【レコメン広場】「俺と私とブルース・ウィリス」/②正真正銘、ど真ん中のエンターテインメント・ムービー『ハドソン・ホーク』
先日、俳優業から引退を発表し世界中を驚かせたブルース・ウィリス。TVドラマ『こちらブルームーン探偵社』(85~89)で役者として注目を集めはじめ、その後、傑作アクション映画『ダイ・ハード』(88)の主演を務め大ヒット記録。名実ともにハリウッドのトップスターとして、シュワルツェネッガーやスタローンと肩を並べる存在になりました。以降はアクション映画を中心に数多くの作品に出演。我々を夢中にさせてくれました!
そこで今回のレコメン広場では、皆さんとブルース・ウィリスにまつわる思い出を大募集!熱い想いを綴って頂きました!
⬛︎投稿者:ぜんぞう さん
正真正銘、ど真ん中のエンターテインメント・ムービー『ハドソン・ホーク』
殺しても死なないタフな奴…、言わずと知れた『場違いな場所に、間違った時に現れる男』ジョン・マクレーン。
1988年、劇場で初めて『ダイ・ハード』を見た時から、ジョン・マクレーン=ブルース・ウィリスは僕のヒーローの1人になった。どこにでもいそうな妻と不仲の中年の男が、ボヤきながら愚痴りながら、たった1人、高層ビルを占拠したテロリストに立ち向かう。不屈の闘志を貫くマクレーンの姿に胸を打たれた。続く『ダイ・ハード2』でもマクレーンはボヤき愚痴り、テロリストをジャンボジェットごと吹き飛ばしていた。
こうなって来ると楽しみなのは『ダイハード3』だ。当時の映画情報誌『ビデオでーた』が『ダイ・ハード3』のストーリー予想を行っていた。『ダイ・ハード』シリーズは、1と2の原作がそれぞれ違う珍しいシリーズで、1はロデリック・ソープ『Nothing Lasts Forever』、2はウォルター・ウェイジャー『58 Minutes』。それぞれ主人公も舞台も違うスケールの大きいサスペンス小説を、マクレーンの物語に脚色。3も何かしらのサスペンス小説を原作にするに違いない、と『ビデオでーた』は推測し、候補となる作品を挙げていた。僕はそれらのサスペンス小説を夢中になって読み漁り、果たして次作のマクレーンは如何なる困難に立ち向かうのかと夢想した。なんなら未だにその夢想は続いているのだが、それはまた別の話。
期待に胸を膨らませていた僕の前に、予想もしない姿でブルース・ウィリスは現れた。
その名も怪盗ハドソン・ホーク!
ブルース・ウィリス自身が長年温めていた企画、『ハドソン・ホーク』。ハドソン川に吹く風『ホーク』から取った名前を持つ怪盗。レオナルド・ダ・ヴィンチの残した錬金術を求め、怪盗ハドソン・ホークが世界を駆け巡る…。僕のもう1人のヒーロー、インディ・ジョーンズのを彷彿とさせる『宝探し映画』ではないか!或いは実写版『ルパン三世』か?
しかも監督はマイケル・レーマン。シニカルな青春バイオレンスコメディ映画『ヘザース』の監督。『ヘザース』は僕のフェイバリットムービーのひとつ。ブルース・ウィリス+宝探し映画+マイケル・レーマン。面白くないわけがない。
思いもかけない新作情報に興奮し、劇場公開をいまかいまかと待ち続けた。
そして遂に劇場公開が始まり、僕は劇場にかけつけた。
結論から言うと『ハドソン・ホーク』は大傑作だった。
黒いハットに黒いロングコート。軽やかに大胆に、陽気な相棒トミー(ダニー・アイエロ)と共に歌を唄いながら、美術品を盗み出す。軽妙洒脱。大胆不敵。怪盗ハドソン・ホークことエディ・ホーキンスの大活躍に興奮しっぱなしだった。ジョン・マクレーンとは一味も二味も違う、ブルース・ウィリスは新たな魅力をスクリーンに炸裂させていた。ダ・ヴィンチの発明した錬金術マシンで世界転覆を図るメイフラワー夫妻。暗躍するCIAのキャプラン(ジェームズ・コバーン!)とその愉快な仲間たち(『CSIマイアミ』のホレイショことデヴィッド・カルーソがびっくりするようなふざけた役を演じている)。チラっと顔見せ程度のマフィア兄弟のマリオ・ブラザーズ(兄はフランク・スタローン!)ら、とにかく一癖も二癖もあるエディとトミーをあの手この手で追い詰める。
バチカンの秘密諜報員アンナ(アンディ・マクダウェル)とのロマンスも物語を彩り華やかに魅せる。マイケル・レーマンのシニカルな笑いはやや鳴りを潜めていたものの、破天荒な物語とダイナミックなアクションの連続を手堅く演出。巨匠マイケル・ケイメンの音楽は『ダイ・ハード』に続きブルース・ウィリスと実に相性が良い。ブルース・ウィリス、ダニー・アイエロ自身によるご機嫌な劇中歌。
何もかもが最高で、まさにインディ・ジョーンズとルパン三世の邂逅であり、それこそがハドソン・ホークであった。
劇場鑑賞からしばらくの後、中古ビデオを手に入れた僕は、テープが擦り切れるほど何度も何度も鑑賞し、友人たちに貸し出しては布教して回った。
時は経ち、どうやら『ハドソン・ホーク』の世間の評価と自分との間に大きな剥離があることを知る。曰く、ギャグが滑っている、物語が支離滅裂、キャラクター造形が幼稚etcetc…。ゴールデンラズベリー賞を多数受賞…。ゴールデンラズベリー賞はとりあえず置いておいて、まったく納得のいかない批判ばかり。挙句の果てには『カルト映画』として評価されている、とは。全然嬉しくない。まったく失礼してしまう。『ハドソン・ホーク』は、正真正銘、ど真ん中のエンターテインメント・ムービーなのだ。
てらさわホークさんと大山くまおさんのユニット『ダブルダイナマイトのおしゃべり映画館2022』動画内で「『ハドソン・ホーク』は『デッドプール』感が凄いある」と評されていて、なるほど、と思った。画面から観客に話しかけてくる、いわゆる第四の壁を破るメタ要素があったり、歌って踊るアクションコメディ…。たしかに『デッドプール』のようだ。「90年代初頭では早すぎた」とも評されていた。
たしかに、たしかに、そうかもしれない。
だけど。それでも。『ハドソン・ホーク』は宝を探し、悪漢と戦い、美女と恋に落ち、相棒と陽気に歌い、カプチーノを飲み干すヒーローであり、正真正銘、ど真ん中のエンターテインメント・ムービーなのだ。みなさんも、是非、いまいちど『ハドソン・ホーク』を見直して欲しい。正真正銘、ど真ん中のエンターテインメント・ムービーがそこにある。
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★まだまだ投稿お待ちしてます!
【レコメン広場】「俺と私とブルース・ウィリス」受付けスタート!あなたとブルース・ウィリスにまつわる思い出を大募集!
【募集要項】
投稿内容:「ブルース・ウィリスにまつわる思い出」
文字数制限:なし
募集時期:4月11日(月)~4月29日(金)
掲載時期:4月25日(月)から順次掲載
※公序良俗に反する内容など、不適切な投稿は掲載しない場合があります。あらかじめご了承ください。
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