1作目では、マイケルが正真正銘スーパースターとなる『BAD』までが描かれた。エンドクレジット前には「His Story Continues」という続編を示唆させるテロップも表示され、映画の大ヒットも後押しとなり、続編の制作は既定路線だと言えるだろう。
最初の大きな動きとしては、配給のライオンズゲートのアダム・フォーゲルソン会長が決算などの発表会での言及だ。会見によれば2026年の終わりか2027年初めに撮影を開始、2027年後半か2028年の前半には公開したいとのこと。もちろん主要なスタッフ・キャストは続投である。
これについて注意したいのは、やる気はあるけどまだ何も決まっていないということ。株価のための発表ということも十分考えられ、脚本開発以外、現場はまだ何も動いていない可能性が高い。とりあえず会長は早急に作る気マンマンであることだけ覚えておけばいいだろう。
一番最近のものとしては、8月20日、主演のジャファー・ジャクソンが米メディアのインタビューで続編に言及。脚本が開発中であること、ジャファー自身がどこまでが描かれるのかを知らないとした上で、「2作目では、さらにマイケルの深い視点で描かれると思う。(虐待疑惑については)結局のところ、常に他人の口から語られたものだから」と語っている。
1993年以降、メディアを通じて語られてきたマイケルに降りかかる数々の児童虐待疑惑。1作目同様、それらがマイケルの視点から描かれることになるのだろうか。

■児童虐待疑惑はどう描かれるのか
もともと1作目の『Michael/マイケル』には、撮影したが使用しなかった、もしくはできなかった素材が多く残っている。1作目の製作時点で続編の2割~3割に及ぶ映像がすでに撮影されており、未使用の音楽シーンなどが続編に活用されることになるだろう。
そして注目されるのは児童虐待疑惑への言及だ。どのように描かれるかは不明だが、1993年に浮上した最初の児童虐待疑惑については撮影済みで1作目の第3幕に組み込まれる予定だった。しかし示談契約に映画で描写、言及してはいけないことが明記されていたことが判明し、スタッフは大規模な追加撮影を実施、現在の形になったという経緯がある。
結果として1作目は性的虐待疑惑に踏み込まない映画になったわけだが、2作目を制作するうえでは避けられないテーマ。1993年の最初の疑惑を描くことができないという中で、製作陣はどのようにこの重大なテーマを描いていくのか。結局のところ、児童虐待疑惑についてマイケル側は一貫して否定しており、すべての裁判で無罪になっている。本人が他界しているのが残念でならないが、この事実をまだ知らない人たちのために、ぜひ映画でしっかりと描き、マイケル・ジャクソンを再定義してほしいところである。
■完全再現してほしいライブやMV
どうしても児童虐待疑惑が影を落とす2作目ではあるが、1作目はマイケルのライブやPVの再現度の高さも大きな見どころだった。続編もそこは大いに期待したい。1作目のクライマックスが「BAD」だったものの、BADワールド・ツアーはぜひ描いてほしいところ。日本からスタートしたツアーでもあり、当時の日本人の熱狂の様子を日本ロケでぜひ描いてほしいものである。MVで言うと、アルバム「BAD」収録の大人気曲「Smooth Criminal」は外せない。楽曲のすばらしさ、ダンス、MVのクオリティ的にも圧倒的で、ファンが最も完全再現してほしいMVのひとつなのは間違いないだろう。
・Michael Jackson – Smooth Criminal (Official Video)
そして絶対に外せないイベントであり、マイケル・ジャクソン伝説の中でもとびっきりのパフォーマンスとして記憶されているのが、1993年の第27回NFLスーパーボウルのハーフタイムショーだ。この圧倒的なパフォーマンスによって、これ以降NFLのハーフタイムショーは大物アーティストが出演するイベントへと定着したのは有名な話。10分ちょっとしかないパフォーマンス時間の中、登場から大歓声を浴びながら約90秒ものあいだ微動だにしないマイケルの立ち姿は必見。ここだけは、前半のヤマとして何としても再現をお願いしたい。
さらにアルバム「デンジャラス」、「ヒストリー」、「インヴィンシブル」の数々の傑作MV、そして「THIS IS IT」にまで触れるのか。ファンの期待は尽きない。
■結局は脚本がすべて
先日の7月31日、筆者が運営している共感シアターにて、「映画『Michael/マイケル』大感想会」を実施させていただいたのだが、この番組の中で続編の話に言及した。そこでゲストのぴあ編集部中谷祐介さんの言葉を要約して引用したい。
番組ページ:https://www.youtube.com/live/pJcCnP1e35Y
「1作目が公開される前、映画が”マイケルの父親からの脱却の話”だとはだれも思っていなかった。その見えなかった部分にみんなが共感したからこそ、この映画がヒットした。だからそのテーマに匹敵するものを見つけない限り、この映画の続編は始まらない。続編が何をテーマの中心に持ってくるのか。それを予想するとワクワクが止まらない。」
まさにこの通りである。ここまでいろいろと続編への期待を語ってきたが、どんなにマイケルを再現しようとも、映画は結局のところ脚本、「語るべき物語の面白さ」に尽きる。
当然、1作目に比べて暗い物語が多くなるだろうし、音楽面だけでもまだまだ語るべき要素は大いにあるし、ソニーとの確執も描くべきだろう。次の続編で終わるのか、それともさらなる続編が待っているのか今はまだわからない。
マイケル・ジャクソンはもうこの世にいない。その大前提の事実がある中で、1作目は見事に観客の期待に応えて見せた。本人がいない中で“マイケルの視点に立って語る”という権利を得たこの映画は、マイケルの人生の続きをどう描くのか。全世界がその行方を見守っている。

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