【募集】ムービーマービーアワード2023「ぜったい面白い映画大賞」ノミネート作品紹介③「人間を考えたくなる映画」編
2023年に公開された映画で1番面白かった作品を決めよう!
ムービーマービーが読者の皆様と共に毎年ベストな1本を決める最もユーザーフレンドリーな映画賞!
それが「ムービーマービーアワード」!!!
昨年末からXで募集したフォロリツキャンペーン「#2023年ぜったい面白い映画」と、ムービーマービー編集部が選出したノミネート作品から今年度の「ぜったい面白い映画大賞」を決定します!
今回から、ノミネートした17作品をテーマごとに紹介!今週は「人間を考えたくなる映画」編をお届けします!
『アンダーカレント』
人をわかるってどういうことですか?
2023年の1年間、この言葉が私の脳内をまとわりついて、離れることはありませんでした。
私たち人間は生きていく中で、全く違う人生の中で生きてきた大勢の人と出会い、知らぬ間にもう二度と会うことのない永遠の別れを、たった一言の「お世話になりました」で締めくくることになったりするのです。目まぐるしく日々入れ替わっていく、人生の登場人物達の中から、一生を共にする相手が現れたり現れなかったり、信用する人に裏切られたり、悪口を言われたり、その度に傷ついたりもするけれど、分かろうとすることをやめた人間には本当の孤独が訪れてしまうのかもしれません。傷ついてもいい、分からなくてもいい、分かろうとする、それだけでいい。『アンダーカレント』はそんな感情をそっと胸に置いていってくれた映画です。
原作である漫画「アンダーカレント」から飛び出してきたような、忠実に再現されたシーンの数々にもご注目ください。
『正欲』
「価値観」を壊される。ひとたび観ればもう前の自分には戻れない…
「観る前の自分には戻れない」
なんてたいそうなキャッチコピーだろうと思いつつも、予告編からはその全容が掴めないただならぬ雰囲気や「桐島、部活辞めるってよ」「何者」の朝井リョウ原作であるということ、そして何より冒頭のキャッチコピーがどうしても気になってしまう自分がいて映画館に足を運んだのですが結果的に、2023年の個人的ベストムービーとなりました。鑑賞後もまだ本作のことを考えていたくて原作本を即購入、Vaundyが歌う主題歌をリピートしながら帰路についた筆者は見事に観る前の自分には戻れなくなっていたのです。
そんな本作では家庭環境、性的指向、容姿の異なる5人の男女の運命が徐々に交差していくという物語を稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香が体現します。ある者は不登校の息子がYouTuberになると言い出したことを受け入れられずに頭を悩ませたり、またある者は自分でもそれが普通ではないことを十分に分かっていながら”ある物”で欲求を満たすことに抗えなかったり、とこの世界での暮らしに満足のいかない、あるいはこの世界で”普通に”生きることを諦めている者たちの物語が描かれており、終始陰鬱な雰囲気が続きます。ですが、そんな陰鬱な雰囲気の物語に価値観をぶっ壊されるのです。「そんな訳ない」「ありえない」とこれまで情報を処理してきた自分自身が嫌になるほどの衝撃を突きつけてくるのです。
到底理解の及ばない事象や人に出くわした時、どうしたって自分自身の価値観と比較をしてしまい、「なぜ?」と思わざるを得ないのが”普通”だと思っている筆者ですが本作で語られる5人の運命を見届けると、どうにかこの人たちを理解する術が欲しいという思考に至りました。そして、作中にも他者の理解が及ばないような欲望を持った者同士が繋がりを求めようとする展開があるように、どれだけ世界に絶望していようと「誰かと繋がっていたい」という欲望はおそらく人間誰しもが生まれ持ったものなのだと気づかされます。「理解できないけど、理解しようとはしたい」という姿勢こそが世界を変えていくのだとエンドロールを眺めながらひしひしと感じる作品です。ひとたび観れば、きっとあなたも観る前の自分には戻れない..。
『AIR/エア』
瞬間の「達人」のものがたり。
米国人のスポーツファンというのは、大切な「瞬間」の達人だと思いますね。
彼らはYouTubeやテレビ番組で自慢げに語ります。
「俺は野茂の1995年9月17日クアーズフィールでのノーノー(ノーヒットノーラン)の試合をこの目で見たよ!」
「俺は、1998年のスーパーボウル、第3Qサードダウン残り5ヤードでのエルウェイのファーストダウンをこの目で見たんだよ!」
見たと言ってもテレビで見たのがほとんどでしょうが、とにかく記憶が克明で具体的なのが特徴です。こういうことを誇らしげに語る文化がスポーツ王国アメリカにはあります。
『AIR/エア』という見事な映画があります。昨年の『スラムダンク』も相まって、私の中でNBA(全米プロバスケットボール)熱が再燃しているのですが、バスケでいうと―。
「俺は、1986年4月20日ボストンとの試合でシカゴ・ブルスのマイケル・ジョーダンが63点取った試合をこの目で見たんだ!」
NBAのプレーオフ歴代記録はこの試合で誕生した。
これ以降マイケル・ジョーダンは「神」と呼ばれるようになります。
「俺は、1982年のNCAAファイナル、ノースカロライナ大学のマイケル・ジョーダンのあのシュートを見た!」
映画にも出てきますね。“あのシュート“はまさに“THE SHOT”と呼ばれて、チャンスをものにする男、持ってる男・ジョーダンの代名詞になりました。
なんと、プロ入りのタイミングではマイケル・ジョーダンはそこまでの選手だとは思われてなかったんですね。ですがナイキという冴えないスポーツメーカーに所属するたった一人の男はそのシュートの価値に気づきました。
「この瞬間にどれほどの価値が潜んでいるか」
これこそスポーツの神髄、この映画でしか味わえない面白さだと思います。
もっともジョーダンの母親は彼の価値をとうに気づいてたわけですが。。
これはだから、「みえない価値に気づき、それを育てた者たちの物語」なんです。
そしてこれは、オンデマンドでいつでも好きな映像が手に入る時代へのメッセージ。
「その時、そこにいた。」「自分は、歴史的瞬間の目撃者のひとりである。」
その瞬間の価値は今後もっと上がると思います。それをネットフリックスが語るのが凄い。
“THE SHOT”には後日談があり、マイケル・ジョーダンはその後活躍しすぎて「あのシュート」も増えてしまい、会話の中でも「どの、あのシュート?」「1989年のあのシュート?それとも1998年?」とややこしい様相を呈するほどで、マイケル・ジョーダンという選手が如何に不世出のスターであったかという話ですね。
『PERFECT DAYS』
ひとりの男の穏やかで温かい生き様
東京で公衆トイレ清掃を生業に暮らす平山(役所広司)の日常を淡々と切り取っていく本作は、まずとにかく静かで穏やかな雰囲気が終始続きます。朝目覚めてから家を出るまでの平山、仕事に打ち込む平山、家へ戻ってから銭湯経由で居酒屋へと向かう平山などなど、その一挙手一投足が丁寧に丁寧に映され、まるでドキュメンタリーかのような密着具合で平山の日常を追う構成となっています。ほんとうに静かで穏やかで、1日1日を噛みしめるように生きる彼の姿に憧れを感じると共に、これを観ている自分は果たしてどんな生活を送っているだろうか?と無性に自身のものと照らし合わせたくなるほど徹底された生活習慣に衝撃を受けました。人との関わりも必要最低限な上に無口ということも踏まえるとどこかとっつきにくい人と思われるかもしれませんが、話が進むにつれて彼がどんどん身近な存在に思えてくるのです。
連絡もなしに突然家を訪ねてきた姪っ子にいつも自分が寝ている布団を譲って、一緒に仕事に行きたいという声にも応えて、嬉しそうに話を聞きながら受け答えする平山はそれまでの堅い印象から一気に素敵なおじさんに。さらに若い仕事仲間が突然退職したことによる仕事のしわ寄せに苛立ち、家族をめぐる姉との会話で涙を流す姿を見ればそれまで見えづらかった平山の感情がはっきりと浮かび上がってきて、非常に近しい存在として平山の人物像が塗り替えられるはずです。その暖かい生き様を是非ご覧になってみてはいかがでしょうか?
投票はページ下部のアンケートフォームから必要事項を記入し、応募ボタンをクリックすればOKです!
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投票期間:1月26日(金)~2月23日(金)
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