ファンタ系映画祭って何！？・・・世界にたくさんある映画祭、どれが何？分かりやすく解説します！ PART3

2022.03.23

いよいよ来週に迫った第94回アカデミー賞。日本映画『ドライブ・マイ・カー』が日本映画史上初めて作品賞に候補入りするなど、例年よりも注目度が高くなっている。

映画賞・映画祭の中でも特に歴史が古く、最も権威があるとされているアメリカのアカデミー賞。しかしアカデミー賞には「アカデミー賞の前哨戦」、「アカデミー賞を占う重要な賞」などという賞が存在したりする。もちろん煌びやかな衣装を身に纏ったスターが練り歩くレッドカーペットや華やかなパフォーマンスが披露される授賞式だけを見ても面白いのだが、実はアカデミー賞はそこに至るまでの前哨戦が面白かったりするのだ。

そして言わずもがな、世界はもちろん、日本にはたくさんの映画賞・映画祭がある。そこでMOVIE MARBIEでは4回に渡り世界の映画賞・映画祭を紹介していく。

第3回はファンタ系・インディペンデント映画祭。

ファンタ系映画祭とは？
ファンタ系映画祭とは「ファンタスティック映画祭」の略称だ。SFやホラー、ファンタジーなどヒューマンドラマや社会派の作品とはまた違った、作家性溢れる映画を多く取り扱う映画祭のことであり、映画祭や特集上映が頻繁に行われている。世界的に見るとフランスの「アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭」が代表格の１つで、日本では「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が有名だ。今は開催されなくなってしまったが「東京国際ファンタスティック映画祭」もかなりの盛り上がりを見せていた。

毎年1月ごろにヒューマントラストシネマ渋谷で開催される「未体験ゾーンの映画たち」や、毎年7月ごろに新宿シネマカリテで開催される「カリテ・ファンタスティック！シネマコレクション」は映画館が主導となって開催している特集上映。個性豊かな作品が数多く上映されるほか、日本で公開が決まっている作品の先行上映が行われるなど、毎年盛り上がりを見せている。

こういった正統派な映画祭とは少し趣向を変えた映画祭は、固定のファンもかなり多く、根強い人気を誇っている。上映作品のラインナップを見ると結構キワドイ内容の作品や、ゲテモノ系の映画も上映されることが多いが、普通であれば絶対に公開されないような映画も見ることができる貴重な機会なので、是非ともチェックしていただきたい。

インディペンデント系映画祭の代表格「サンダンス映画祭」
少し変わった作品やインディペンデント系映画の秀作が数多く上映されることで知られているのが「サンダンス映画祭」だ。毎年1月に開催されるこの映画祭は、日本のNHKもスポンサーで名を連ねている。ロバート・レッドフォードが自身の代表作『明日に向かって撃て！』で演じた役柄サンダンス・キットから名前が取られていることでも有名だ。

近年は特に「アカデミー賞の前哨戦」としての注目度が上がっており、この映画祭で高い評価を得た作品が、毎年アカデミー賞候補入りを果たすなど、アカデミー賞を占う上でも重要な映画祭となっている。『セッション』、『ミナリ』、そして今年は『コーダあいのうた』がサンダンス映画祭で高評価を獲得。同作はアメリカ映画俳優組合賞ではアンサンブル演技賞を、アメリカ映画製作者組合賞では作品賞を受賞しており、アカデミー賞受賞に大きく前進している。

一方で昔から少し変わった映画が話題になるのもこの映画祭の特徴の１つ。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『ソウ』などがその最たるもので、両作品ともこのサンダンス映画祭で高い評価を得たことで、大きな注目を集めた。特に『ソウ』は監督のジェームズ・ワンがその後『ワイルド・スピード』や『アクアマン』などハリウッドのビッグバジェット作品を監督、『ソウ』自体もシリーズが現在でも続いている。

ファンタ系映画祭やインディペンデント映画祭はよほどの映画ファンでなければなかなか情報をキャッチすることはなかなか難しいかもしれないが、だからこそ、ここでしか見れない、知ることができない作品に出会える。皆さんもぜひこういった映画祭にも注目してみてはいかがだろうか。

次回はいよいよ、アカデミー賞について紹介する。

第2回：日本の映画祭・映画賞ってどうなの！？・・・世界にたくさんある映画祭、どれが何？分かりやすく解説します！ PART2

大西D

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