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『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4Kリマスター版』公開記念/ジョージ・A・ロメロ傑作選

6月17日(金)よりジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4Kリマスター版』が公開されます。ロメロ監督はゾンビ映画の巨匠であり、社会派なメッセージをホラーに込めてきた人物でもあります。今回はその作品群の中から選りすぐりの傑作を4本紹介します!

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

 

①『ゾンビ』(1978)
出演:ケン・フォリー、ゲイラン・ロス、デビッド・エンゲ

〈決して死なない傑作!〉

最初はやはりこれでしょう。もはや知らぬ者がいないであろう、「ゾンビに噛まれた人間はゾンビになる」、「ゾンビは頭部を破壊しないと倒せない」などの基本ルールを広く世界に知らしめた作品です。原題は「ドーン・オブ・ザ・デッド」といい、この作品に“噛まれた”後の世の映画監督たちが「◯◯・オブ・ザ・デッド」というタイトルの映画を山ほど生み出しました。物語の舞台もユニークで、決死の攻防戦が描かれるのは何と大型ショッピングモール。いくらでも物資があるのだから理に適っているとも言えますが、ゾンビがそこに集まってくるのは生前の習慣のためと説明されます。滑稽でさえあるその設定からは、大量消費社会への批判が垣間見えますね。現実世界の我々の末路は、ゾンビではなくとも金の亡者かも?

 

②『ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖』(1973)
出演:W・G・マクミラン、レイン・キャロル、ハロルド・ウェイン・ジョーンズ

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〈正気と狂気は紙一重!〉

『ゾンビ』よりも前に作られましたが、通ずるところのある作品です。軍の不手際により生物兵器が河川に流され、それによって田舎町の人々が狂っていくというストーリー。本作では『ゾンビ』と違って人を噛んだりはしないものの、ウィルスによって感染する病気が蔓延し、事件が隠蔽されようとしている中、封鎖された町から脱出を目指すというのはお馴染みの流れです。感染者は暴力的になり、自分の子どもすら襲おうとします。特に恐ろしいのは、狂気に陥る決定的な瞬間が傍から見ていて分からないこと。本人にも狂っているという自覚がないので、最悪の事態が起こるまで誰も危機に気付くことができません。本作が公開されたのはベトナム戦争中でした。劇中のウィルスはもちろん存在しませんが、実際に狂気はいとも簡単に感染していきました…。

 

③『URAMI ~怨み~』(2000)
出演:ジェイソン・フレミング、ピーター・ストーメア、レスリー・ホープ

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〈ロメロ流“カオナシ”登場!〉

真面目で気弱なヘンリーは、社長からバカにされ、妻に浮気され、親友にお金を騙し取られても、やり返す妄想をして耐えていました。ですが、自分の存在価値を否定されたことで、謎の白い仮面が顔面に張り付き剥がれなくなってしまいます。顔というアイデンティティの象徴を失った彼は復讐を開始していきますが…。ヘンリーの逆襲はスカッとする部分もあり、自分らしく生きられないと感じている方には共感できる内容となっていますが、表情がなく、目が異様に小さなその仮面は非常に不気味です。人は誰しも、人生の様々な場面によって“仮面”を付け替えています。常に笑顔の仮面を用いている方もいるかもしれませんね。しかし、もし無表情の仮面が剥がれなくなってしまったら…、おっと、その考えは心の中に留めておくことをオススメします。

 

④『クリープショー』(1982)
出演:ハル・ホルブルック、レスリー・ニールセン、エイドリアン・バーボー

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〈残酷悪趣味怪奇譚!〉

5編の短編からなる、一風変わったオムニバス作品です。脚本はホラーの帝王スティーブン・キングが担当し、役者として息子のジョー・ヒルと出演までしています。どのエピソードも俗悪さに満ちており(褒め言葉)、過去に流行った同様の作風のコミックにオマージュを捧げたものとなっています。収められているのは、唯我独尊の家長を殺した一家が迎えた父の日の顛末や、妻に不倫された男が妻とその不倫相手に行った復讐など、どれもこれも後味の悪い話ばかり。強いて言えば、やはり他人から怨みを買うべきではないという教訓を得られるでしょうか。「暴力的な映画を観ると暴力的になる」といった主張をよく耳にしますが、完全に開き直ったような本作のオチには逆に爽快感すら感じます。

いかがだったでしょうか。

ロメロ作品はいくつかリメイクされているものもあり、『クリープショー』は2019年にテレビドラマとして蘇っています。監督自身は2017年7月16日に亡くなってしまいましたが、作品はゾンビのように死せず、何度も蘇り、影響を与えた関連作品ならぬ感染作品を未だに生み出し続けています。今年の夏は、織姫と彦星だけでなくロメロ監督にも思いを馳せてみては?

 

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