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ケイト・ブランシェット、役所広司らが登壇!避難民映画制作者を支援する「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド」記者会見&トークショーレポート【第39回東京国際映画祭】

開催中の第39回東京国際映画祭にて、避難を余儀なくされた映画制作者の創作活動を支援・助成する「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(DFF)」のトークショーと記者会見が10月30日に開催された。本ファンドは俳優のケイト・ブランシェットとロッテルダム国際映画祭のヒューバート・バルス基金が共同で創設し、ユニクロが創設パートナーとして支援を行っている。ヒューリックホール東京でのトークショーにはケイト・ブランシェット、モハマド・ラスロフ監督、シャフルバヌ・サダト監督に加え、ユニクロのチャリティプロジェクト「PEACE FOR ALL」のコラボレーターを務める役所広司が特別ゲストとして登壇。続いて東京ミッドタウン日比谷 ホールで行われた記者会見には、ロッテルダム国際映画祭マネジング・ディレクターのクレア・スチュワート、ファーストリテイリング取締役の柳井康治も出席した。

ヒューリックホール東京では、DFFの助成によって制作された短編映画5本のジャパン・プレミア上映が行われた。ファンド設立の背景についてケイトは、「数年前に参加した難民フォーラムで、国を追われ避難を余儀なくされながらも、素晴らしい作品を生み出す映画監督たちが大勢いることを知った。彼らに創作を続けるチャンスを提供したいと考え立ち上げた。制約が少なく実験的な挑戦ができる短編という形式を通じ、才能あふれる5つの作品が誕生した」と説明した。

自身の体験をもとに『センス・オブ・ウォーター』を監督したイラン出身のモハマド・ラスロフ監督は、「移民になることは異文化との出会いという好機でもあるが、問題は自らの意志とは無関係に祖国を追われ、人生が一変してしまうこと。その疎外感の根源を掘り下げた」と制作の動機を語った。また、アフガニスタン出身で『スーパー・アフガン・ジム』を手がけたシャフルバヌ・サダト監督は、「難民として生き、帰る家を持たない私にとって唯一の家は自分の身体だった。しかし家父長制や差別の影響で自己肯定感を持てずにいた。渡仏時に女性たちが堂々と歩く姿に感銘を受け、自分にとって最初の、そして最後の我が家である身体についての思いを作品に込めた」と明かした。

特別ゲストの役所広司は、自身がデザインした「PEACE FOR ALL」のTシャツ姿で登壇。上映された短編について「『センス・オブ・ウォーター』は静けさの中に男女の愛と苦悩、そして主人公の深い心の傷を美しく描き出していた。シャフルバヌ監督の『スーパー・アフガン・ジム』は、かつて報道された戦争の傷跡残るカブールの街で、人々がダイエットに奮闘する姿が微笑ましく、平和への希望と人間の底力を感じさせた」と絶賛。これを受けたケイトは「名だたる俳優から温かい言葉をいただき感謝している。いつか一緒にお仕事ができれば」と笑顔を返し、「ディスプレイスメントは世界共通の課題であり、一人でも多くの方にこの作品群を体験してほしい」と言葉を結んだ。

続く記者会見では、ロッテルダム国際映画祭のクレア・スチュワートが、ケイトの提案から始まったプロジェクトが短期間で多くの賛同者を集め、2025年1月のロッテルダム上映、2026年カンヌでの次回選考監督発表を経て東京での上映に至った経緯を説明。ケイトは「世界中で67人に1人が故郷を追われている現実がある。祖国喪失(ディスプレイスメント)を単なる被害の記号として描くのではなく、一人ひとりが母親であり、医師であり、個別のかけがえのない日常を持っていることを伝えるべきだ。映画作家たちには完全な表現の自由を託している」と強調した。

また、来日中の映画芸術科学アカデミー(AMPAS)CEOビル・クレイマー氏が、難民監督の作品もオスカーの審査対象に含めるよう規約を改定したと言及したことを受け、ケイトは「世界中でキャリアを奪われかけている映画人を認める重要な一歩。映画界が示す共同制作や文化外交の姿勢が、国家間の連携にも波及することを願う」とコメント。一方、そうした専門カテゴリーにノミネートされることについて問われたサダト監督は、「映画は人と人をつなぐ素晴らしいものだが、自分自身が『難民・避難民』というラベルや枠組みに縛られてしまうことには複雑な葛藤もある」と率直な胸中を吐露した。これに対しファーストリテイリングの柳井康治は、「すべての人がアクセスできる存在を目指し、長年難民支援を続けてきたブランドとして、DFFの優れた作品がアカデミーのような最高峰の舞台で正当に評価されるよう後押ししていきたい」と力強い連帯を示した。

第39回東京国際映画祭 ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(DFF)関連イベント
開催日:2026年10月30日(金)
会場:ヒューリックホール東京(トークショー)/東京ミッドタウン日比谷 ホール(記者会見)
登壇者:ケイト・ブランシェット、モハマド・ラスロフ監督、シャフルバヌ・サダト監督、役所広司(特別ゲスト)、クレア・スチュワート、柳井康治
映画祭公式サイト:https://2026.tiff-jp.net/