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『SHOGUN 将軍』最終回直前!「大航海時代、“世界”を感じるワンダーな映画」特集(前編)

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

「SHOGUN-将軍」という大ヒットドラマ、いよいよ最終回の配信が近づいています。
このドラマを見ると学校の授業なんてのは、いかにデタラメで薄っぺらく一面しか取り上げないないか、よくわかります。いやもちろん、あのドラマが史実そのものだとは言いません、しかし、時代の真実に迫っている点で実に見ごたえのある歴史エンタテインメントであることは確かです。今回は、世界の大航海時代、日本ですと安土桃山時代~江戸初期にかけての映画ということで、ちょっと目からウロコのワンダーが詰まっている映画を特集。エンタメ好きも歴史ミステリー好きも満足いただけるはずです!

江戸時代初期の「島原の乱」、ご存じですかね?
これ、キリシタン弾圧に耐えかねた信者の民衆が、天草四郎という“神の化身”的な10代の少年をリーダーとして起こした反乱・一揆。という感じだと思いますが、実はちょっと違います。

島原にある歴史博物館に、島原の海沿いの城に立てこもったキリシタン勢が幕府にあてた手紙が残ってまして、そこには「重税を課すあの領主をなんとかしてくれ、我々は生きるため仕方なく武器をとったのだ」と、松倉という現地の殿様の異常さを幕府に訴えてます。原因は重税でした。

もちろん、キリスト教が民衆を結束させ、反乱軍が膨れ上がったのです、その数3万。思いの外組織化された軍の中枢にはかつてキリシタン大名に仕えた武士たちが集結し、戦争指導をしていました。首脳部はその手紙で条件を出しています。

「松倉を処刑せよ。キリスト教の信仰を認めよ。さもないとポルトガル軍を呼ぶぞ」

これも一揆や反乱というにはあまりにプロな要求で、10代の少年のわけがなく、彼らの実体は在日カトリック連合軍だったという事ができます。実際、ポルトガルでは以前から「信者の救援を名目に日本を討って、侵略してしまおう」という意見が度々上がっていたようです。でもそれは実現しなかった、なぜか?

世界はこの時、世界帝国と言われたスペインとポルトガルのカトリック勢と、スペインから独立したオランダとエリザベス女王のイギリスのプロテスタント勢による世界を股にかけた宗教戦争の真っ只中。ポルトガルはマカオを取り、スペインは支配地に国王フェリペの名を付けフィリピンとしました。そこにガッツリ入ってきたのが新興国のオランダとイギリス、アジアにも宗教戦争の対立が持ち込まれ、日本はその緊張状態の中にあったのです。

今、ディズニープラスで記録破りの大ヒットとなっている話題のドラマ「SHOGUN-将軍」はそのあたりの世界情勢が日本にどのような影響を与えていたのか描いています。家康(劇中では虎永)役の真田広之と共に主演を務める按針(ウィリアム・アダムズ=劇中ではジョン・ブラックソーン)は、ドーバー海峡でスペインの無敵艦隊を破った英国艦隊の司令官ドレークの配下で働いてたことがわかっています。

このドラマ、ニッポン表現で不自然な点はあるものの、実は世界の目線でみた当時の政治情勢は大河ドラマなんかより、こちらの方が真実に近いかもしれない。キリスト教化の後、日本支配を画策するポルトガルの魔の手と、虎永(家康)が新興国イギリスの按針を起用して対抗していく姿が描かれ、まるで「ゲーム・オブ・スローンズ」のような謀略と予想もつかない展開が待ち受けています。何より「あの時代、世界はこんなに近かったのか」と驚かされます。

実際、九州はやばかった。キリシタン大名が多数現れ、神社や寺が破壊され、長崎は一時ローマ教皇領になっていたわけですから(長崎に昔からの神社や寺がないのはこの時にほぼ破壊されたからです。)。おまけに日本人は奴隷化され売り飛ばされてたりしていた。だから家康にとってキリスト教の布教をせず貿易のみをしてくれるプロテスタントのイギリスとオランダは願ってもない相手だったわけです。

さて、島原の乱ですが、3万人の反乱軍に対して、幕府軍は関ケ原の戦いを上回る12万人もの討伐軍を投入。徳川幕府軍、最後の総力戦でした。

城を包囲してしばらくの後、水平線に軍艦の影が見えた。
「ポルトガル軍が救援にきた!」
籠城している反乱軍が歓喜の声をあげたのもつかの間、その軍艦は大砲を城に向け撃ってきた。
それはポルトガル軍ではなく、幕府が呼び寄せたオランダ軍の船だったのです。
「救援は来ない」。心理的ダメージは非常に大きく、オランダの大砲がうなる中、反乱軍は崩れていきます。

この時、もはや家康は死んでいますが、「世界」を使って幕府を脅してきた相手に、「世界」を使って砕く、戦争慣れした知恵者がまだまだいたかんじがしますね。オランダは幕府に気に入られるため、喜んで軍艦を派遣したそうです。戦国時代から江戸時代初期まで日本は世界の大航海時代にあって、日本人が思っている以上に重要なキャストであったことは間違いないでしょう。

この後、日本は鎖国に入りますが、この辺りの展開から考えると、我々がなんとなく考えているような「鎖国=引きこもり」というようなものでは全くなく、オランダとの同盟関係の上にカトリックの影響力を根絶させるための積極的な手段だったのかもしれないですし、オランダ艦隊を動かせるほどの外交上手は一方で、日本が即座に10万人を超える兵力を動員できたり、20万挺を超える銃の保有数など当時のスペインをも上回る圧倒的な重武装国家であることに裏打ちされています。それが証拠に、その後200年間にわたって日本には誰も攻めてこなかったのですから。

 

というわけで、「大航海時代のワンダーな映画」として、「SHOGUN-将軍」の他、以下を紹介したいと思います。

『1492 コロンブス』

『エリザベス:ゴールデン・エイジ』

『魔界転生』

『黄金の日日』

ちなみに、この反乱の元々の原因をつくった松倉の殿様は、その後、幕府によって斬首に処されました(切腹ではない)。
お家は断絶、いつの時代の重税はいただけません。

 

※後編の記事はこちら

 

▪️ここまでの『SHOGUN 将軍』(1話〜8話)
1600年の日本。それまで日本を統一していた太閤がこの世を去り、諸国は五人の大老によって治められていた。関東地方を治める大名、吉井虎永(真田広之)は、大坂城の城主でもある五大老のひとり、石堂和成(平岳大)の策略によって他の大老たちと対立関係に陥ってしまう。虎永は外国船で漂着した英国人航海士ジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)に出会い、言葉のわかる戸田鞠子(アンナ・サワイ)の通訳を得て対面。“按針”と呼ばれることになったブラックソーンは虎永と行動を共にする。囚われていた大坂城から脱出した虎永は石堂たちに立ち向かう準備を進めるが、石堂は太閤の側室・落葉の方(二階堂ふみ)の後ろ盾を得て他の大老を掌握。兵を失い、我が子・長門(倉悠貴)も失い、打つ手のない虎永はついに降伏を宣言するが、賛成できない家臣の広松(西岡德馬)は切腹。虎永は最側近であり、最も頼りになる広松を失い、さらなる窮地に立たさされる。虎永はすべてを失った。あとは降伏あるのみ。そのことを伝えるため、家臣の樫木藪重(浅野忠信)、按針、鞠子は石堂への使者として大坂に旅立った。

▪️【4/16(火)配信】第九話「紅天」予告
大坂にたどりついた藪重は貢物として按針を石堂に差し出す。幼少期を共に過ごした落葉の方と再会した鞠子は、石堂に「虎永は1か月後に大坂にやってくるが、その前に虎永の正室・桐の方(洞口依子)と静の方を連れて江戸に戻る」と宣言する。石堂はその要求をはねのけるが、鞠子は自らの命に変えてでも、ふたりを江戸に連れ戻すという。彼女の硬い決意、そして鞠子の使命がいま、明らかになろうとしていた。

▪️【来週4/23(火)配信】 第十話「夢の中の夢」予告
襲撃によって大坂に動揺が広がるが、五大老は江戸にいる虎永に攻め入ることを決断。按針は藪重と共に虎永の領地・網代に戻る。藪重は謀反の疑いで網代につくと拘束され、切腹を命じられる。そして按針は自分の船が何者かに壊されているのを知り、犯人を探そうとするが虎永に止められる。藪重の切腹の日。介錯を務めることになった虎永は静かに語り出す。それは虎永が長年にわたって遂行してきた秘策の正体、誰も予想できなかった衝撃の真実、この国への想い、そして未来に向けた壮大な策の全貌だった。

『SHOGUN 将軍』
2024年2月27(火)からディズニープラスで独占配信開始
(c)2023 Disney and its related entities
公式サイト:https://www.disneyplus.com/ja-jp

 

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