【あなたの勇気を呼び覚ます! 強くて魅力的な女性キャラクター特集】#12 『ココ・アヴァン・シャネル』
強くて魅力的な女性キャラクター特集 #12
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映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。この特集では「あなたの勇気を呼び覚ます! 強くて魅力的な女性キャラクター特集」と題して、やる気が出ない時、スカッとしたい時、どんな人でも楽しんでもらえる映画をご紹介していきます!
■『ココ・アヴァン・シャネル』のガブリエル(ココ)・シャネル
今週は、『ココ・アヴァン・シャネル』のガブリエル(ココ)・シャネルを選びました。タイトルにもある通り、彼女は世界的な高級ブランド「シャネル」の創業者でファッションデザイナーです。化粧品や服、アクセサリーにいたるまで、ラグジュアリーな商品を展開し、世界中で愛される超有名ブランドとなった「シャネル」。誰もが憧れるブランドですよね。
彼女が生まれたのは1883年。厳しい時代の中で、ガブリエル(ココ)・シャネルはどのようにしてブランドを立ち上げるに至ったのか。彼女の“愛”にフォーカスし、映画にはその半生が描かれています。
孤児院で育ち、大人になったガブリエル(オドレイ・トトゥ)は、姉と一緒にナイトクラブで歌を歌い、生計を立てていました。ある日、ガブリエルはそこで将校エティエンヌ・バルザン(ブノワ・ポールヴールド)と出会い、“ココ”という名をつけてもらいます。エティエンヌは女と遊ぶ日々を送っており、“ココ”は別世界の人間だと思っていましたが、姉が結婚したことに伴い、エティエンヌの家を訪ねて数日泊まらせてもらうことに。歌手の夢も破れ、帰る場所がなくなった今は彼に頼るしかなく、追い出そうとするエティエンヌの家にどうにか居候させてもらいます。
そして愛人として日々を送る中、エティエンヌの友人であるアーサー・“ボーイ”・カペル(アレッサンドロ・ニヴォラ)と意気投合した“ココ”は、エティエンヌの家を出て、2人で生きていくことを決めるのでした。そしてボーイは帽子屋さんとして誕生した「シャネル」に出資することになります。しかし彼女には悲劇が待っているのです……。
■ココが起こしたファッションの革命、愛する人との思い出
家族の愛に飢え、恋とは何かもわからなかったココが、やっと見つけた本物の愛。それが一瞬で崩れ去っていきます。しかし、「シャネル」がここまで成功できたのは、その愛があったからこそかもしれません。事業を複数の部門に拡大し、世界中に届けたココ。そこには並々ならぬ想いが込められているのでしょう。もしボーイとの恋を続けていたらどんなブランドになっていたのか、その世界線も見てみたいものです。
また、「シャネル」が手掛けた女性初のスーツと“ウーマンリブ”の関係は有名です。この映画で描かれるのは、その時代よりもかなり前ですが、ココは胸やお尻を強調する服、帽子の羽、窮屈なヒールやコルセットのような過剰な女性らしさを持つ服の常識を変えていきました。無駄なオシャレに違和感を持ち、それを変えようとするのは非常に難しいこと。しかしココは、女性たちを解放し、ファッションの革命を起こしたのでした。
しかし本作には少しのフィクションが織り交ぜられており、ブランドがどのように成長していったのか、具体的なエピソードも描かれていません。気になった方は、ココ・シャネルの生涯をドキュメンタリーとして振り返る『ココ・シャネル 時代と闘った女』をご覧ください。ココ目線で語られるだけでなく、彼女の当時の世間的イメージも忖度なく描かれている作品です。恐れ多くてなかなか手に取ることのできないハイブランドですが、映画を通してその成り立ちや精神を知れば知るほど、より魅力的に見えてくるはず。筆者は彼女の“強さ”と“孤独”に惹かれ、「シャネル」についての書籍や、ブランドの商品も手に取ってみたくなりました。
『ココ・アヴァン・シャネル』
2009年製作/110分/フランス
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2009年9月18日
出演者:オドレイ・トトゥ、ブノワ・ポールヴールド
監督:アンヌ・フォンテーヌ
脚本:アンヌ・フォンテーヌ、カミーユ・フォンテーヌ
原作:エドモンド・シャルル=ルー
音楽:アレクサンドル・デプラ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
編集:リュック・バルニエ
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伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事:https://linktr.ee/mayano
ブログ:https://ladybird99.com/