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『余命10年』公開記念!今もっとも注目すべき映画監督「藤井道人」 特集

最近、認知度・人気ともに急上昇中の気鋭の監督、それが藤井道人です! 当時33歳の若さで日本アカデミー賞まで受賞したその才能は目を見張るものがあります。3月4日より、小松菜奈×坂口健太郎W主演の最新作『余命10年』が公開となるため、それに先駆けてオススメの藤井作品をピックアップします!

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

 

①『デイアンドナイト』(2019)
監督:藤井道人
出演:阿部進之介、安藤政信、清原果耶

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〈善悪の境界線はどこにある?〉

大手企業の不正を内部告発した父親が自殺し、息子の幸次は実家に戻り事の真相を暴こうとしますが、家族を守るためどんどん闇の世界に染まっていきます。正義を成したように見える父親は結果的には家族を窮地に追い込んでしまい、幸次は犯罪者となるも家計と身寄りのない子どもたちを助けています。劇中、登場人物たちが一見似ているものの意味は正反対な行動をしている昼と夜のシーンを交互に繋いだシークエンスは必見。善と悪を昼と夜、つまりデイアンドナイトに重ね合わせているのです! 善悪の境界線がどこにあるのかなんて、誰にも分かりません。いつからが昼で、いつからが夜なのかが曖昧なように。どこにも本物の悪人はいないのに、事態はどんどん悪くなる。うーん藤井監督、中々シビアな世界観ですね! 親がいなくも気丈に振る舞う奈々を演じた清原果耶は、見事に第32回日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞しました。

 

②『新聞記者』(2019)
監督:藤井道人
出演:松坂桃李、シム・ウンギョン、本田翼、田中哲司

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〈国の前には誰しもちっぽけな存在にすぎない〉

新しく建設予定の大学をめぐる陰謀に巻き込まれた内閣情報調査室所属の杉原と、新聞記者の吉岡。真実に迫ろうとすると必ず邪魔が入り、死者まで出てしまいます。杉原は自分の仕事に疑問を持ちながらも“お国のため”火消しを行わなければならないという板挟みの状態。吉岡は自らの理想とするジャーナリズムを貫き通そうとしますが、昔同じことをして命を落とした父親の影がよぎります。どこかで聞いたような事件をモチーフに、国に簡単に捻り潰される個人の無力さと、それでも不正に立ち向かおうとする誇りを描いていますが、そこは藤井監督。多くを語らずとも不穏な結末が待ち受けています。やはり、結局はホコリのように吹き飛ばされるだけなのでしょうか…?監督と同じく注目の映画会社スターサンズの作品である本作は、日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞他、数々の賞を受賞。

 

③『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020)
監督:藤井道人
出演:清原果耶、伊藤健太郎、吉岡秀隆、桃井かおり

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〈血の繋がりが全てじゃない!〉

父親の連れ子であるつばめは、心の底から義理の母と家族になりきれないでいました。そんな中自分に妹ができると知り、より自分の居場所に不安を抱き始めますが、ホームレスのような奇妙な老人「星ばあ」と交流するうちに成長していきます。これまでの作品とうってかわって、非現実的な描写もある不思議で優しい映画になっています。コミカルな部分もあり、藤井作品にトライしてみたい方には最も適した入門編になるかもしれません(と言ってもこの次はビターな作品にぶち当たるでしょうが)。本作で初主演を務めた清原果耶は、抑えめで繊細な演技を披露しています。家を出ていった本当の母親のことが忘れられないつばめの巣立ち、必見です。「血の繋がりがなくとも家族になれる」というテーマは、『デイアンドナイト』や次に紹介する作品にも共通しています。

 

④『ヤクザと家族 The Family』(2021)
監督:藤井道人
出演:綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、市原隼人

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〈ヤクザだって生きている〉

親を亡くし無軌道に生きている賢治はヤクザに拾われ、盃を交わします。凶暴ながらも、仁義を重んじる理想のヤクザ像を追い求める賢治でしたが、仲間を庇って刑務所に入ることに。14年後に出所すると、どこにもかつてのギラギラした魂を持ったヤクザはいなくなっていました。バイオレンスな描写も用いる藤井監督はヤクザの困った面もきちんと描いており、他の組からしっぺ返しを受けたり法によってきつく縛られたりしているのを「自業自得だ」と思いながら見るのは簡単なのですが、大組織がしょんぼりしていく様子には無性に悲しくなってきます。この綾野剛には同情を禁じえません。最初から望んでヤクザになったわけではないのに、気づけばもう元の世界には戻れません。彼らもまた血の繋がらない家族であり、やはり善悪を二分して語らない作風も健在で、藤井監督の集大成的な作品とも言えるでしょう。

 

いかがだったでしょうか!?

『余命10年』はあらすじからすると単純な難病ものにも聞こえますが、藤井監督が作ったからには一筋縄ではいかない作品になっているはず。主人公たちが夫婦になるかは分かりませんが、もしそうだとすればこれも「血の繋がらない家族」の物語になりますね。どの作品でも観客の心を揺さぶってきた藤井監督は、新たに何を見せてくれるのでしょう。期待が止まりません!

 

【ストーリー】
20歳で不治の病にかかり、もう恋はしないと心に決めた余命10年の茉莉。生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人。同窓会で再会した2人は惹かれあい、ありふれた毎日が嘘みたいに輝き出す。思い出の数だけ失われていく時間――彼らが最後に選んだ道とは?

【キャスト】
小松菜奈、坂口健太郎
山田裕貴、奈緒、井口理 / 黒木華
田中哲司、原日出子、リリー・フランキー / 松重豊

【スタッフ】
原作:小坂流加「余命10年」(文芸社文庫NEO刊)
監督:藤井道人
脚本:岡田惠和、渡邉真子
音楽・主題歌:RADWIMPS「うるうびと」(Muzinto Records / EMI)
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2022映画「余命10年」製作委員会
公式ツイッター:@yomei10movie #余命10 年
公式サイト:yomei10-movie.jp

2022年3月4日(金)公開

 

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