MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#6 『星の王子 ニューヨークへ行く』

映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。全20回に渡って「生きる原動力になるコメディ映画」をテーマに1本ずつ映画を紹介させていただきます!私がコメディ映画を観たいと思うのは、心が沈んでいるときや現実逃避をしたいとき。だからこそ、爆笑までしなくとも、観ている間だけでも楽しい気分にさせてくれる作品をテーマにピックアップしていこうと思います。

今回選んだのはエディ・マーフィ主演
『星の王子 ニューヨークへ行く』

第5回となる今回選んだのは映画『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988年)です。主人公を演じるエディ・マーフィはスタンドアップコメディアンとして頭角を現し、その後『ビバリーヒルズ・コップ』『ドリームガールズ』など様々な映画作品に出演した、言わずと知れたコメディ俳優です。現在『ホーンテッドマンション』が公開中ですが、2004年に公開された同作でも主演を務めています。

物語の舞台は象やシマウマ、キリンが行き交うアフリカ・ザムンダ国。王子のアキーム(エディ・マーフィ)が、21歳の誕生日を迎えるところから始まります。ながーいテーブルをはさんだ食事が日常だったり、歩くたび花びらが巻かれたり、(客観的に観ると面白いけれど)無駄な慣習にウンザリとしているアキーム。21歳になると妃に会うことが習わしでしたが、アキームは自分の意見を持った理想的な女性と愛のある結婚がしたいと両親に話します。「好きな食べ物は?」「あなたが好きなものです」といった、頭の使わない会話は確かに嫌になりますね……。そして結婚する前に世界を見たいという口実で、アキームは友人のセミ(アーセニオ・ホール)と一緒にニューヨークへ、まだ見ぬ愛する人を探しに行くことになります。

2人が訪れるクイーンズという町は、タクシー運転手が「庶民だらけだ」という通り、ニューヨークの中でも帰属意識が高く、移民が半数を占める町。そんな、いわゆる“ニューヨーク”らしさがない町の、殺人事件があった部屋を起点に物語は進んでいきます。町に溶け込みかけた頃、アフリカ系移民たちが集まる教会で、リサ(シャーリー・ヘドリー)と運命の出会いを果たすことに。彼女に一目ぼれしたアキームは、彼女の家族が経営しているマクドナルドもどきのファストフード店でアルバイトをして近づこうと考えます。

バイトもニューヨークでの暮らしも様になってきたある日、リサはパーティーで彼氏と父親の陰謀により、勝手に婚約を発表されてしまいます。それを見たアキームはリサを慰め、2人は一気に距離を縮めていくのでした。リサなりの気遣いだと思うのですが、王族という身分を隠しているアキームに対して「貧乏なことは気にしなくていいのよ」と言うのは、個人的にちょっと見下されているように感じてしまいますが……(笑)“彼そのものが好き”という意味での、彼女なりの優しさなのでしょう。それを親切心だと受け入れるアキームも純粋な心の持ち主です。

映画全体としてもわかりやすい物語構成で、すれ違いが解消されていくスッキリさも本作の魅力。加えて、桁違いのお金が出ていくという少しぶっ飛んだ話になっているところが、現実離れをしていて面白い点でもあります。

2021年にPrime Videoで続編が配信!

また、2021年には前作の30年後が描かれた続編『星の王子 ニューヨークへ行く2』がAmazonプライム・ビデオで配信されました。アキームは3人の娘に恵まれましたが、息子がおらず、後継者となる男性を婿に迎え入れる必要がありました。その弱みに付け込んだ隣国のネクスドリアは、自分の息子を婿にしなければ攻め入ると脅してきます。そんな混乱の中、30年前にニューヨークに行ったあの日、実はアキームが息子を作っていたことが明らかになるのです……。アキームは、国を守るため、息子を探しに再びニューヨークに訪れることになります。

アキームの父で国王のジャッフェ・ジョッファ王(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の葬儀の際には俳優のモーガン・フリーマンやラッパーのリック・ロスをはじめ、有名人が次々と登場します。現代らしいポップな笑いと、前作に登場したキャラクターたちの30年後の姿なども見ることができ、パワーアップした面白さと懐かしさが作品を盛り上げていきます。

また、前作では許嫁と結婚しなければならないという法律を覆したアキームでしたが、2作目では、(紆余曲折ありますが)女性は国を統治できないという法律を変更することを決意します。法律のために息子のラヴェル(ジャーメイン・ファウラー)を探し、国王にしようとしてきましたが、長女のミカ(キキ・レイン)はずっと国を統治するために努力をしてきていたのです。前作でも時代に寄り添った内容でしたが、2作目も男女平等の社会を描くという内容になっています。大きな国の王子という立場で考えると、とても我々の日常に落とし込めるような物語ではありませんが、愛を求めて生きることの素晴らしさを教えてくれる作品です。

ちなみに、両作品ともに、エディとアーセニオは何役も演じているのはお気づきでしょうか? クイーンズで出会う理容師やおかしな女性、牧師にぜひ注目してみてください!

 


伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。
大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。
シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

執筆記事:https://linktr.ee/mayano
ブログ:https://ladybird99.com/

関連記事:【ENDROLL】「ライターとして生きる。」ライター 伊藤万弥乃 さん(前編)

 

『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988
U-NEXTで視聴する⇒こちら
Apple TVで視聴する⇒こちら
huluで視聴する⇒こちら

【ストーリー】
アフリカの王国ザムンダで21歳になったアキーム王子。自分の花嫁を父親に決められたことに反発した彼は、世話係を従えてニューヨークへ花嫁探しにやってくる。安アパートの一室で生活を始め、やがて慈善イベントで出会ったリサに一目ぼれするが…。

【キャスト】
エディ・マーフィ、アーセニオ・ホール、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ジョン・エイモス、マッジ・シンクレア、シャリ・ヘッドリー

【スタッフ】
監督:ジョン・ランディス
脚本:デビッド・シェフィールド、バリー・W・ブラウスティン
製作:ジョージ・フォルセイ・ジュニア、ロバート・D・ウォッチス
製作総指揮:マーク・リップスキイ、レスリー・ベルツバーグ
音楽:ナイル・ロジャース
主題歌:「Coming to America」THE SYSTEM
撮影:ウディ・オーメンズ
編集:マルコム・キャンベル、ジョージ・フォルシー・Jr