100年前の映像が鮮やかな色彩で蘇る!『彼らは生きていた』特別試写会イベントレポート
ピーター・ジャクソンの圧倒的なこだわり!
『彼らは生きていた』
特別イベント報告
この度、『彼らは生きていた』の特別試写会を開催し、上映前にトークショーを行った。映画評論家である柳下毅一郎さんをゲストにお招きし、MCを映画ジャーナリストである立田敦子さんが務めた。
本作は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどで知られる名匠ピーター・ジャクソン監督の最新作であり、辛口批評サイト、ロッテントマトにて驚異の100%フレッシュを獲得するなど、高い評価を得ている。2200時間以上あるモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の記録映像に、400人以上のアーティストを動員し、今までにない最新のデジタル技術での修復等の作業を実施。更に、BBCが所有していた600時間以上ある退役軍人たちのインタビュー音声や、兵士たちが話す口の動きを読唇術のプロが分析した言葉や効果音も追加。ジャクソン監督に魔法をかけられ、命を吹き込まれたかのように仕上がっている。
本作では、悲惨な当時の戦場の様子が描かれているだけではなく、戦闘の合間に紅茶を淹れたり、談笑する兵士たちの姿も描かれており、それらが非常に印象的でもある。MCの立田さんは「彼らが何を感じていたのかという事や、彼らの人間味、温かみが感じられることに感動した」と語る。
柳下さんの「第一次世界大戦にはどこか牧歌的な部分があり、兵士たちは敵国の人々を憎んでいる訳ではなかった。国に言われて戦っていただけ」という解説に続き、「これほど悲惨な体験が待ち構えているとは考えず、若者たちが戦争へ行くという状況は今の時代も変わっていないのではないかと感じる」と立田さん。その後、同じく第一次世界大戦が舞台である映画『1917 命をかけた伝令』にも話題は及び、立田さんは『1917』を観る前に是非とも本作を観て欲しいと語った。また、本作と『1917』の関連性について、「どちらの作品の監督も、お祖父さんが第一次世界大戦に従軍していた。2本は双子のような映画ともいえる。」と柳下さん。「まず、ドキュメンタリーである本作を観て、それに登場した兵士の事を思い浮かべながら『1917』を観るとよいのではないか」と、本作の重要性を伝えた。
何万人もの死者が出た第一次世界大戦。それを風化させてはいけないというメッセージが、本作の原題である『THEY SHALL NOT GLOW OLD(彼らは歳をとらない)』に込められているのではないかと柳下さんは語り、イベントは終了。
『彼らは生きていた』は1月25日よりシアター・イメージフォーラムにて公開。
【スタッフ】
監督:ピーター・ジャクソン
公式サイト:http://kareraha.com/
2020年1月25日公開!!