『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~』寺井到監督インタビュー「鮎川さんがそうだったように、自分の“いい”と思うことを続けよう、貫こうと思ってくれたら嬉しい」
『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~』
寺井到監督インタビュー
「鮎川さんがそうだったように、自分の“いい”と思うことを続けよう、貫こうと思ってくれたら嬉しい」
2023年1月29日に74歳でこの世を去った鮎川誠。1978年に“シーナ&ロケッツ”を結成して以来、最後まで現役のロックミュージシャンとしてステージに立ち続けた彼の素顔に迫ったドキュメンタリー映画『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~』が、8月11日(金・祝)に福岡先行上映、8月25日(金)に全国公開する。今回、本作を撮った寺井到監督のオフィシャルインタビューが到着した。
本作は、1979年にシングル「ユー・メイ・ドリーム」がヒットし、日本のロックシーンに大きな足跡を残したバンド、シーナ&ロケッツ。そのギタリストとして休みなく走り続け、最期までステージに立つことにこだわった鮎川誠の生涯に迫るドキュメンタリー映画。揺るぎないロック哲学とロック教養を持った鮎川は最高のロックギタリストであると同時に、妻と3人の娘たちと過ごす時間を何より大切にする優しい家庭人でもあった。「生活とロックはイコールという世界に、シーナが引き込んでくれた」と話す鮎川。だが、15年2月14日に妻でバンドのヴォーカルのシーナが死去。シーナ&ロケッツはそこで止まるかとメンバーさえも思ったものだが、鮎川はバンドの動きを止めなかった。3人になったシーナ&ロケッツは以前にも増して精力的にライブ活動を行ない、やがてシーナの意志を引き継いでLUCY MIRRORこと末娘の知慧子がヴォーカルで正式加入すると、さらに活性化。22年に結成45周年を迎え、鮎川はまだまだ走り続けると誰もが思っていたのだが……。
23年3月に開催されたTBSドキュメンタリー映画祭に於いて上映された『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢』をもとに、所縁の人物へのインタビューやプライベート映像、貴重な音源などを加え再編集した内容となっている本作。本篇では、甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)や浅井健一、大江慎也、友部正人らがインタビューに答えているのに加え、バンドのファンでもあった俳優の松重豊がナレーションを務めている。笑顔でロックを続けた日本で最も愛されたロックンロール・ギタリストの素顔と、最後までステージに立ち続けたいという情熱、そして生涯見続けた夢とは――。
寺井到監督「すごく優しい人なんだなぁというのが第一印象でした」
福岡のテレビ局RKB毎日放送のディレクターである寺井監督と鮎川誠さんが初対面したのは、寺井監督が立ち上げた音楽情報番組「チャートバスターズR!」に鮎川さんがゲスト出演した2000年代半ば頃だったといい、「大御所なのでどっしり構えていらっしゃるのかと思ったら、“よろしくね!”みたいな感じでフランクに接してくださった。ああ、すごく優しい人なんだなぁというのが第一印象でした」と当時を振り返る。その後、ラジオ版「チャートバスターズr!」でジュークレコード(博多のレコード店)の松本康さんをゲストに呼んだ際に、シーナさんの四十九日法要で北九州・若松に帰る鮎川さんに会うと聞き、同行することに。シーナさんの実家近くを一緒に歩きながらインタビューを行い、その様子は寺井監督がディレクターを務めていた情報バラエティ「豆ごはん。」でシーナ追悼特集として放映されることに。「鮎川さんのインタビューを元に構成したシーナさんの追悼特集はけっこう反響があって、鮎川さんのご家族も喜んでくれた。そこから鮎川さんとお会いする頻度も増え、いつか鮎川さんと何かやれたらいいなと思っていたんです。で、19年から自分がドキュメンタリー制作の担当になったので、”今の鮎川さんを取材したい”と申し出た」といい、その時の撮影は、「74歳のロックンローラー 鮎川誠」という30分のドキュメンタリー番組として九州地区で22年7月に放送されたのち、RKB毎日放送の公式YouTubeチャンネルでも2週間限定でアップされ、すぐに10万回再生を突破する大反響となり、TBSの深夜番組「ドキュメンタリー“解放区”」で1時間の拡大版が放送される。
しかしながら、放送日の7日前、23年1月29日に鮎川さんが急逝。鮎川さんの病状について知らないまま取材をしていたという寺井監督は「その時期の取材をしていなかったら、最期に至るまでの鮎川さんの姿というのは残っていなかったわけで、そう考えると何かめぐりあわせのようなものを感じますね。“お前が記録しろ”という天の采配があって、自分が選ばれたのかなと。だからこのお仕事は最後までちゃんとやらなきゃという意識があるんです」と胸の内を明かした。そして、「これを追悼映画にはしたくないという気持ちがずっとあるんです。葬儀の様子とかも入っているのでどうしてもそういうトーンは出てしまうけど、鮎川さんがいたからこういうものに出会えましたとか、こういうことに立ち会えましたとか、それぞれにとってのそういうものが集まってこの映画になっていると感じてもらえたらいいなと。“いなくて寂しい”は、もういいかなって思うんです。もちろん、もうお話を聞けないんだなと思うとすごく寂しいですよ。でも、それだけ話を聞きたいと思う人と僕は実際に会えたんですから。それを少しでも記録にして人に伝えることが自分にできることだなと思ってやっている。自分は自分で、“いい”と思うことをやり続けること。それが鮎川さんのご恩に報いることになるんじゃないかと思うんです。これを観てくれた人も、鮎川さんがそうだったように、自分の“いい”と思うことを続けよう、貫こうと思ってくれたら嬉しいですね」と観客へメッセージを送った。
【出演】
鮎川誠、シーナ、鮎川陽子、鮎川純子、LUCY MIRROR、唯子
【ナレーション】
松重豊
【スタッフ】
監督・編集:寺井到
撮影:中牟田靖、宮成健一、丸本知也
編集:高尾将
音効・MA:寺岡章人
協力:ジュークレコード、ロケットダクション、ビクター・エンタテインメント
プロデューサー:緒方寛治、坂井博行
製作:RKB毎日放送
製作幹事:TBSテレビ
配給:KADOKAWA
宣伝:KICCORIT
©RKB毎日放送/TBSテレビ
公式サイト:https://rokkets-movie.com/
公式Twitter:@rokkets_movie
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