第108回:『崖の上のポニョ』|絵本の中みたいな世界で起こる謎多き物語!ハムが乗った「ポニョラーメン」は忘れられない一夜の晩御飯!【瀬田ミナコのシネまんぷく】
共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!
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■今回の映画:『崖の上のポニョ』
今回はスタジオジブリの長編アニメーション映画『崖の上のポニョ』です!
「ポーニョポーニョポニョ♪魚の子♪」という明るく楽しい主題歌が印象的な今作。ジブリ作品、特に宮崎駿監督の作品が大好きな私ですが、「崖の上のポニョ」は他とはちょっと違う、不思議な作品だと思うのです。
絵も音楽も素晴らしく、キャラクターも魅力的でとても楽しい映画であることは間違いないのですが、「これはいったいどういう事!?」と思うシーンが、非常に多い映画でもあります。
有名作品なので、ネットで検索をすれば考察や都市伝説的な解釈が沢山出てきますが、観る人によって色々な解釈ができるのもこの映画の面白い所ですね。
今回は私から見た『崖の上のポニョ』の感想を楽しく書いていきたいと思います!
まずは簡単な作品紹介とあらすじから。
『崖の上のポニョ』は2008年に公開されたアニメーション映画で、原作、脚本、監督を宮崎駿監督が務めています。プロデューサーは鈴木敏夫さん、音楽は久石譲さんです。
アンデルセン童話の「人魚姫」を題材にしたストーリーで、CGを使わず(デジタル彩色は使用しているとのこと)手描きにこだわって作られたことが当時話題になりました。
物語の主人公は、お魚の女の子「ポニョ」と、崖の上の家に住む人間の男の子「宗介」です。
5才の宗介はある日、家の下の海岸で、瓶に挟まってしまったポニョを見かけて助け出します。
宗介の事がすっかり好きになったポニョですが、ポニョが家出したことに気が付いた魔法使いの父フジモトに連れ戻されてしまいます。
それでも宗介に会いたくて人間になる事を望んだポニョは、偶然得た強い魔力で人間の姿になり、激しい嵐と共に宗介の元へ向かうのでした!
2008年の公開だったので、私が初めてこの映画を観たのは小学校6年生くらいですが、絵本の様な温かみのある絵のタッチにびっくりしたのを覚えています。子供だったのでアニメを観るときに「CGかそうでないか」を気にしながら観ていた訳ではないのですが、「他のアニメとは何か違うな」と感じました。
大人になって見返してみると、背景なんかは色鉛筆の質感がはっきり分かるし、直線も定規で引いたような真っすぐではなく手描きのゆがみがあります。
この手描きならでは雰囲気が、童話の様なストーリーにぴったり合っていてとても良かったです。
宮崎駿監督といえば、海よりも空の印象が強かったのですが、さすがは宮崎監督!海の中を描かせても「最高」の一言です!水を通すことによって生まれる光の揺らめき、自ら発光する生物やクラゲの透き通った体、すごくリアルに描いているわけではないのに本物よりもリアルで魅力的に感じちゃうので不思議です。
物語り後半、ポニョが引き起こした嵐によって街は水没してしまい、崖の上にある宗介の家や山の上の方を残してすべて水の中に沈んでしまいます。透き通った水の中にそのまま街があるという構図は「天空の城ラピュタ」や「ルパン三世 カリオストロの城」にもありましたが、今作で描かれる海に沈んだ街は特に素敵で、昨日まで人間が使っていた空間に古代魚が悠々と泳ぐ光景は一度観たら忘れられません。
しかし大人になってこの映画を観てみると、街が丸ごと沈むなんて本当に恐ろしい大災害ですよね。全員が無事な訳がない….と思ってしまうのです。
映画の中の沈んだ街を見て、今でも美しいと思うしワクワクしますが、同時にゾッとせざるを得ない違和感。「崖の上のポニョ」にはこの違和感がとても多いです。
ポニョの正体はお魚なので、途中半魚人の様な、鳥人間の様な見た目になります。どんなポニョでも好きでいてくれる宗介の純粋な気持ちに感動すると当時に、「人間の姿をした別の生命体」に、私の本能がギョッとしてしまったり、
沈んだ海の底で、まるで楽園のように辺りを駆け回るおばあちゃん達を見て「楽しそうで良かったけど生きてるよね??」と心配になったり、
明るく楽しい物語の中に不穏な要素が見え隠れするのです。
この違和感が苦手な方もいると思います。楽しいアニメを観ているはずが直感的に「怖い」と感じるのですから。
でも個人的にはこの違和感、すごく癖になるのです!!
今書いたこと以外にも「おや?」と思うシーンが沢山あるので、ぜひその違和感を楽しんで観て欲しいです!
もちろん、それらの違和感はちょっと横に置いておいて、人間になりたいお魚の少女と優しい5歳の男の子の物語として映画を観ても楽しいです!
あと私がすごく好きなのが、宗介の母であるリサというキャラクターです。宗介にも「ママ」や「お母さん」ではなく「リサ」と名前で呼ばせており、「母親」という役割ではなく一個人として生きているのがカッコよかったです。母でありながら彼女自身のエネルギッシュな輝きを失わない姿に憧れます。
それでは今回の映画メシ!
やはりジブリ作品は食べ物がとっても美味しそう!本物よりも美味しそうに見えるって不思議です。
『崖の上のポニョ』にもいくつか食べ物が登場しますが、中でも印象的だったインスタントラーメン、通称「ポニョラーメン」を作ります!
このラーメンは人間の姿になったポニョと宗介が再開してすぐのシーンに登場します。
不思議なことが次々起こり、窓の外は大嵐、そんな夜にリサが用意してくれた晩御飯です!
まずは下準備。
卵を茹でてゆで卵にします。
ハムはちょっとお高めでしっかり脂の乗ってる奴を。このままかぶりつきたい、、、!
ネギは万能ねぎか長ネギか悩むところですが、長ネギのちょっと緑の部分を使うことにしました。
どんぶりにインスタントラーメンを乗せて、沸かしたお湯を注ぎ入れ蓋をします。
映画ではポニョと宗介が目をつぶってる間にリサが具材をトッピングしていましたね!リサのアイデアも、それに素直に喜ぶ子供達も可愛らしいワンシーンです。
しかし私は自分で乗せるしかないので(笑)、セルフトッピング。
完成です!
ただのインスタントラーメンも具材が乗れば一気に豪華になりますね!
写真を撮っているうちに麺が伸びてきたので慌てていただきます!
ズルズルっと啜れば、慣れ親しんだ安定のおいしさが広がります。
卵がいい感じに半熟だったのでスープが絡んで美味しい!
そして!やはりハムの存在感は大きいですね。ポニョの好物であるハムが乗っているのがポニョラーメンの最大のポイントです。
チャーシューほど脂っこくならないのに、お肉が乗ってる喜びはちゃんと味わえるので気に入りました!
私は嵐の日、窓の外が荒れ狂う中、風の音を聞きながら乾いた室内でゆっくり食べるご飯の結構好きです。(映画の様な災害レベルの嵐なら話は別ですが)
ポニョ達にとっても嵐の夜に一緒に食べたこのラーメンは素敵な思い出になったんじゃないかな?
ごちそうさまでした!
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今回取り上げた作品はコチラ!
『崖の上のポニョ』
【声の出演】
山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージ、奈良柚莉愛、土井洋輝、柊 瑠美、矢野顕子、吉行和子、奈良岡朋子
【スタッフ】
原作・脚本・監督:宮崎 駿
プロデューサー:鈴木敏夫
制作:星野康二
音楽:久石 譲
主題歌:林 正子 ⋅ 藤岡藤巻と大橋のぞみ
配給:東宝
公開日:2008.7.19(土)
公式サイト:https://www.ghibli.jp/works/ponyo/
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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta
Instagram:https://www.instagram.com/cinemanpuku_minako/
『瀬田ミナコのシネまんぷく』
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