是非スクリーンに足を運んでもらいたいと思います。ちなみに「BOND60 007 4Kレストア」上映ラインナップは下記で、今回は9月22日からの第一弾上映作品を基本抑えつつ語れればと思います。さあ、そんな感じで「女とクルマと007」いってみましょう!
特集:女とクルマと007(その1)
3人の極端な女たちに囲まれる新世代ボンド
『007/ゴールデンアイ GoldenEye』
『007/ゴールデンアイ GoldenEye』はピアース・ブロスナン=ボンドの第一作。ピアース・ブロスナンが若い若い、ロシアの基地を爆破し走る走る!(手をシャキシャキ上げる走り方がブロスナン・ボンドの特徴のひとつで、なぜかその後「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズに受け継がれる。トム本人もブロスナンに影響を受けたと認めているという笑)
この作品は新世代ボンドということで、ボンドガールも特徴的。イザベラ・スコルプコ演じるロシア女性ナターリアはそれまでのボンドガールと打って変わってお色気担当ではなく、自立した女性として描かれてまして、映画では彼女のストーリーは、ボンドのストーリーと別に描かれていて、一緒に活躍するようになってからもイコールな関係となっています。
「それはいいけど、それだけではつまらん!」
と思った皆さん!ご心配なく、もちろんこのナターリア演じるイザベラ・スコルプコさんもどえらい美人でシリーズ1,2を争う程のボンドガールなんですが、極端なセクシー成分が欲しい方にはファムケ・ヤンセンがいます。この女の登場シーンは衝撃的で、ボンドが操るアストンマーチンDB5の後ろから真っ赤なフェラーリF355に乗って現れ、凄まじいエンジンの咆哮が響く中、笑いながらチェイスに興じます。このカーチェイスシーンは007シリーズ歴代の中でも秀逸だと思いますが、何よりファムケ・ヤンセンのクレイジーな微笑みが印象的。そうかと思えば、カジノでは胸の開いたドレスで現れたり、直後に猛獣のようなベッドシーンを演じたり(女性上位でね、ドSキャラですね)、とにかく目を奪われる。名前がオナトップっていうのも凄いんですが、極めつけは機関銃でビシビシ人を銃撃した後の恍惚の表情と歓喜の吐息。これにはボスの将軍もちょっと引いちゃうというあたりは必見です。(特にM男はね)
そしてもうひとりの“ボンドガール”。ここから遥か17年後のダニエル・クレイグ版「スカイフォール」までジェームズ・ボンドを支えるジュディ・ディンチの「M」がここで登場します。最初はMが女?なんてとっても嫌だった記憶がありますが、今観るといいですよね、とってもしっくりきますし、彼女の最期を知って観ると愛らしささえ覚えます。(Mが女性になったのは、1990年代にイギリスで、実際のMI5(MI6ではない)のトップが女性だと判明し、大きく報道されたことの影響があるらしいですね)
そんなわけで『007/ゴールデンアイ GoldenEye』というと、記憶の中に埋もれちゃってる映画ファンの方も多いと思いますが、女M含め記憶に残る3人のボンドガールに囲まれた若いブロスナン=ボンド、そのシャキシャキ走り!という意味で画期的な作品だったと思います、凄いヒットしたんですよね。確か当時歴代最高だったと思います。そしてボンドカーにも大きな変化が訪れたのがこの作品、ついにボンドカーにドイツ車が使われました。BMWZ3、日本人の僕らは何とも思わないのすが、イギリス人からしてみると微妙な気持ちでしょう。もちろん英国以外のボンドカーで言えば「2度死ぬ」当時のトヨタ2000GTの例もありますが、EU統合でドイツが欧州の盟主になりつつあった時代の話ですから変な圧力を感じた人や不愉快に思った人もいたでしょう。
ただ、ブロスナン=ボンド時代を通じてBMWはボンドカーとして活躍しまくります、これはとってもかっこよかったです。このあたりボンドカーの話は次回にしましょうか!(続く)
次回➡「女とクルマと007」(その2)クルマと女はうまく乗りこなせ!!『007は二度死ぬ』『私を愛したスパイ』
<BOND60 007 4Kレストア 10作品 上映作品一覧>
第1弾:9月22日(金)〜
■『007/ゴールデンアイ GoldenEye』1995年/ピアース・ブロスナン
■『007は二度死ぬ You Only Live Twice』1967年/ショーン・コネリー
■『007/私を愛したスパイ The Spy Who Loved Me』1977年/ロジャー・ムーア
■『007/ロシアより愛をこめて From Russia with Love』1963年/ショーン・コネリー
■『女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service』1969年/ジョージ・レーゼンビー
第2弾:11月17日(金)〜
■『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ No Time to Die』2021年/ダニエル・クレイグ
■『007/スカイフォール Skyfall』2012年/ダニエル・クレイグ
■『007/リビング・デイライツ The Living Daylights』1987年/ティモシー・ダルトン
■『007/サンダーボール作戦 Thunderball』1965年/ショーン・コネリー
■『007/ドクター・ノオ Dr. No』1962年/ショーン・コネリー
◎劇場情報はコチラ
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=cQkXFvH7
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