【プロが見たこの映画】WEBパブリシストが語る「これぞ青春!未来に残したい傑作映画」
「映画ってさ、スクリーンを通して今と過去を繋いでくれるんだと思う」
文化祭に向けて初めて映画を作る8人の高校生たち。撮影の合間、夜の体育館で仲間と一緒にお菓子とジュースを囲んで語り合う。主人公のハダシが語る映画への想いに全員が優しい眼差しを向け、少し静かになって笑顔が弾ける。これ以上の青春はありますか?
ということで、遂にきました。2021年8月に公開された、〈時代劇×SF×恋愛×青春〉映画という唯一無二の大傑作『サマーフィルムにのって』のBlu-ray&DVDが4月27日(火)に発売され、同日にサウンドトラックの配信も開始しました。最近はほとんど円盤を買わなくなりましたが、この作品のBlu-rayは絶対手に入れると心に決めていました。これほど円盤の発売を待ち望んだ映画は初めてかもしれません
『サマーフィルムにのって』は、時代劇オタクの女子高生ハダシ(伊藤万理華)が、自分が書いた脚本『武士の青春』の主役にピッタリな青年・凛太郎(金子大地)と出会い、親友のビート板(河合優実)やブルーハワイ(祷キララ)など個性豊かな仲間たちと共に時代劇映画の制作に奔走する姿を描く青春SF映画。タイムトラベラーだった凛太郎とハダシの恋模様や迫力のある殺陣もあり、“王道青春映画”でありながら唯一無二の存在感を放っています。
劇団ロロの主宰・三浦直之と共に脚本を手がけた松本壮史が監督を務め、次世代俳優を起用して企画から約3年をかけて公開されました。日本での上映終了後、すでにタイで公開されており、今年の夏には韓国での公開が決定しています(韓国ではすでに大きな話題になっているようです)。国内の映画賞も次々と受賞し、高い評価を獲得しました。
「好き」を肯定する、映画愛に溢れた映画
本作は映画への優しさと愛に溢れていて、映画が好きな人や映画に関わる仕事をする人にオススメしたい一本です。主人公のハダシは、同じ映画部のライバル・花鈴(甲田まひる)が監督を務める“キラキラ青春映画”に対抗し、自分が愛してやまない“時代劇”を撮りはじめます。集まった個性的な仲間たちが、それぞれの好き・得意を活かしながら映画づくりに奮闘する姿に、見ているこちらも気づけば全員が愛おしくなっていました。
見事だったのは、花鈴組の描き方です。前半、花鈴たちのキラキラ青春映画はツッコミどころ満載で少しマイナスな見え方で描かれますが、物語が進むとそのイメージが大きく変わっていきます(キラキラ映画に色々な伏線も張られています…)。「好き」の方向性もジャンルも全く違えど、それを貫き通す真っ直ぐな心を持つ2人の監督の姿に心を洗われた気がしました。「好き」をすべて受け入れてくれる包容力があり、作り手の映画愛が細部にまで散りばめられた作品です。
すべてはラストシーンへ!
そして、この物語のすべてはラストシーンへと向かっていきます。映画のラストは、ハダシたちがひと夏をかけて作りあげてきた『武士の青春』のラストシーンでもあり、クライマックスは殺陣でぶつかり合うアクションによって青春エネルギーが大爆発します。過去・現在・未来、そして映画を観ている観客が急速に繋がっていく、その奇跡的なラストシーンが『サマーフィルムにのって』を傑作映画として完成させています。
「私たちの青春は傑作だ」そのキャッチコピー通り、映画づくりにかけたハダシたちのひと夏は、「これぞ青春!」と叫びたくなるほど瑞々しく、まさに毎秒傑作。映画を愛してやまない人にこそ響くシーンやセリフの数々をぜひ堪能していただきたいです。
WEBパブリシスト Onくん
『サマーフィルムにのって』
監督:松本壮史
出演:伊藤万理華、金子大地、河合優実ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会