MOVIE MARBIE

洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」（AXN株式会社）は、Amazon MGM Studiosが手がけた話題作4本を、11月3日(月・祝)に国内TV初となる吹き替え版で一挙放送する。『サマリタン』『13人の命』『アルゼンチン1985 ～歴史を変えた裁判～』『愛すべき夫妻の秘密』というラインナップで、いずれも配信では既に注目を集めた作品だが、今回は吹き替えキャストにもこだわった編成になっている。

『サマリタン』では、かつて街を救った伝説のヒーローが姿を消したまま25年――その正体は本当に死んでしまったのか？　老いた隣人スミスが“あの男なのでは”と疑う少年サムとの交流を軸に、崩壊寸前の街を救おうとする物語が展開する。主演シルヴェスター・スタローンの吹き替えは玄田哲章。スタローン×玄田という黄金コンビの再会は、劇場公開作と同じ熱量で観たい派にも、配信で字幕版を観ていた派にも強い。放送は11月3日(月・祝)21:00から。

同日15:45からは、2018年に実際に起きたタイ洞窟救出劇を描く『13人の命』。豪雨により洞窟に閉じ込められた少年サッカーチームとコーチを救うため、世界トップクラスのダイバーたちが集結し、タイ軍・ボランティアら1万人規模の支援体制が動き出す。この前代未聞の救出作戦を、ロン・ハワード監督が実録ドラマとして再現する。ダイバー役のヴィゴ・モーテンセンを大塚芳忠、コリン・ファレルを森川智之が演じるという布陣。渋い作業ドラマとしてのリアリティと、極限の人間ドラマの両方を、声優陣がどう着地させるかにも注目したい。

18:25からは『アルゼンチン1985 ～歴史を変えた裁判～』。1985年、軍事独裁政権による弾圧の実態を法廷で暴こうとする検察官たちの闘いを追う。限られた準備時間、脅し、圧力。それでも正義を通そうとする彼らの姿を、現実の裁判をもとに描いた法廷ドラマだ。リカルド・ダリンの声を山野井仁、ピーター・ランサーニの声を玉木雅士が担当する。民主主義をどう守るか、という重いテーマを正面から扱う作品が、字幕ではなく吹き替えで放送されること自体に意味があるはずだ。

そして23:00からは『愛すべき夫妻の秘密』[PG12相当]。1950年代の人気TV番組『アイ・ラブ・ルーシー』の舞台裏、そして主演のルシル・ボールと夫デジ・アーナズの私生活に迫る。番組は全米で“金曜夜9時に6000万人が観た”と言われるお化け番組だったが、華やかな成功の裏ではスキャンダルや夫婦の危機も同時進行していた。ニコール・キッドマン演じるルシル・ボールの吹き替えは日野由利加、ハビエル・バルデム演じるデジ・アーナズは内田直哉。脚本・監督はアーロン・ソーキン。ニコール・キッドマンはこの作品でゴールデングローブ賞 主演女優賞（ドラマ部門）を受賞している。

今回の4本はいずれももともとは配信オリジナルとして制作されたタイトルで、劇場公開作やTVドラマ枠と違う場所から生まれた企画＝ストリーミング時代の主力コンテンツを、専門チャンネル側が“吹き替え版の地上波・CS向け放送”という形で拾い上げてきた格好になる。スタローンのヒーロー像の更新から、国策レベルの救助作戦、軍政の責任追及、テレビスター夫婦の栄光と軋みまで、ジャンルも温度もまったく違う4本を同じ日に固めてきたところに、Amazon MGM Studiosの幅と、「ザ・シネマ」の狙いが見える。

★放送スケジュール（11月3日・月/祝）

15:45～　『13人の命』
18:25～　『アルゼンチン1985 ～歴史を変えた裁判～』
21:00～　『サマリタン』
23:00～　『愛すべき夫妻の秘密』

特集ページ：https://www.thecinema.jp/tag/719

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