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【あなたの勇気を呼び覚ます！ 強くて魅力的な女性キャラクター特集】#15 『キューティ・ブロンド』のエル

映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。この特集では「あなたの勇気を呼び覚ます！ 強くて魅力的な女性キャラクター特集」と題して、やる気が出ない時、スカッとしたい時、どんな人でも楽しんでもらえる映画をご紹介していきます！

 

■一念発起して弁護士を目指すエル

“社交クラブの女王”でリッチなエル・ウッズ（リース・ウィザースプーン）が、結婚を見据えていた彼氏・ワーナー（マシュー・デイビス）から、真面目に見えないことが原因で別れを切り出されてしまい一念発起、彼が進学するハーバード大学の法科大学院を目指すことから始まる物語。

相手を好きな気持ちや彼女自身の性格は関係なく、“ブロンドでキャピキャピしている”というイメージで捨てられてしまうエル。彼女はそれでもワーナーを手に入れようと、ファッションビジネス専攻から法科大学院に入学するため、検定試験を受けるために勉強を始めるのです。無事に入学した後もその見た目とキャラクターから軽蔑の目を向けられてしまいますが、彼女は類まれなる記憶力とコミュニケーション力で才能を発揮。法科大学院の中でも教授に目をつけられて、実際の事件を担当することになるまで、テンポ良く描かれていきます。

この映画が公開されたのは2001年。2003年には続編『キューティ・ブロンド/ハッピーMAX』が公開され、法科大学院卒業後のエルの様子が描かれました。そして約25年が経とうとしている今、リース・ウィザースプーンを製作総指揮に迎え、『キューティ・ブロンド』の前日譚を描くドラマが制作されることも決定しています。

■真似したいエルのハッピーな気持ちと優しさ

エルは失恋すると、大抵の人間と同じように泣きじゃくり、一週間ほど寝込んでしまいます。しかし進学校に入学して、彼を取り戻すことを思いつくと、あっという間に入学への切符を勝ち取ります。元々の成績も良く、多くの課外活動にも参加していたため、印象も良かったのです。人は見た目ではなく、中身。映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』でも描かれるように、遊んで見える人ほど実は真面目に生きている……。お金持ちだからといって甘えることがない、エル自身の芯の強さが表れています。

そして入学するとすぐにワーナーに再会しますが、彼には婚約者ができていました。また、4人だけ選ばれる教授のインターンにエルが選ばれるわけがないと言われると、エルは再び闘志を燃やし、もっと勉強に勤しむ決断をします。今までもたるんでいたわけではないけれど、一つギアを入れ直すのです。これはなかなかできるものではないし、入学できたという現状に満足してしまいそうなところ。強い意志を持って、他人に何を言われようと突き進むことの大切さを学ぶことができます。

また、エルは何に対しても悪口を言うことはありません。ワーナーにひどいことを言われようと、授業で恥をかかされようと、悪質な男に出会おうと、（一瞬は悲しむけれど）その経験をバネにさらなる飛躍を遂げるのです。すると次第にエルに偏見を持っていた人たちの見る目も変わってきます。純粋な気持ちを持って、他人に悪意や敵意を向けずに生きることで、周りの人にもハッピーと優しさが波及していくのでしょう。

『キューティ・ブロンド』を学生時代に観ていたらきっと勉強の助けになったに違いありません。（過去に戻れるならば、学生時代の自分に薦めたいと思っているほどです。）そして大人になった今でも、仕事に対して真摯に向き合おうという気持ちにさせてくれます。エルのような芯の強さと優しさを持っていれば、どんなことにも立ち向かうことができるはず。自分の生き方を改めて考え直さずにはいられない作品です。

『キューティ・ブロンド』
2001年製作／96分／アメリカ

出演者：リース・ウィザースプーン、ルーク・ウィルソン、セルマ・ブレア

監督：ロバート・ルケティック
脚本：カレン・マックラー・ラッツ、キルステン・スミス
音楽：ロルフ・ケント
撮影：アンソニー・B・リッチモンド
配給：20世紀フォックス映画

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伊藤万弥乃 (いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。
映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

執筆記事：https://linktr.ee/mayano
ブログ：https://ladybird99.com/

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伊藤万弥乃