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【映画『ヴィレッジ』公開記念特集】Vol.4
ここを観ろ!『ヴィレッジ』を深掘りする4つのキーポイント

『ヴィレッジ』は一人の不幸な青年が希望と野望を胸に栄華を究めた後、崩れてゆく運命を拾い集め、思わず闇に手を突っ込んでいく話として観てももちろん面白いんですが、「霧」「能」「茅葺屋根」「炎」など様々な要素を散りばめた世界観や、映像表現や美術に込められたメタファーに触れることで、ストーリーを深読みでき、また違った楽しみ方ができる作品です。河村プロデューサーの残留思念もそこかしこにみれるかも。今回はそのあたりを話します。

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

 

【映画『ヴィレッジ』公開記念特集】Vol.4
ここを観ろ!『ヴィレッジ』のキーポイント

霧の風景
藤井作品は常にビジュアル的に意識すべきモチーフがあります。『新聞記者』は落ち葉と風、『ヤクザと家族』は煙と煙突。そもそも彼のデビュー作は『埃』だったりして。

映画の冒頭、暁闇に映し出される山々と村を白く包む霧は幽玄で印象的。でも、この霧は映像が綺麗っていう意味だけじゃない。すべてのカタチをおぼろげに隠す「霧」は正体は見えづらいことを示唆しているんですねぇ。この撮影地、京都府美山町にある「かやぶきの里」ですが、本当にこんな霧がドバっと出る場所なんです。

行ってみてください。「ヴィレッジ」気分MAXでます。

能の表情
「能」はその静謐なムードや迫力の音や印象的なルック以上に存在として意味深い。   

苦悩にも笑いにもみえる能の面(おもて)を演技の参考にしたという横浜流星のコメントもあるように、こちらも正体がはっきりしないものを指し示しています。

秀吉が能の大ファンだったらしいですね。

「能は心を鎮めるの」という黒木華のセリフもあるんですが、ほとんどの能の演目は亡霊が主人公だといいますから、日本人と怨霊の距離の近さを感じると共に、昔から変わったエンタメを日本人は愛したものだと思います。

藤井監督も「日本最古の芸能である「能」から、大きなヒントを得てこの映画はカタチになった」と言ってます。

邯鄲の枕
特に劇中に出てくる「邯鄲」という能の演目は注目です。

芥川龍之介がこれをモチーフに『黄粱夢』という作品を書き、三島由紀夫は 『邯鄲』を現代風の戯曲に翻案した作品を、さらに古井由吉も『邯鄲の夢』をモチーフに『邯鄲の』という作品を書いています。

話としては映画「野獣死すべし」おいて異常な殺気で松田優作が室田日出男をロシアンルーレットで脅した「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話みたいなもので、ある男の生涯、栄華とその終焉を描く。「全ては一瞬の夢」、ファンタジックだけどちょっと底冷えのする話なんですよね。

さらにどうでもいい話なんですがこの演目の見どころは、横向きに涅槃仏のように肘を突いて手を頭に添え横臥体勢を取り、この状態のまま空中浮遊をするという曲芸で、映画でも一瞬そのシーンもでてきます。

浮遊というか横ジャンプですけど、難易度高そうです。

同じ顔の仮面
「この風景が怖かった。みんな同じ表情で同じ方向に歩いていく」

きっとこのお祭りの行列シーンがこの作品の原風景だと思うんですよね。

圧倒的な敵はいないけど、常に感じる同町圧力、覆い隠され沈殿している悪意や差別感情。外向

きにはほのぼのとした自然豊かな村だけど、その実、大きな闇を抱えている。その象徴が茅葺の村の山上に突出して鎮座しているまるで晴れ上がった吹き出物のようなゴミ処理場。この異様さ。

「村ってなんかやだな、私は都会で育ったから大丈夫」って?

いやそんなことありません。「ヴィレッジ」に出てくる出演者は、全員普通の人。

でも表の顔と裏の顔を持っている。悪人というわけじゃない。人は一面しか見えない。これは遠いどこかの話ではなく、あなた周りのあなたが属しているコミュニティかもしれませんし、日本の話かもしれない。そう、きっとそうなんでしょう。

コロナ禍を契機に、人と人との距離感がとっても遠くなってしまった現在。

そんな今、映画『ヴィレッジ』は、感じるべき題材、語るべきテーマがあるのではないでしょうか?

 

★映画『ヴィレッジ』特別映像(魂のスタッフ編)

 

★映画『ヴィレッジ』特別映像(豪華キャスト編)

 

 

【キャスト】
横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、淵上泰史、戸田昌宏、矢島健一、杉本哲太、西田尚美、木野花、中村獅童、古田新太

【スタッフ】
監督・脚本:藤井道人
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
配給:KADOKAWA/スターサンズ

©️2023「ヴィレッジ」製作委員会
公式サイト:https://village-movie.jp/

4.21(Fri) 全国公開

 

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