明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#19 今も愛されるハチャメチャおバカ映画『裸の銃を持つ男』(1988)
映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。全20回に渡って「生きる原動力になるコメディ映画」をテーマに1本ずつ映画を紹介させていただきます!(※ネタバレを含みます)私がコメディ映画を観たいと思うのは、心が沈んでいるときや現実逃避をしたいとき。だからこそ、爆笑までしなくとも、観ている間だけでも楽しい気分にさせてくれる作品をテーマにピックアップしていこうと思います。
日本のお笑いにもつながるおバカ映画!
『裸の銃を持つ男』(1988年)
今回は腹を抱えて笑えて、悩みもどこかに吹き飛ばしてくれる『裸の銃を持つ男』をご紹介します!
主人公はロサンゼルス市警に勤める白髪頭のフランク・ドレビン警部(レスリー・ニールセン)。ある日、同僚が麻薬密売組織に重傷を負わされたことから、その事件の捜査を任されます。事件について調べていくうちに、実業家ヴィンセント(リカルド・モンタルバン)に目をつけるように。ヴィンセントは、エリザベス女王のロサンゼルス訪問を狙い、報酬と引き換えに暗殺を企てていました。
ここまでのあらすじを聞くと、しっかりした刑事ものに思えるかもしれません。しかし、映画を再生するや否や笑いのオンパレード。以前ご紹介した映画『ポリスアカデミー』のファックラーのように、フランクのやることなすことが全てドジにつながっていきます。それでも最終的には結果を残しているから、刑事としての仕事を続けられているのでしょう……。彼を見ていると、“人生何でもありかも”と思わずにはいられません!
また、日本のお笑いの教科書なのでは?と思ってしまうほどよくテレビで見るような王道のボケも詰まっているのですが、実は志村けんはレスリー・ニールセンが生み出す笑いも参考にしていたそうです。(※1、2)レスリー・ニールセンは2010年に亡くなりましたが、生きていれば今年で98歳。彼の繰り広げてきた笑いが今も全く色褪せることなく楽しまれていて、ユーモアは変わらないんだなと改めて実感させられます。映画ではフランクが息つく間もなくドジをしまくるため、ぜひ笑いまくる覚悟で観てください!
さらに、3作品を通じてヒロインのジェーンを演じているのは、エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラ。1作目にヴィンセントを調べていく中でフランクと出会います。元々美しいのですが、こんなおバカムービーだからこそ、さらに美しさが際立っていてそれすらもシュールに……。3作目ではフランクが警察を退職。弁護士になった(!)ジェーンと結婚したものの、半年で既に危機に陥るなど、2人の関係が発展していく過程も見ることができます。
■元大統領などそっくりさんが多数出演!
本シリーズには毎回そっくりさんが出演。 『裸の銃を持つ男』ではエリザベス2世、『裸の銃を持つ男 PART2½』ではジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)、『裸の銃を持つ男PART33 1/3 最後の侮辱』ではビル・クリントン大統領(当時)、ヨハネ・パウロ2世らが登場します。本物のエリザベス女王は、映画公開から間もなく、1991年5月にオークランド・アスレチックスとボルチモア・オリオールズの試合を観戦したとのこと。 2022年にエリザベス女王が亡くなった際には、1作目のエリザベス女王が登場するシーンがSNS上に多くアップされていたようで、事あるごとに思い出されるほど愛され続けている作品です。(※3)
また先日、リーアム・ニーソン主演のリブート版が2025年7月に全米で公開されるというニュースが報じられました。(※4)スタジアムを使ったり、アカデミー賞授賞式を舞台にしたりと3作品とも規模が大きかった『裸の銃を持つ男』シリーズ。現在ではポリコレ的に難しそうなお笑いもある中、どれほど大規模な現代版フランクが誕生するのか、今からとても楽しみです!
【参照】
※1 PRESIDENT Online、志村けんが「日本の喜劇王」になれた知られざる理由(2024年3月18日閲覧)
https://president.jp/articles/-/42281?page=2
※2 withnews、志村けんが50代で役者業を始めた理由 弟子が明かした〝ぶれない軸〟(2024年3月18日閲覧)
https://withnews.jp/article/f0220303000qq000000000000000W0e410501qq000024320A
※3 LosAngles Times、When ‘Queen Elizabeth’ came to Dodger Stadium: Let’s revisit that ‘Naked Gun’ scene(2024年3月18日閲覧)
https://www.latimes.com/entertainment-arts/story/2022-09-08/queen-elizabeth-death-naked-gun-baseball-scene-leslie-nielsen
※4 Variety、‘Naked Gun’ Remake Set for 2025 by Paramount; ‘TMNT’ and ‘Paw Patrol’ Sequels Dated for 2026(2024年3月18日閲覧)
https://variety.com/2024/film/news/naked-gun-remake-2025-paramount-tmnt-paw-patrol-sequel-2026-1235925545/
『裸の銃を持つ男』(1988)
Prime Videoで視聴する⇒こちら
huluで視聴する⇒こちら
AppleTV+で視聴する⇒こちら
U-NEXTで視聴する⇒こちら
【ストーリー】
アメリカと敵対する国々の指導者を成敗したロス市警フランク・ドレビン警部。帰国した彼は相棒ノードバーグが銃撃され、致命的な重傷を負ったことを知らされる。早速、捜査を始めたドレビンは財閥王ルドヴィグがたくらむ国際的大陰謀を探り当てるのだった。
【キャスト】
レスリー・ニールセン、プリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディ、リカルド・モンタルバン、O・J・シンプソン、ナンシー・マーチャンド、スーザン・ボービアン
【スタッフ】
監督:デヴィッド・ザッカー
音楽:アイラ・ニューボーン
脚本:デヴィッド・ザッカー、ジム・エイブラハムズ、ジェリー・ザッカー、パット・プロフト
製作:ロバート・K・ワイス
伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。
大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。
シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事:https://linktr.ee/mayano
ブログ:https://ladybird99.com/
関連記事:【ENDROLL】「ライターとして生きる。」ライター 伊藤万弥乃 さん(前編)
- 明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#18 女性コメディアンによる本格コメディ映画『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』
- 明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#20 この世は遊び場!『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)