語り継がれる名シーン!映画ファンの記憶に刻まれた「#このシーンだけオールタイムベスト映画」特集
誰しもが持っている忘れられない思い出(もしくはトラウマ)。ふとした時に、あの時のあの光景がフラッシュバックしますよね。まさに、その瞬間に私たちが目にしていたもの、耳にしていた音が、一つのシーンとして鮮明に目に浮かんできます。そして、それは映画も同じ。私たちの観た映画の思い出(やトラウマ)は、強く印象に残ったシーンと共に思い出されるものです。そこで今回は、Xで話題の「#このシーンだけオールタイムベスト映画」を4本、その中でも特に筆者の心に刺さった印象深いシーンに絞って紹介します!
文:紙巻き(肺が真っ黒)
〈地獄の始まりを告げるファンファーレ〉
1.『地獄の黙示録』(1979)
ムービーマービー読者の皆様、やはりこれは外せないですよね。そう、みんな大好きフランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』!そして今回取り上げるシーンも王道のこれ!サーフィン大好きビル・キルゴア中佐が、ヘリコプター部隊を率いて、ベトコンの本拠地を爆撃するシーン(この地点は良い波が来ると部下から聞いたから)。ヘリの群れが編隊を組んで海の上空を飛び、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を爆音で鳴らしながら敵地へ強襲に向かうわけですが、このシーンのもたらす高揚感といったら、他に類を見ないほど。真っ黒なヘリの群れが横に広がり列を成して向かってくる、威圧感に満ちた画の構図と、壮大な「ワルキューレの騎行」は、これから始まる地獄を予感させます。コッポラ監督が私財を投げ打ち、莫大な予算をかけて大掛かりな戦争映画を撮ったわけですが、まさにこれが撮りたかったんだなあ、と感じさせる名シーンです。
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、マーティン・シーン、フレデリック・フォレスト、アルバート・ホール、サム・ボトムズ、ラリー・フィッシュバーン、デニス・ホッパー、ハリソン・フォード
(C)1979 Omni Zoetrope. All Rights Reserved.
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〈You talkin’ to me?〉
2.『タクシードライバー』(1976)
名優の演技に心を震わせられたい…。そんなあなたにオススメします。映画ファンの記憶に鮮烈に刻まれ、『タクシードライバー』が傑作と呼ばれる所以となった名シーン。それは、ロバート・デ・ニーロ演じる孤独なタクシードライバー、トラビスが、思い立った計画を実行するために銃を買い、自室で独りトレーニングに励む、あのシーンです。社会から取り残されたトラビスにとって、自分を受け入れない人間は全て敵。汚れきった社会を浄化するため、トラビスは準備に取り掛かります。そして、自室で独り、銃を構え、仮想の敵を目の前に、鏡を睨んで一言。
“You talkin’ to me?”「俺に言っているのか?」
孤独な青年の内に秘めた狂気が爆発し、正面から捉えたその凄みは観客の鳥肌を誘うほど。筆者もこのシーンを初めて観た時には身震いしたものですが、なんとこのセリフ、デニーロのアドリブで生まれたものなんです!デニーロ、恐るべし…。
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ハーヴェイ・カイテル、ジョディ・フォスター、ピーター・ボイル、アルバート・ブルックス
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〈超えられない境界線(ボーダーライン)〉
3.『ボーダーライン』(2015)
これが筆者の「#このシーンだけオールタイムベスト映画」!「私とこの人とでは住む世界が違うんだ」と感じさせられた経験、ありますよね。「この人を理解できないけど、否定もできない」という感覚。そこには超えられない『ボーダーライン』があるんですね。
FBI捜査官のケイトは、暴力に染まったアレハンドロの非道な手を許せない。物語の終わり、ケイトはアレハンドロに銃口を向けます。しかし、結局、撃てない。ケイトはアレハンドロの復讐を否定できないんです。壮絶な過去を抱えるアレハンドロの信条は、暴力には、それ以上の暴力を、というもの。本作の原題は『Sicario』つまりは「殺し屋」ですが、ケイトには殺し屋と戦うために殺し屋になる覚悟がない。物語で一貫して保たれている構図、「向こう側」の世界を無言の演技で見事に表現した秀逸なラストシーンなんです。もう、カタルシスが爆発しちゃってます…。そして特筆すべきはアレハンドロを演じるベニチオ・デル・トロの凄み!銃口を向けるケイトに対して「お前には撃てない」と言わんばかりの、壮絶な人生を物語る表情。あまりの渋さと奥深さに心が震え、涙がこぼれます。
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ダニエル・カルーヤ、ジョン・バーンサル、ジェフリー・ドノヴァン、ヴィクター・ガーバー
(C)2015 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
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〈もはやコント!タブーをまろやかにするユーモア〉
4.『ハウス・ジャック・ビルト』(2018)
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でパルム・ドールを受賞したラース・フォン・トリアー監督。スクリーンから目を背けたくなるような問題作ばかりを撮るトリアー監督が、シリアルキラーを描いたのが『ハウス・ジャック・ビルト』。
紹介するのは、シリアルキラーのジャックが二人目の女性に手をかけた直後のシーン。ジャックは強迫性障害と潔癖症に悩まされているようで、犯行現場に血痕を残していないか気になってしょうがない。早く現場から立ち去りたいジャックですが、愛車のハンドルに手をかける度に、女性の部屋の家具の裏に血がべっとり付いている妄想が膨らんで、何度も部屋に戻って掃除を繰り返します。彼の行い自体はタブー以外の何物でもないのですが、その様子がなんとも可哀想で滑稽で、コントを演じるような彼の挙動に笑えてしまいます。
ちなみに、トリアー監督は以前カンヌを出禁になりましたが、その後なぜか本作を引っさげて舞い戻りました。プレミア上映では100人以上の観客が退席したそうですが(笑)、終映後は6分間に及ぶスタンディングオベーションを受けたようです。不思議ですね。
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィー・グローベール、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス
(C)2018 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31,ZENTROPA SWEDEN,SLOT MACHINE,ZENTROPA FRANCE,ZENTROPA KOLN
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いかがだったでしょうか。思い出に残ったシーン、トラウマになったシーンのある作品を見返してみると、当時とは違った見方ができるかもしれませんね。映画でしか見られない画、映画でしか満たせない快楽を存分に楽しめるシーンを紹介しました。『ハウス・ジャック・ビルト』を観てゲンナリしたら、「ワルキューレの騎行」を聴いて高揚感を得るのがオススメです。
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