舞台から映画の世界に来た凄いヤツ!サム・メンデス監督作品特集③『ジャーヘッド』
今週末公開の映画『1917 命をかけた伝令』は全編1カットで見せる戦争映画で、監督を務めたのはサム・メンデスだ。監督作品は決して多くはないが、その1本1本が大きく話題になるサム・メンデス。近年は『007/スカイフォール』で『007』シリーズに新たな風を吹き込んだ。そこで今週はそんなサム・メンデス監督作品を特集する。
『ジャーヘッド』(2005)
戦争は若者の功名心すら聞き入れてくれない
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サム・メンデスは最新作『1917 命をかけた伝令』で第一次世界大戦を描いているが、実はこの映画では湾岸戦争を描いている。第一次世界大戦以上に描かれている作品が少ない湾岸戦争。サム・メンデスはもしかしたら、あまり人々が語り継がない戦争を世に残そうとしているのかも知れない。
とはいえこの映画はゴリゴリの戦争映画ではない。実際にこの映画には『プライベート・ライアン』のような壮絶な戦闘シーンはほとんどない。戦場にいる兵士、若者により深く焦点を当てている。鍛え上げた腕を披露する場すらなく終わっていく戦争、自身が功績を上げることは全くなく、黒ずんだ死体を目にする以外、彼らの湾岸戦争はあっけなく終わってしまう。そんな戦場にいる兵士のリアル。無気力に生きてきた若者が、戦争で己の存在価値を見出そうとしても、そんな場すら与えられない虚無感がこの映画の大きな特徴だ。
この湾岸戦争で米軍はサウジアラビアに駐留することになったが、それがきっかけでウサマ・ビン・ラディンは急速に反米運動を加速させ、最終的には同時多発テロに至った。もし本作の主人公が経験する戦争が湾岸戦争ではなく、イラク戦争であったら、全く違った経験になっていたかも知れない。国にも人にも傷跡を残さない戦争など、存在しないのである。
【ストーリー】
1989年、18歳のスウォフ(ジェイク・ギレンホール)は海兵隊員の父親と同じ道を進むべく、自分も海兵隊に志願する。狙撃手として湾岸戦争下のイラクに派遣されるが、実践ではなく演習と待機の日々が待っていた……。
【キャスト】
ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード ほか
【スタッフ】
監督:サム・メンデス
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