【特集!LGBT映画】最終回のテーマは本当にあったLGBTの若者たちの物語。『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』青年の苦悩をミュージカルで表現!
LGBT特集!実際の人物をモデルにした作品をチェック!
第3回まで、レズビアン(バイセクシャル)・ゲイ・トランスジェンダーについて紹介してきた。4回目で最終回となる今回は、LGBTの若者たちの映画についてご紹介。
『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』(2019)
黒人・トランスジェンダー・シングルマザーの元で育てられるなど、マイノリティだらけの生活を送って来たユリシーズ。そんな彼がある仲間達と出会い、少しずつ自分を受け入れていく。監督が実際にボランティアに行っていた教会で行われた「サタデーナイト・チャーチ」を基に、リアルに再現された作品。
父を亡くし、母親は生活のために仕事を朝から晩までしなければならず、面倒は全て叔母が見てくれていた。しかしその叔母はとても厳しく、女性の服を着るなんて以ての外だとユリシーズは叱られる。学校では女だと笑われ、弟にも見下されたような接し方をされるユリシーズ。そんな彼が出会ったのは、同じような境遇の仲間達だった。
注目ポイント!
ラストシーンの母親の想いが詰まった歌には誰もが感動する。
今作は実はミュージカル作品。ユリシーズやその他の登場人物の心情が歌に表されている。一日中働き詰めで、なかなか子供たちとコミュニケーションが取れなくなって行ってしまう母親。しかしそれでも母親として、時間があれば子供達と話をするし、叔母とうまく行っていないことも理解している。ユリシーズが家出をしてしまった時も、真っ先に探しにいく。あまりに叔母の態度が酷すぎるので、よりとても優しい子供想いな母親に見える。
ユリシーズが家出から帰って来て、カミングアウトをするシーン。母親も最初は戸惑っていたけれど、しっかりと子供と向き合い、自分の思いを歌にのせて伝える様子はとても心に残る。母親に限らず、家族のあり方をも教えてくれるシーンだ。
「サタデーナイト・チャーチ」もそういった性的マイノリティ達が、救われた存在である。ユリシーズがハイヒールを持っていることが叔母にバレた時、叔母は必死に「神に祈りなさい」と言い聞かせていた。しかし神の宿る神聖な教会でも、土曜の夜には性的マイノリティを集っているのだから、神も彼らの味方。神は誰に対しても味方なのだということも教えてくれる映画であるともとれる。
全4回に渡ってお送りしたLGBT映画特集、いかがでしたでしょうか。
きっとこれからもっと、性的マイノリティを題材とした映画が増えてくるでしょう。これを機に、もっと沢山の人達に受け入れられる世の中になることを祈ります。
【STORY】ニューヨークのブロンクス。「美しくなりたい」という思いを抑えられずにいる青年ユリシーズは、ある夜、ストリートで出会ったトランスジェンダーのグループに「サタデーナイト・チャーチ」に誘われる。そこは静かで厳格な昼間の教会とは異なり、ダンスや音楽を楽しみながら、同じ境遇の仲間と語らう場として開放されていた。ユリシーズは、その自由な雰囲気に魅了され、少しずつ自分を解放してゆくが、ある日、隠していたハイヒールが家族に見つかってしまい……。
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