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第96回アカデミー賞授賞式 直前!映画祭ウォッチャーが本年度の行方をゆる~く予想!今年の主役映画『オッペンハイマー』の結果は…?

文:大西D(ヒカセン兼業ライター)

毎年この時期になると、そわそわする。あぁ、今年もこの時期が来たなと。珠玉の映画たちの中で、最高の1本を選ぼうという酷だけど、贅沢な、「アカデミー賞授賞式」が近づいている。2023年の映画業界を締めくくるに相応しい、大イベント。今年もゆる~く予想していきます!

 

◆作品賞
本命:『オッペンハイマー』
対抗馬:なし
大穴:なし

まず一つ言っておかねばならないのは、今年は例年よりも、予想しやすい年だと思う。なぜならば今年の主役映画は『オッペンハイマー』だからだ。クリストファー・ノーランが監督を務めた、原爆の父ロバート・オッペンハイマーを描いた、3時間にもなる大作映画。サマーシーズンのBOX Officeを『バービー』と共に引っ張り、大ヒットを記録。作品評価も大変良く、アカデミー賞の前哨戦でも勝利の山を積み重ねた。ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞、製作者組合賞という重要な賞を全て制し、もはや死角無し。

予想するにあたって、対抗になるような作品を考えたのだが、そのような作品はもはや見当たらない。まさに今年の顔ともいうべき映画で、恐らく番狂わせが起きることも無いだろう。

 

◆監督賞
本命:クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
対抗馬:なし
大穴:なし

作品賞に続いてこの部門もクリストファー・ノーラン以外の受賞は考えられない。今回で2回目のノミネートというのは、一見すると少ないように思われるかもしれない。確かに彼の監督作を振り返ると、賞レース向けの作品はノミネートを受けた『ダンケルク』だけだったが、作品の完成度や評価、興行成績を考えれば『ダークナイト』でも、『インセプション』でも、『インターステラー』でも候補入りしても不思議ではなかった。

そんな彼が題材に選んだのは原爆の父、ロバート・オッペンハイマー。3時間にもなる超大作映画となった本作は、大ヒットを記録し、作品評価も素晴らしい。まさに今年の顔ともいうべき映画。きっと他の候補者もクリストファー・ノーランが受賞すると思っているに違いない。世界中の映画人も、映画ファンたちも、ノーランの受賞を心待ちにしているはずだ。

クリストファー・ノーラン

 

◆主演男優賞
本命:キリアン・マーフィ『オッペンハイマー』
対抗馬:ポール・ジアマッティ『ホールドオーバーズ』
大穴:なし

この部門は前哨戦の段階からポール・ジアマッティとキリアン・マーフィの一騎打ち状態だった。部門が分かれるゴールデン・グローブ賞は両者が仲良く受賞し、ブロードキャスト映画批評家協会賞ではポール・ジアマッティが受賞。この時点では彼が優位だと思われていた。ハリウッドを代表する名バイプレーヤーの一人で、多くの映画で存在感を発揮していた彼は、過去のノミネートは『シンデレラマン』の1回のみ。本来であれば『サイドウェイ』で候補入りすべきだった彼は、再びアレクサンダー・ペイン監督作品に主演し、再び候補入り。嫌われ者の教師を演じて、大絶賛を受けた彼はオスカー受賞も手に届くところまで来ていた。

ところが最重要賞である映画俳優組合賞を制したのはキリアン・マーフィだった。これまで何度も作品に出演したクリストファー・ノーラン監督の最新作でタイトルロールを演じた彼が遂に初のノミネート。今年を代表する作品である『オッペンハイマー』で主演を務めた彼も、大絶賛を受けており、賞レース終盤で一騎打ち状態だったポール・ジアマッティを抜いて、この部門のトップランナーとなった。

どちらも受賞経験は無いし、多くの映画人、映画ファンから愛される俳優ではあるが、前哨戦の結果や作品自身のパワーを考えるとキリアン・マーフィがこの部門の本命と見るべきだろう。

キリアン・マーフィ

ポール・ジアマッティ

 

◆主演女優賞
本命:リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
対抗馬:エマ・ストーン『哀れなるものたち』
大穴:サンドラ・ヒュラー『落下の解剖学』

今年最も予想が難しいのはこの部門。主演男優賞と同じく、前哨戦はリリー・グラッドストーンとエマ・ストーンの一騎打ちだった。ゴールデン・グローブ賞は両者仲良く受賞し、ブロードキャスト映画批評家協会賞はエマ・ストーンが受賞。この時点ではストーンが有利と思われたが、俳優組合賞を制したのはグラッドストーンだった。

グラッドストーンはもちろん今回が初ノミネート。劇中ではインディアンの女性を演じたが、彼女自身もインディアンにルーツを持つ。まさに彼女にしか演じられない役で、作品の魂ともいうべき役だった。しかし、それはストーンも同じ。自ら命を絶つも、天才医師の手によって、自身の胎児の脳を移植されて蘇生した女性が、自己を確立していく様を体当たりで演じた。グラッドストーンもストーンも、どちらが受賞したって誰も文句を言わないだろう。

そうなると考えられるのが、オスカーにおける過去の受賞歴だ。グラッドストーンは今回が初ノミネートだが、ストーンは既に『ラ・ラ・ランド』でこの部門を制している。恐らくストーンが、受賞経験が無くて、今回候補入りしたのであれば、受賞は彼女になっていただろう。しかし、既に一度受賞しているのならば「今回はグラッドストーンに・・・」そう考える会員も多いだろう。

しかし、もし今回のオスカーで超ビッグサプライズを起こせるとしたら、この部門に候補入りしたサンドラ・ヒュラーだろう。カンヌ国際映画祭パルム・ドールも受賞した作品で主演し、候補入り。夫の殺害を疑われる妻を演じて絶賛を集めた。前哨戦ではあまり顔を出さなかったが、ここに来てマーゴット・ロビーらライバルたちを押しのけての候補入りで、勢いがある。そして彼女は『落下の解剖学』と同じく作品賞に候補入りした『関心領域』にも出演している。まさに今年を代表する女優なのだ。彼女が受賞する可能性も決して0ではないだろう。

とは言え現状ではやはりグラッドストーンかストーンのどちらかが受賞すると思われる。

リリー・グラッドストーン

エマ・ストーン

サンドラ・ヒュラー

 

◆助演男優賞
本命:ロバート・ダウニーJr.『オッペンハイマー』
対抗馬:ライアン・ゴズリング『バービー』
大穴:マーク・ラファロ『哀れなるものたち』

前哨戦では当初は『May December』のチャールズ・メルトンが強かったが、その後はロバート・ダウニーJr.が賞レースを引っ張っていった。かつては薬物問題でどん底を味わったが、『アイアンマン』で華麗に復活。その後もMCUのリーダー的俳優としてシリーズを引っ張り、気が付けばハリウッドを代表するスーパースターになった。『アイアンマン』以降の彼の復活劇の集大成が本作でのオスカー受賞となれば、これほど素晴らしいストーリーは無い。実際に彼は重要と言われている前哨戦の賞を独占し、まさに頭抜けている状態だ。

対抗できるとしたら『バービー』のライアン・ゴズリングだろうか。『オッペンハイマー』同様サマーシーズンの興行を引っ張った『バービー』だが、残念ながら監督と主演女優が候補から漏れてしまった(これに対してはゴズリングも怒りの声を出していた)。そしてゴズリングも、前哨戦では勝利こそいくつかあったものの、ダウニーJr.に勝る程の勢いは無い。むしろ、主題歌賞でのパフォーマンスの方がより注目されている感じがある。

大穴はマーク・ラファロだろうか。ダウニーJr.同様に『アベンジャーズ』からシリーズを牽引する彼は、実はこの部門4回目の候補入り。そろそろオスカーをあげてもいい頃かもしれないが、さすがに今回はライバルが強力過ぎる。

ロバート・ダウニーJr.

ライアン・ゴズリング

マーク・ラファロ

 

◆助演女優賞
本命:ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『ホールドオーバーズ』
対抗馬:なし
大穴:なし

実はこの部門も既に勝者が決まっている状態。前哨戦の序盤から終盤までダヴァイン・ジョイ・ランドルフが殆どの賞を受賞したと言っても過言ではない。息子をベトナム戦争で亡くした調理師役で、絶賛に次ぐ大絶賛を集めた。恐らく彼女で決まりだろう。

彼女の前では遂に初ノミネートを果たしたエミリー・ブラントも、29年ぶりに候補入りしたジョディ・フォスターも厳しい。

さて、一体誰が、どの作品がオスカー像を手にし、その歴史に名を遺すのか。第95回アカデミー賞授賞式は日本時間3月11日に開催。

ダバイン・ジョイ・ランドルフ

 

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