明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#15『僕の中のあいつ』韓国発の入れ替わりコメディ!
映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。全20回に渡って「生きる原動力になるコメディ映画」をテーマに1本ずつ映画を紹介させていただきます!(※ネタバレを含みます)私がコメディ映画を観たいと思うのは、心が沈んでいるときや現実逃避をしたいとき。だからこそ、爆笑までしなくとも、観ている間だけでも楽しい気分にさせてくれる作品をテーマにピックアップしていこうと思います。
今回は韓国から!入れ替わりコメディ
『僕の中のあいつ』
今まで14回に渡って日本とアメリカのコメディを中心にご紹介してきましたが、今回は韓国から『僕の中のあいつ』をご紹介します!
アイドルグループB1A4のジニョンとパク・ソンウンが共演した本作は、『君の名は。』『ザ・スイッチ』など、映画では王道な“入れ替わり”をテーマにした作品ですが、役者それぞれのキャラクターや韓国作品らしさが前面に出ている内容の濃い映画です。
ある日、弱いものから金を巻き上げる強面社長のパンス(パク・ソンウン)が電話しているところに、いじめられっ子でふくよかな男子高校生ドンヒョン(ジニョン)がビルの上から降ってきて衝突し、その衝撃で魂が入れ替わってしまいます。そして病室で起きた頃には、パンスはドンヒョンの体に。一方、パンスの元の体は目覚めておらず、仕方なくドンヒョンとしてしばらく生きていくことに決めるのでした。
パンスはどんな手を使うことも厭わない冷酷な人間ということもあって、新たなドンヒョンはいじめっ子のことも全く相手にしません。一方、頭を打っただけで性格が変わってしまった彼に、周りは驚きを隠せませんでした。そんな中、同じクラスで同じくいじめられている女子高生ヒョンジョン(イ・スミン)が、パンスの娘であることが明らかになり……。娘を助けようと奮闘するドンヒョンは、ヒョンジョンから好意を向けられますが、パンス自体はヒョンジョンの母親・ミソン(ラ・ミラン)に未練があるようで、より関係が複雑になってしまうのでした。
コメディとして注目すべきシーンは?
物語はテンポよく進んでいきますが、“入れ替わる”ということは、自分の心に体が適応していない場合もありますよね。ドンヒョンは大柄で、2人が衝突する直前に初めて出会った時もラーメンを何杯も食べていました。そのためか、とあるシーンで、ドンヒョンになったパンスは食欲が止まらないと嘆きながら、スナック菓子を食べつくしてしまいます。事情を知っているパンスの部下であるパン・マンチョル(イ・ジュンヒョク)が、パンスの姿に慣れていないそぶりを見せるのも相まって、面白おかしく感じてしまうシーンの1つです!
さらに、いじめっ子グループたちを撃退するシーンも必見!威勢がいいだけで、実際のケンカは全くできない子犬のような本来の姿が露呈して、やられる時にも変な声が出てしまうシーンは笑わずにはいられません。自分を強く見せるために弱いものをいじめるという危険な思考を持つ、同級生たちに対するモヤモヤをパンスが吹き飛ばしてくれます。
今まで見た目がドンヒョンになってしまったパンスについて述べてきましたが、その逆の、パンスの見た目になってしまったドンヒョンの言動も注目してみてください。強面でありながら心は気弱なドンヒョンという複雑なキャラクターをパク・ソンウンが演じ切っているのですが、「演技が素晴らしい!」と感じると同時に面白さもこみ上げてきてしまいます……。物語の後半、ぜひチェックしてみてください!
最後に……「トッケビ」「マイ・デーモン」などファンタジー系の韓国ドラマには、“不思議な老婆が出てきて、問題を抱える主人公に試練を与える”というシチュエーションが多く存在しますが、本作も例外ではありません。2人は入れ替わったことで、どんな結末を迎えるのか、楽しみに見てみてください!
次第にドンヒョンが瘦せていき、ジニョン本来の姿も現れるので目の保養にもなる本作。ポスターもかなりコメディ色が強く、ハッピーになれるシーンが多い作品ですが、家族や仲間との絆も印象的に描かれています。笑えて、スカッとして、最後には幸せになれる映画です。
『僕の中のあいつ』(2019)
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【ストーリー】
ひ弱な高校生ドンヒョンは不良生徒からいじめに遭い、校舎から転落。偶然、真下にいた“一流財閥”の社長パンスの上に墜落し、二人の肉体が入れ代わってしまった! 心は大人なのに容姿が高校生になってしまったパンスは周囲に真実を伝えようとするが、性格や言動が急に中年オヤジに豹変したことを「頭を打ったせい」と誰も取り合ってくれない。仕方なく高校生活を送ることにしたパンスは、不良グループをやっつけ、クラスメイトの女子ヒョンジョンと親しくなった。だが彼女と自分との間の“秘密”を知ってしまい…。
【キャスト】
ジニョン、パク・ソンウン、イ・ジュニョク、ラ・ミラン、イ・スミン
【スタッフ】
監督:カン・ヒョジン
製作:キム・ボンジュン
脚本:パク・デソン カン・ヒョジン
撮影:ソン・サムウン
美術:キム・ヨンタク
音楽:キム・ウニョン
伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。
大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。
シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事:https://linktr.ee/mayano
X:https://ladybird99.com/
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