【プレゼントあり】映画『おいしい給食 Road to イカメシ』公開記念！市原隼人＆綾部真弥監督インタビュー（後編）｜2人の”同志”が考える「おいしい給食」これからとは？

2024.05.23

2019年からスタートしたドラマ『おいしい給食』。キー局ではない30分尺のドラマ、さらに原作のないオリジナル脚本でありながら、３シーズン、劇場版も3本を数え、回を重ねるごとにファンは拡大。今や大手企業とのコラボCMまで流れるコンテンツへと成長した。そんな『おいしい給食』の劇場版第3弾である映画『おいしい給食 Road to イカメシ』が5月24日から全国の劇場で公開される。『おいしい給食』シリーズの中心にいるのが、主演の市原隼人と監督の綾部真弥だ。彼らがこれまで何を思いシリーズを続け、そしてこれからどうなっていくのか。公開を前に、二人に話を聞いた。

取材・文：稲生D（共感シアター）

前編はこちら：映画『おいしい給食 Road to イカメシ』公開記念！市原隼人＆綾部真弥監督インタビュー（前編）

映画『おいしい給食 Road to イカメシ』公開記念！市原隼人＆綾部真弥監督インタビュー（前編）｜市原「何とか這いつくばりながらここまで来た感じです」、綾部監督「毎回この１本で終わりだと思って全力で作っていました」

駄菓子屋のおばちゃん、比留川先生、マルヨネちゃん　濃いキャラが目白押し！

――――　シーズン３も濃いキャラが目白押しですが、中でも駄菓子屋のおばちゃんに高畑淳子さんというのは驚きました。今回の劇場版にも登場されますが、セリフはほとんどないのにすさまじい存在感というか。

市原さん：高畑さんは僕が大尊敬している方なんです。高畑さんがあんなお芝居をされているところを拝見したことがなかったので、こんなこともやってくださるんだと本当に感激しました。

――――　見ていてアドリブでやられている感じがするんですが・・・

市原さん：アドリブです。太極拳のところも動きは決まってなかったですよね？

綾部監督：決まってなかったです。でも高畑さんって、ああ見えて台本から逸れたことはしていないんですよ。太極拳のシーンも、台本に具体的な動きは何も書いてない。だから助監督たちと、どういう動きなら高畑さんがやりやすいだろうかと色々考えたんです。で、初めてお会いした時に「高畑さん、太極拳の動きなんですけど・・・」って相談したら、「私、太極拳やってたから」ってあの動きをしてくれたんです。それで「あ、じゃもうぜひそれで」という感じでした。普通だったら振り付け動画を作って渡すんですけど、「もう全部お任せします」と(笑)。

市原さん：それであのクオリティですからね。僕が高畑さんのお芝居に乗っかったらアドリブで返してくださいますし。演技の引き出しの数が凄い。

綾部監督：高畑さんもこういう芝居をしようと考えて現場にきてる感じじゃなくて、現場の市原くんの芝居を見て、演出陣がこんな感じでって説明したら、すぐにああいう感じでお芝居されるんですよね。本当に引き出しが凄いなと。高畑さんはほとんどしゃべらない役なので、ネットに「高畑淳子のムダ使い」って書かれてました。もう最高の誉め言葉ですよ(笑)。

市原さん：登場人物のキャラクターがみんな濃いですよね、ほんとに。

――――　ヒロインでもある比留川先生役の大原優乃さんも欠かせないキャラですね。お二人の印象に残っているシーンはありますか？

綾部監督：今回の映画には、彼女の重要なシーンがあります。ネタバレしない程度に言うと、何回もできないような芝居が必要なシーンで、まずは長回しで彼女の表情を撮影したんです。でも、僕としてはもうひとつ踏み込んで演じてほしいなと。それで彼女にもう１回という話をして、改めてスタートをかけたんです。そして撮り終わった後に彼女から聞いたんですが、僕の２回目の「よーい、ハイ！」の言い方で、「あ、ここまでやらなきゃいけないんだ」って思ったそうなんです。彼女としては、そのシーンにもう少し明るいイメージを持っていたようなんですが、僕の掛け声を聞いただけでそれを理解してくれた。そういう阿吽の呼吸ができる関係になったのは嬉しかったですね。そしてその２回目の芝居がもう素晴らしかったんだよね。

市原さん：素晴らしすぎて僕が困るという(笑)。彼女を見ていて、芝居って人間が作るものだから、その人の中身が出るんだなって改めて思いました。大原さんはスタッフに対しても共演者に対しても、分け隔てなくすべての方を愛してくださる。だから愛される方なんだなと思います。自分の出番が終わっても、夜遅くまで残ってほかの人の撮影を見学していました。すごく愛を持ってこの作品に携わっていることが伝わりましたし、そういう方がいるというのはこの作品にとってとてつもない財産だと思いました。

――――　そしてもう一人のヒロインと言ってもいいのが、甘利田先生に恋する生徒、マルヨネちゃんこと丸本米子を演じた藤戸野絵さんです。彼女の演技も素晴らしかったです。

市原さん：本当はマルヨネちゃんのスピンオフを作りたかったんですよね？台本までできていて(笑)。

綾部監督：やりたかったなぁ。

――――　『おいしい給食』は、給食中の甘利田先生の動きが見どころですが、生徒たちはその動きに対してほぼノーリアクション。もしかしたら見えてないんじゃないかとすら思っていましたが、シーズン３で彼女が甘利田先生の動きをまねしたことで、そのことに対する一つの答えを示してくれました(笑)。

綾部監督：あはは(笑)。マルヨネの役どころはかなり悩みました。彼女、芝居は抜群なんです。もう恐ろしいぐらいにうまい。だから彼女の役に何か付け加えたいと思っていて、ならば甘利田に惚れているという設定にして、動きをマネさせたらどうだろうと。マネているシーンも特にカメラが寄ったわけじゃないし、引きの画の端っこでやってるだけなんですが、「あ！踊っている奴がいる！」って、思いのほか反響があって(笑)。みんなが反応してくれたのは本当に嬉しかったですね。

――――　思わず巻き戻してもう一回見ましたよ (笑)。

市原さん：彼女も本当にすごいんです。それこそムダ使いじゃないかっていうくらい(笑)。もっとできますからね、彼女は。あの年齢で、もうそんな感覚を持っているのかと。すべてを悟ったような大人な演技もできますし、動きに関しても、僕が１回やっただけですぐにマスターしてしまうんです。

綾部監督：シーズン３の中盤から演劇に取り組むシーンがあるんですが、素人の学芸会っていう設定なので彼女はわざと下手に演技してます。わざとらしくないように下手な演技ができるっていうのはすごいよね(笑)。本当はめちゃくちゃうまいのに(笑)。

市原さん：劇中劇でうまく下手に演技する人(笑)。本当にすごいです。

『おいしい給食』が避けるわけにはいかなかったテーマ「黙食」

――――　2019年10月に始まったこの『おいしい給食』ですが、期せずしてコロナ禍に翻弄されることになりました。楽しく給食を食べるというテーマを掲げつつも、世間の子供たちは給食で「黙食」を強いられることになりました。今回の劇場版では、そこに正面から向き合いましたね。

綾部監督：実は劇場版の準備稿の段階ではここまで踏み込んでなかったんです。でもオーディションで会った中学生たちに聞くとまだ黙食は続いていて、9割の子はやっぱり机をくっつけて楽しく食べたいと。でも1割の子は「このまま黙食でいい、めんどくさいし、慣れちゃったから」って言ってたんですね。それを聞いて、このままでいいのかなって思ったんです。もちろん苦手な子もいるとは思いますし、それは尊重すべきだと思います。でも人と関わらないことを覚えてしまうというか、若いころから一人の世界に入ってしまうんじゃないかと。だからこそ、この『おいしい給食』がそこを打破したい、世界を変えるという意気込みでやるべきなんじゃないかと思ったんです。地味な草の根活動かもしれないですが、この映画を期に現場の先生方が言いだせば、もしかしたら変わるんじゃないかと。なので、今回は本気で「黙食」と向き合いました。

市原さん：『おいしい給食』って根底はコメディなんですが、社会派というのも醍醐味なんです。真っ向から社会に向き合って、地に足の着いたメッセージがある。僕はそこが好きなんです。他の作品ではなかなか訴えづらいようなこともあると思いますし、それができるのが『おいしい給食』なんだと感じています。

――――　シーズン３、そして劇場版もですが、甘利田先生の印象に残るセリフが多かったです。特に演劇をすることに前向きではない生徒が「こんなことをして何の役に立つのか」と言うと「こんなこともできないやつが将来社会に出て何の役に立つのか」という甘利田先生のセリフが刺さりました。

市原さん：ふんわりと伝えるのではなく、的確に核心を突いた言葉で伝えるのが甘利田ですよね。厳しいことを言っているようですが、わかりやすい。だからこそ心に響く。

綾部監督：今の時代、みんな多様性だと言っているのに、はみ出した瞬間に叩かれてしまう。まったく多様性になってないですよね。甘利田は生徒に規律を守らせます。一見すると押さえつけているようですが、実は個性もちゃんと育んでいる。規律があったうえで個性もちゃんと尊重してあげるんです。そういった甘利田の教育論というのはこの作品の根底にあるんですが、今回の劇場版ではより強く出ていると思います。

――――　甘利田先生に言われるならいいというか、説得力がありますよね。

市原さん：「甘利田先生はシンプルだけど、世の中はシンプルじゃない」というセリフが映画で出てきます。まさに甘利田を象徴したセリフですよね。

『おいしい給食』が成し遂げた、コラボCM出演

――――　以前、お二人で共感シアターの番組にご出演いただいた際に、「甘利田はこれほどおいしく食事する男なんだから、そろそろCMが来てもいいんじゃないか」という話で盛り上がりました。そしてついに、東洋水産「マルちゃん赤いきつね緑のたぬき」コラボCMが実現しました。おめでとうございます！いちファンとして、もう泣きそうになりました！

綾部監督：ついに『おいしい給食』がここまで来た！(笑)

市原さん：ゼロから初めてついに企業が認めてくださった！ (笑)　うれしかったです。

綾部監督：いやー、ほんとにうれしかったですよ。しかも広告代理店の発案じゃなくて、東洋水産の方がドラマを見てすごく好きでいてくれたみたいで。それで『おいしい給食』とコラボできないかと代理店に相談して実現したみたいなんですよ。

市原さん：届いた！って感じですよね。シーズン1では考えられませんでした。

綾部監督：しかもあんな有名なやつで(笑)。

市原さん：死ぬほど嬉しかったですよね。なんか目に見えて、形としてこの作品を認めていただけたといいますか。僕のテーマは求めていただく方への感謝の気持ちですから。より一層、作品に向き合ってすべて注ぎ込んでいかなければいけないなと気持ちを新たにしました。

市原隼人が、今まさに腹に決めたこと

――――　ここまできた『おいしい給食』ですが、これからどうなっていくんでしょうか。

市原さん：どうなるかわからないからこそ『おいしい給食』が楽しいんだと思うんです。毎回全力を尽くして、もし次があるならば、また超えていけるように全力を尽くせばいい。そう思って毎シーズンやってきましたから。『おいしい給食』のおかげで、街で声をかけられることもすごく多くなったんです。寿司屋のご主人に「見てるよ」って声をかけていただいたり、タクシーの運転士さんにも言ってもらえました。小学生の子に「僕、甘利田先生大好きなんです」って素敵な笑顔で言ってもらえるんです。みんな本当に嬉しそうにそう言ってくれるんですよ。これが役者としての醍醐味なんだなと思わせてくれます。だからこそ、その笑顔を守っていかなきゃいけない。本気でそう思った作品なんです。だからお客様の声がある限り、その環境が整う限り続けたい。今初めて腹に決めました。今まではなかなかその勇気がなかったんです。体力的にも精神的にもできないんじゃないか、続けたら逆に落ちていくんじゃないかと思ったりもしました。でも今はできるとこまでやるべきなんじゃないかって思うようになりました。

綾部監督：『男はつらいよ』シリーズの凄さが分かりますよね(笑)。この仕事をする前までは、楽なんだろうなって思ってたんです。フォーマットがあって、同じことをやっていけばいいと。でもそんなわけないんですよね。そうじゃなきゃ30何作目かで傑作が生まれるなんてありえない。1作ずつ真剣勝負しているからこそですよね。比べるのもおこがましいですが、『おいしい給食』も続けられたからこそ、違う甘利田像やこれまでと違う話もちょっと見えてきたりするんです。今はまだ「さあ、次！」という感覚は全くないんですけど、さっき、試写会の上映中に劇場の中をのぞいてみたんです。（※この日は同じ会場で完成披露試写会が行われていました）そしたら、お客様がみんな笑ってるんですよ、楽しそうに。クスクスという遠慮がちな笑いから、大きな波のような笑いに変わっていくんです。あの笑い声を聞いていると、使命感みたいなものが湧いてきますよ。なので求められるのならば、できることをしようと。
今までの甘利田という芯はブレずに、環境が変わったり、ライバルが変わったりすることでまたアイデアも生まれて、違うパワーも生まれてきたりするんじゃないかと思っています。みなさんのおかげでここまで来れた。それは本当に感謝してもしきれません。

市原隼人と綾部真弥。お互いを一言で表すなら？

――――　最後にちょっと難しいかもですが、質問です。市原隼人と綾部真弥。お互いを一言で表すなら？

綾部監督：『おいしい給食』って、僕ともう一人の監督である田口桂さんと作っているんですが、彼がクランクアップの挨拶で言ってくれたことが凄く嬉しかったんです。僕自身、昔から「熱い」というか、みんなが「もういいじゃん」ってなってもやる、“熱苦しい男”という扱いをされてきたんです。でも大人になるにつれて、知らず知らずのうちにそれを胸に秘めるようになった。でも市原隼人という男と仕事をすると、その胸に秘めていた“たぎる炎”に全力で着火できるんです。で、田口監督が「市原隼人と綾部真弥は地球温暖化の原因になっている」って言ってくれたんです(笑)。「この二人を相手にする俺もつらいんです」だって(笑)。

市原さん：泣きながら言ってた(笑)。俺も大変なんだよって(笑)。

綾部監督：だから言葉として思い浮かぶのはどうしても「同志」になりますよね。同じ気持ちで、同じ歩幅で歩んでいっている相手ですから。地球温暖化の同志(笑)。

市原さん：僕もまったく一緒です。「同志」です、やっぱり。「志（こころざし）」ですよね。馴れ合いではなく、緩急があって、でも家族のようで。5年間一緒にやってきて、綾部さんにしか見せられない自分がいることも発見しました。僕はこれまで、ビジネスと夢が混沌とする中で悔しい思いをしてきたんです。いつも夢を追いきれない自分がいる。でも、綾部真弥なら、この男なら夢を最後まで追いかけてくれるだろうと。そう確信を持てる人です。だから、共闘する「同志」なんです。

――――　ありがとうございました！

今回ムービーマービーでは、
映画『劇場版おいしい給食 Road to イカメシ』のサイン入りポスター（市原隼人さん、綾部真弥監督）を抽選で1名様にプレゼントします！
下記の応募要項よりご応募ください！

■応募方法
①「@MovieMarbie」をフォロー
② このツイートに感想を添えて引用リポスト

【#NEWS】
映画『#おいしい給食 Road to イカメシ』公開記念！#市原隼人＆#綾部真弥監督インタビュー（後編）｜2人の”同志”が考える「おいしい給食」これからとは？

2人のサイン入りポスタープレゼントもあります‼️🎁

詳しくはこちら➡https://t.co/Ec99PVoUBT @oishikyushoku pic.twitter.com/8YFa60U0r7

— MovieMarbie (@MovieMarbie) May 23, 2024