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ファッションのプロが語る『年代を装い表現する映画』

70〜80年代にかけての洋画のスタイリングがすごく好きだ。

だけれども、あのユルッとカジュアルが許されるのはアメリカ人やイギリス人の持って生まれたスタイルと派手な顔立ちがかなり重要である。日本人の中でもとびきりちんちくりんの私にはどう頑張っても真似できない、一生の憧れが洋画には詰まっているのだ。

そこで私がリアルに参考にしているのはやっぱり邦画で、昨年公開された映画『逆光』のスタイリングは個人的にかなり良かった。

時代設定は70年代、尾道に暮らす若者たちを映した群像劇。70年代の設定ではあるが、監督を務めた須藤蓮さんは現在26歳の若手監督。日本のファッションが原点回帰を繰り返しながら多様性を広げていることも含めて、正直今の20代がかなり好きそうなスタイリングばかりが映画には登場する。私も虜になった20代のうちの1人だ。

以前、ウォン・カーウァイの映画の『欲望の翼』でレスリー・チャンがやたら襟付きの服を着ている話を書いたのだが、『逆光』も同じく、襟付きの服をこぞって着ている。(ここまでくると、70年代の服がどうこうというよりも、私が無類の襟フェチなのかもしれない)

私がずっと探し求めているようなボーダーのポロシャツにスラックスを合わせたり、ワインカラーの開襟シャツも色気があって人物の魅力をグッと引き立てている。監督然り、演者もみんな若手ばかりなのだが、装いが変わるだけで70年代の空気感を作ることができるのだから服の力は侮れないなと思う。

前回紹介した『裸足で鳴らしてみせろ』の工藤監督も27歳で、最近の新進気鋭監督は皆、映画の中の登場人物のスタイリングにこだわりがあって観ていてとてもワクワクする

その人物が何を話してどんな表情をするのか、演じる手段の1つとして服装で伝えることもできるのだから、もし私が映画を撮るとしたらスタイリングに一番力を入れてしまうかもしれない。そしてそこに力を入れすぎて、眠くてたまらない睡眠映画が完成することだろう…。

 

文:映画ファッションマニア つみき    

 

『逆光』(2022)
監督:須藤蓮
出演:須藤蓮、中崎敏、富山えり子ほか
配給:FOL
(C)2021「逆光」FILM

 

 

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