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今夢追う者を描かせたら、右に出る者はいない!<ミュージカル界を代表する最強クリエイター>リン=マニュエル・ミランダ特集

今、ミュージカル界を代表する才能として知られるリン=マニュエル・ミランダを知っていますか?主演や作詞、作曲をこなしミュージカル界に新たな風を吹き込み、今まで若者や今までミュージカルを見たことない人たちをブロードウェイに呼び込んできました。その才能はどこが凄いのか?今回は彼の作品で中心となる「夢追う者」を切り口に現代ミュージカル界の至宝・リン=マニュエルミランダを特集します。

文:ハルラ(映画のロケ地巡りが好き)

 

①『イン・ザ・ハイツ』(2021)
監督:ジョン・M・チュウ
出演:アンソニー・ラモス ほか

Amazon Primeで視聴するこちら

「夢を追う者を描いたミュージカル」で自らも夢を手にする…!

ミランダが初めてブロードウェイでデビューし、作曲・作詞から主演までこなしたのがミュージカル『イン・ザ・ハイツ』。今作は21年に公開された映画版です。初演は2008年。ミュージカルと言えば、バラードが多かった時代に、ヒップホップを取り入れたキャッチ―なミュージカルは、当時絶賛されました。そして驚くことに、彼が今作の元となったミュージカルを上演したのは、ミュージカルの主人公と同じく“夢を追いかけていた”大学生の時。元となったミュージカルを大学で上演したところブロードウェイ関係者や周囲で話題になったので、ミランダはこのミュージカルを9年かけてブラッシュアップしブロードウェイで上演。そして“夢を追いかける者たちを描いた”初作でトニー賞(ミュージカル界のアカデミー賞)作品賞を受賞。自らも夢を掴んだ男として、ミュージカル界でたちまち話題になりました!

 

②『ハミルトン』(2020)
出演:リン=マニュエル・ミランダ

Disney +で視聴するこちら

”夢を追いかけ”、史上最高の大成功…!

そして彼の名前を一躍押し上げたのが『ハミルトン』。貧しい出身ながらも情熱を武器に、アメリカの合衆国建国の父の一人まで上り詰めたアレクサンダー・ハミルトンの人生を基に制作されたミュージカルです。今作でもミランダは作曲・主演・作詞、脚本まで務め、これがアメリカで特大ヒットし社会現象になりました。

今作のすごいところは、アメリカ建国の物語ながらも史実と異なるキャスティングで、メインキャストはほぼ白人以外のキャスティングをしたこと。これが話題となり、愛国心の強い人だけでなく普段ミュージカルを見ないような人や学生たちにも歴史の教材として上演され現代ミュージカルでは最大のヒットを記録しました。ちなみに今回ご紹介した配信版は、ミュージカルを収録したもので配信買収額は約82億5千万円!この金額は映画も含んだ1つの作品に対する買収額としては最大規模だそう…!

③『モアナと伝説の海』(2016)
監督: ロン・クレメンツ、 ジョン・マスカー
出演:アウリー・クラバーリョ、ドウェイン・ジョンソン ほか

Disney +で視聴するこちら

③ディズニーと最強タッグを結成、現代ならではの”夢”を描く

そんな自らの仕事で「夢」を掴み、現実にしてきたミランダの最近の仕事は、「夢」のある映画の多いディズニーとの仕事が多く、今作『モアナと伝説の海』もその一作。メイン曲として使われている「How Far I’ll Go」はミランダ作曲で、ミランダの名前は聞いたことなくでもこの曲は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?今まで「人魚から人間になりたい」「いつかプリンスと出会いたい」など明確な夢があったディズニープリンセスとは一味違い、「行けるところまで行ってみたい」という不明確ながらも確実な向上心を表現した曲は現代色の強い”夢”ソングとして私たちの心情に寄り添いました。

ちなみにミランダ作曲で公開が控えているディズニー作品としては実写版『リトルマーメイド』があります。こちらではディズニー映画を長年リードしてきた作曲家アラン・メンケンと音楽を協同プロデュースするそうで、私たちに”夢”を届けてくれる新旧ディズニー作曲家の仕事が楽しみ!

④『tick, tick…BOOM! チック、チック…ブーン!』(2021)
監督:リン=マニュエル・ミランダ
出演:アンドリュー・ガーフィルド ほか

Netflixで視聴する(11月19日より配信)こちら

ミランダが次に描くのは”夢を追う恐怖”

”夢”を追う若者を描いてきたミランダですが、最新作では”夢を追う恐怖”が物語の中心となっています。確かに夢を追っている時は、大半はつらいことばかりで喜べる瞬間は一握りだけのことが多いですね。「もし時間をかけて何も変わらなかったら…?」「もしかしたら時間の無駄なのかもしれない…」、そんな経験誰しもあるのではないでしょうか。今作では時間に追われ成功できないことに悩みながら、『RENT レント』で演劇界に革命を起こしたジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカルをミランダが初監督として映像化します。今まで夢を追う”素晴らしさ”を描いてきたミランダですが、今作では今までとは違って夢を追う”恐怖”を描くということで、楽しみです!

 

そして最後に番外編として、一つだけ…

番外編『Bigger』(2013年Tony賞オープニング)(2013)

作曲:リン=マニュエル・ミランダ、TOM KITT
出演:ニール・パトリック・ハリス

個人的に筆者がミランダの作品で一番好きなのは、2013年のトニー賞(ミュージカル界のアカデミー賞)オープニング曲「Bigger」。今作はたった数分ですが、ミランダの”夢”に対するまっすぐな想いが音楽にのって伝わってきます。今作にこんなフレーズがあります。「大成功しているところを子供に見せることで、憧れられるようなビッグな仕事をしたい。なぜなら昔は僕もずっと憧れている少年だったから」。

夢を追いかけ、現実にして大成功したミランダだからこそ描ける「夢」への恐怖や想いが楽しみですね!『tick, tick…BOOM! チック、チック…ブーン!』は11月12日から限定劇場公開。11月19日からはNetflixにて全世界独占配信されます。