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魔夏のホラー特集!ホラーマニアが「ガチで怖い!」と思った映画特集

本当に怖い映画って何でしょう。『ハリー・ポッター』シリーズに登場する狼人間のルーピン先生はキレイな満月を怖がるし、怖いものは人によってかなり個人差があります。そう考えると、ある意味何もかもが恐怖の対象と言えそうですが、ホラー映画ではよく「それって本当に“怖い”のかな?」と思ってしまう演出が使われます。それがジャンプスケア(驚かし)。意表をついたタイミングで大きな音やショックシーンを流し観客をビクッとさせる手法で、人間の生理に働きかけ否が応にも反応させる賢い手ではありますが、上手く使わないと作り手の意図が悪目立ちして観客の気持ちが冷めてしまいます。誰もが恐怖を覚える映画を選ぶのはかなり難しいことだと自覚しつつ、今回はジャンプスケアに頼らず観客を震え上がらせる最恐映画を自信を持って4本紹介します!

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

 

〈青春は血の味がする〉
1.『キャリー』(1976)

ホラーで大切なのは、まず主演俳優の顔だと思うんですよね。美しければ恐怖に歪む顔も映えますし、主人公自身の顔が怖いというパターンも良し。本作の場合は失礼ながら後者で、キャリー役のシシー・スペイセクが目を見開くとこちらまでギョッとします。しかし、キャリーは学校では陰湿すぎるいじめを、家では宗教に狂った母親から虐待を受けており、感情移入せずにはいられません。健気なキャリーに罪悪感を覚えたいじめっ子のひとり、スーは罪滅ぼしにと、彼氏のトミーにキャリーをプロムに誘うよう頼みます。ドレスアップしたキャリーは見違えるようで、最初は嫌々だったトミーも見惚れ、こっそり様子を窺っていたスーも喜んだのですが…キャリーが秘めた超能力が暴走し、地獄絵図に。本作が恐ろしいのは、キャリーを追い詰めたのは悪意だとしても止めを刺すのは善意であるところ。この美しく残酷な青春は、脳裏に焼き付いて離れなそうです。

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ジョン・トラボルタ、ナンシー・アレン、エイミー・アービング 他

 

 

〈恐怖と絶望のデパートにようこそ〉
2.『ヘレディタリー/継承』(2018)

恐るべきハイクオリティぶりから、公開後すぐ“インスタント・クラシック(即刻映画史に残ると認定された傑作)”と呼ばれた本作。この映画の恐ろしさは、その手数の多さにあります。主人公のアニーには、怪しい行動を取っていた母親と、精神を病んでいた家族がいました。アニー自身もいつか発狂するかもしれないという時限爆弾を抱えているのに、さらに夫と子どもにも立て続けに不幸が押し寄せ、事態が一向に好転しません。一文字で作品を表すと、「嫌」です。色んなタイプの嫌なことが起こり続けます。話がどこに転がるか読めないので、予想して受け身も取れません。そして、転がり始めた石はもう止められない…。これほど、次の展開が気になりながらも目を背けたくなる映画もないでしょう。どんなホラーでも、特定のキャラクターにはシートベルトのように安全装置が働いているものと思っていましたが、筆者は本作で考えを改めました。一線を越えています。

監督:アリ・アスター
出演:トニ・コレット、ガブリエル・バーン、アレックス・ウルフ、ミリー・シャピロ、アン・ダウド 他

 

〈鏡に映るあなたは誰? 本当の自分はどこ…?〉
3.『パーフェクトブルー』(1997)

4本中本作だけアニメ映画ながら、個人的に一番恐ろしくきっちりトラウマになっています。先に言っておくと、かなり(特に女性に)精神的負荷がかかる作品なので、鑑賞には十分注意してください。男性も、一日潰す覚悟で臨んでください。主人公の未麻(みま)は清純派のアイドルから女優に転身しようとしますが、もらえたのは汚れ役でした。そのショックとアイドル時代からのストーカー的ファンに悩まされ、徐々に現実と役の区別がつかなくなり、さらにアイドルとしての自分と女優としての自分に引き裂かれ映画自体も混乱していきます。今ほどインターネットが発達していない頃が舞台で、時代を感じる部分もありつつも、ネットに個人情報がばらまかれる危険や、ネット上にこそ自分の本性が現れるのではないか、など今でも通じる先進的な問いを秘めています。ちなみに筆者は、本作のせいで映画のヌードシーンに罪悪感を覚えるようになってしまいました。

監督:今敏
出演:岩男潤子、松本梨香、辻親八、大倉正章 他

 

〈その怪物は、存在を否定するほど強くなる〉
4.『ババドック 暗闇の魔物』(2014)

本作は現在配信しているサイトがなく、実際にディスクをレンタルするしか見る方法がないようですが、ホラーファンならマストで見ておくべき作品なのでピックアップ(『ヘレディタリー』に影響を与えているのでは?)! 主人公のアメリアは夫を亡くし、注意散漫な問題児サミュエルを女手一つで育てるシングルマザー。毎日ろくに寝れず、息子は言いつけを守らない…。ある日、サミュエルが見覚えのない不気味な絵本「ミスター・ババドック」を読んでほしいとせがんできます。飛び出すギミックがついたその絵本には「名前と姿を知ったらもう逃げられない」と書いてあり、リアル“飛び出す絵本”のごとくアメリアはババドックなる怪物の影に脅かされるようになるのです。観客も逃げ場のないアメリアとともに疲弊し、そして最後は…何と、ホラーにあるまじき結末を迎えます。鑑賞後に残るこの気持ちは、これからも付き合い続けなければならないものでしょう。

監督:ジェニファー・ケント
出演:エシー・デイビス、ノア・ワイズマン、ダニエル・ヘンシュオール 他

 

いかがだったでしょうか。

「誰もが恐怖を覚える映画を選ぶのはかなり難しい」と言いましたが、きっと4本のうちどれかが確実にあなたを恐怖に陥れるでしょう。恐怖の対象はそれぞれでも、この4本には共通点があります。それは、“忘れられない”こと(ちゃんと全部顔も怖いし…)。見れば、あなたの人生の方向性は少し、けれど永遠に変わってしまいます。その覚悟がある方のみ、この先へお進みください。振り返ってはいけません…。