『貴公子』公開記念！スタイリッシュで残酷…韓国ノワール・アクション傑作選
「THE WITCH 魔女」シリーズのパク・フンジョン監督が、巨額の遺産を巡って繰り広げられる攻防戦を予測不能な展開で描いた韓国ノワールアクション『貴公子』が、ついに今週4月12日（金）に公開されます。数多の傑作を生み出してきた韓国映画界ですが、今回はその中でも特筆すべき独自のジャンルである“韓国ノワール”の傑作４作品をお届けしたいと思います。
悪の世界に生きる男は初めての恋心を抱き、破滅に向かう。
『甘い人生』（2005）
若きイ・ビョンホンの出世作と名高い傑作。
クールで頭の切れる男ソヌ（ビョンホン）は7年かけて裏社会を上り詰めた。ある日、裏社会を牛耳るボスから愛人ヒスの浮気調査を頼まれ、別の男がいれば殺せと命じられる。ソヌは監視を続けていくうちに、いつしかヒスに心を惹かれていく…。
“仕事は完璧、だけど恋愛には不器用”。まるで少女漫画のような萌え映画？かと思いきや…『甘い人生』と名付けられたタイトルとは裏腹に、その中身は全っ然、甘くない。イ・ビョンホンの甘いマスクと、官能的なロマンスを求めて観始めたはいいが、そう単純な話ではなかった。戦闘シーンの描写はなかなかにハードで残酷。頭の一部が飛んだり、生き埋めにされたり…容赦がない。そしてやはり韓国ノワール、どこまでいっても世知辛く、非情な運命を見せつけてくれる。ほんの少しの同情心から、男の人生は一直線に破滅へと向かってゆくのだ。
出演：イ・ビョンホン、シン・ミナ、ファン・ジョンミン
監督・脚本：キム・ジウン
製作：オ・ジョンワン イ・ユジン
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唯一愛した少女を救うため、孤独な男は犯罪組織に単身で乗り込む。
『アジョシ』（2010）
「殺し屋と少女」の組み合わせが嫌いな映画ファンはそういないだろう。『レオン』を彷彿とさせる王道ストーリーに韓国ノワールのスタイリッシュで非情な味付けが盛り込まれ、また新たな傑作が生まれた。
辛い過去を背負い、孤独に暮らす元特殊作戦部隊要員の主人公テソク。彼にとって、自分を「アジョシ（おじさん）」と呼ぶ隣家の少女ソミだけが唯一心を開ける存在だった。しかし、麻薬密売に巻き込まれたソミは誘拐されてしまう。彼女を救うため、テソクは犯罪組織に単身で乗り込む。
圧倒的な存在感を放つテソク（ウォンビン）は多くを語らず、役作りのために鍛え上げた鋼のような肉体美で『ジョン・ウィック』を彷彿とさせるキレのあるアクションを徹底して魅せつける。キム・セロイ演じる少女ソミは薄幸ながらも凛として、かすかな生きる希望を感じさせ、孤独に生きる二人の切なくも確かな心のつながりが、救いのない世界に一筋の光を射し込んでくれる。
出演：ウォンビン、キム・セロン、タナヨン・ウォンタラクン
監督・脚本：イ・ジョンボム
製作：イ・テホン
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極限状態に置かれた男たちの友情
『新しき世界』（2013）
これこそが韓国映画の最高峰と言えるのではないだろうか。潜入捜査映画の傑作『インファナル・アフェア』を観た時の衝撃が蘇る。
警察官のジャソン（イ・ジョンジェ）は上司のカン課長（チェ・ミンシク）の命令に従い、韓国最大の犯罪組織に潜入していたが、自身に絶対的な信頼を寄せる組織のナンバー2であり、自分と同じ中国系韓国人のチャン・チョン（ファン・ジョンミン）を裏切っていることに罪悪感を抱きはじめる…。
これほどまでに緊張感のある映画を筆者は観た事がない。冒頭から見せつけられる拷問シーンが、ジャソンが警察の犬であるとバレた時にどんな目に遭うかをまざまざと見せつけ、緊張感が一気に張り詰める。
極め付けは、ジャソンを溺愛するチャン・チョンは組織に息を潜める“ジャソン以外の”ネズミを発見し、殺していくシーン。なぜジャソンの正体だけがバレていないのか？そんなわけがないだろう。
出演：イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、パク・ソンウン、ソン・ジヒョ
監督・脚本：イ・ジョンボム
製作総指揮：キム・ウテク
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韓国ノワール版「全員、悪人」
『アシュラ』（2016）
舞台は架空の犯罪都市、アンナム。まるでゴッサム・シティのような様相を呈するこの町には、正義のバットマンは存在しない。もはや気持ちが良いほどにに全員悪人、全員クズ。救いのない犯罪と陰謀のみが蔓延る地獄の都市だ。
利権を求めて悪事に手を染める市長パク・ソンべ（ファン・ジョンミン）、妻の治療費を稼ぐため犯罪を犯す汚職刑事ハン・ドギョン（チョン・ウソン）、手柄のためには手段を選ばない悪徳検事ムン・ソンモ（チュ・ジフン）それぞれの思惑が交錯し、生き残りをかけた怒涛のバイオレンスが展開していく。
まさに地獄絵図。全編を通じて血みどろの殺し合いが凄まじいのだが、極め付けはテンションをMAXにぶち上げてくれる壮絶なカーチェイスだ。『ワイルド・スピード』にも引けを取らないカメラワークで魅せるこのシーンが、この映画のイカれた熱量を爆発させた。
出演：チョン・ウソン、ファン・ジョンミン、クァク・ドウォン、チョン・マンシク
監督・脚本：キム・ソンス
製作総指揮：ハン・ジェドク
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いかがでしたでしょうか。目を覆いたくなるような理不尽とバイオレンスを描く韓国ノワールですが、どれもなぜか心を掴まれてしまう作品だと思います。『貴公子』を観る前に、韓国ノワールの世界観を堪能してみてはいかがでしょう！
【あらすじ】
予想もしなかった運命に翻弄され、巨額の遺産相続争いに巻き込まれた貧しい青年（カン・テジュ）。彼の前に現れた美しい顔立ちの男“貴公子”（キム・ソンホ）は味方か？ それとも悪魔か？
【キャスト】
キム・ソンホ「海街チャチャチャ」「スタートアップ」、カン・テジュ、キム・ガンウ、コ・アラ
【スタッフ】
監督・脚本：パク・フンジョン『THE WITCH/魔女』シリーズ
製作：Goldmoon Pictures『THE WITCH/魔女』シリーズ、Studio ＆NEW『ソウルメイト』『ビースト』
2023年／韓国／韓国語、英語、タガログ語／118分／カラー／2.39:1／5.1ch／原題：귀공자／字幕：関口智恵
配給：シンカ 宣伝：フラッグ 提供：貴公子フィルムパートナーズ
PG-12
公式サイト：https://synca.jp/kikoushi/
公式Ｘ：@SYNCA_asia ＃映画貴公子
© 2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.
2024年 ４月12日（金）新宿ピカデリーほか全国公開！
