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第92回:『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』|トラ!虎!寅!ベジタリアンの少年と、肉食動物トラの不思議な漂流の物語!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)

皆さんあけましておめでとうございます!

、、、と言っても、既に今年二回目のシネまんぷくなのですが。(笑)

「今年は寅年!」ということでトラ映画、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』です!

私が初めてこの映画を観たのは、飛行機の機内(だった気がする)でした。とにかく、凄い小さい画面で観てしまい後悔した記憶があるのです。映画館のスクリーンで観るべき美しすぎる映画でした。

まったくもって前情報のないまま暇つぶし程度に観始めたはずが、映像の美しさ、ちょっとファンタジックな物語の面白さ、それでいて哲学チックな雰囲気、そしてラストで明かされる「もう一つの可能性」に衝撃を受け、それ以来ずっと忘れられない映画です。

『ライフ・オブ・パイ』はヤン・マーテルによる小説を原作に作られた2012年の映画です。監督はアン・リーが務め、第85回アカデミー賞では監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果の四部門を受賞しました!

物語の主人公はパイ・パテルという名の一人の男性。インドのポンディシェリで生まれ育った彼は、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教をという三つの異なる宗教を信仰する青年へと育っていきます。

動物園を経営していたパイの両親は、社会の変化に伴い動物園を畳んで、カナダに移住することを決断します。一家は動物たちと共に貨物船に乗り込むのですが、大嵐に襲われ沈没してしまい、パイはただ一人の生き残りとして、広い海を漂流することになるのです。

しかし救難ボートの乗客はパイだけではなく、、、。

なんとシマウマ、チンパンジー、ハイエナ、そしてベンガルトラが乗っていたのです。

そんな信じられない状況でパイが漂流した227日の物語です。

今作は、無事に生還し大人になったパイが、作家ヤン・マーテルに体験談を聞かせるという形で進行していくのですが、最後の最後に作品の見方がガラッと変わる衝撃の展開が待っています。

あまりの衝撃に、どうしても、その「トリック」とも言える描き方の印象が強いのですが、それを抜きにしても素晴らしい映画です!

とにかく、映像が恐ろしく綺麗なのです。3D対応で作られた映画ということで、本当に劇場に行けばよかったと何度も後悔するレベル。

ファーストシーンの動物たちが平和に暮らす何でもない映像で、既に心を動かされてしまいます。ポンディシェリの街並みも美しく、どこを取っても絵になる作品ですが、特に、海の美しさはまるで絵画の様!波一つない水面はどこまでも続く鏡みたいで、この世ではないような幻想的な映像でした。

ただ、その景色の中にひとり取り残されてしまった絶望は、とてつもないだろうと思います。美しければ美しいほど孤独で絶望的になる演出が素晴らしかったです。

一番印象的なのは夜光虫でキラキラと発光する夜の海。海も空の星も輝いていて本当に綺麗でした。(以前、伊豆大島で夜光虫ツアーに参加したことがあるのですが、本当に綺麗だったので、このシーンに憧れた方は是非体験してみてください!)

そして曲も最高!アカデミー賞で作曲賞を取るのも納得です。

前半で語られるパイの信仰や、性格が後半の物語に活きてくるのは音楽のおかげなんじゃないかと思います。

さて、寅年ということでこの作品を選んだ訳ですが、『ライフ・オブ・パイ』に登場するトラは、リチャード・パーカーという人間の様な名前のベンガルトラです!

可愛い。可愛すぎます。いや、まったくもって懐かないし、危険そのものなんですが、途中どうしても猫の仕草をするので、頭に飼い猫がよぎってしまいます。(笑)

大部分がCGで作られているということですが、そのリアルな動きと、表情に注目!

ネコ科の動物好きの方なら、このリチャード・パーカーの存在だけで「観て良かった」と思うはず!!

最後まで凛々しく、油断ならないところも大好きです。

動物と漂流するだけでもとんでもない話ですが、途中不思議な島のエピソードが出てきてさらに現実味のない話になっていきます。私はある程度、ファンタジーだと認識して観ていたので、何の疑問もなくこの世界を受け入れ、純粋に冒険物語を楽しんでいたのですが、最後に、これまで観てきた物語が全くファンタジーではない可能性を提示され、本当に衝撃でした。その瞬間、一気に考察が頭の中を駆け巡るのを感じたし、映画の内容を素直に楽しんでいたからこそ、すべてのシーンが覆されていく、凄い体験をしました。

ラストについては意見の分かれる映画だと思っていて、おそらく「壮絶な体験を、動物たちに置き換えて話した」というのが「正解」なんだと思います。

しかし、それを分かったうえでも私はリチャード・パーカーとの物語のほうが好きだし、そっちを信じたい気持ちが強いので、どちらの物語が真実なのかは決めないことにしました。

「本当はどっちだったんだろう?」と考察しながら考えているのが一番楽しい気もします。

さて映画メシを作っていきたいのですが、その前にもう少しだけ書き足しておくと、映画の最初から最後までずっと「食べること」が重要なテーマとして描かれているという事です!

冒頭で、パイがベジタリアンであることが分かるのですが、これが物語全体に凄い影響を与えていました。遭難してからも、常に食べ物の心配をしなくちゃならないし、下手をすれば自分がトラの「食べ物」になってしまうという、さらにラストで明かされるもう一つの話でも「食べる」ということが一番のキーワードになってくるので、シネまんぷくでこの作品について書くことが出来て本当に良かったと思います。

それでは、今回はベジタリアン料理を作ってみたいと思います。パイが作家にふるまう昼食をもとに創作料理してみました。(ベジタリアンの方と言っても色々で、どこまでOKなのかは人によって違うとの事ですが、もしなにか使わないはずの食材を使っちゃってたらすみません。ベジタリアンではない自分で食べる物なのでご容赦くださいm(__)m)

ご飯と、トルティーヤと、カレーっぽい何かが見えたので、南インドの定番、ミールス風に行きます!

まずは粗目のみじん切りにした玉ねぎとニンジンをオリーブオイルで炒めます。

火が通ったら、ひよこ豆の水煮、ココナッツミルク、水を加えて煮込んで行きます。

ココナッツの甘い香りが漂ってきました!

そしてちょっとラクをします!「ベジタリアンのためのカレー」なるカレールウを見つけたので買っちゃいました。(笑)これと、カレー粉を加えてさらに煮込んで完成です。

お次はトルティーヤ用のサルサソースづくり!

玉ねぎをみじん切りにし冷水にさらし、トマトは1cm角に切ります。

唯一ちゃんと食材が映っていたパクチーと一緒に、

レモン汁と塩コショウで和えれば完成です!

次はヨーグルトのデザートです。

こちらは簡単。ヨーグルトと、缶詰フルーツ、缶詰のシロップ、はちみつをボウルでよく混ぜ合わせて完成です。

そして大本命、お肉を使わないハンバーグ!

炊いたお米をすり鉢ですりつぶし、

水切りした木綿豆腐と混ぜます。しっかり揉みながら混ぜ込んでいくとフワフワでまとまりのある不思議な柔らかさになりました!

そこに炒めた玉ねぎとニンジン、パン粉、片栗粉、調味料を加えてさらに混ぜ混ぜ。

空気を抜きながらハンバーグの形に成型します。

オリーブオイルで両面に焼き色を付けていくのですが、焼くときな粉の様な香ばしい香りがします。さすがお豆腐、美味しそう!

トルティーヤとご飯を並べて、すべて完成です!

映画に出てきたパイのおうちが素敵すぎて、自宅での撮影だとお洒落を再現できないのが悔しいです、、、。

ベジタリアンの食事というとなんだか物足りなさそうなイメージがありましたが、ハンバーグとカレーがあると、むしろがっつり系に見えますね。

さっそくいただきます。まずは豆腐ハンバーグから!

びっくりしました!食感がマジでお肉です!肉汁は出ないし味はやはりヘルシーな感じですが歯ざわり、舌触りが想像以上にお肉!今回はシンプルな味付けですが、煮込みハンバーグや味付け次第では、さらにお肉に近づけそうです。

お次はココナッツカレー。とってもマイルで優しい味のカレーになりました!朝ごはんに食べたいカレー。

トルティーヤはパクチーの利いたサルサソースが最高ですし、カレーを乗せても安定のおいしさでした。

最後にヨーグルト。カレーとサルサの刺激をみるみる和らげるオアシスの様な食べ物で、いつも食べているよりもずっとおいしく感じました!

お肉が入っていないにもかかわらず、かなりの食べ応えでした!

ごちそうさまでした!

 

おまけに寒天でキラキラ光る海の生き物を作りました!

凄く印象的だったので再現したかったのです。

プルプル震えて楽しい食感です(^^)

 

※お知らせ※

【共感シアター】金曜ロードショー『紅の豚』を同時視聴!

おうちDeシネマ
https://bals.space/theater/275/

瀬田ミナコ出演!
1月14日(金) 20:45からは、2週連続ジブリスペシャル!金曜ロードショーで放映される宮崎駿監督作品『紅の豚』の同時視聴鑑賞会を実施! 「飛ばねぇ豚はただの豚だ」という名言をひっさげ、公開から30年を迎える宮崎駿監督の趣味が炸裂した傑作『紅の豚』が金曜ロードショーにてオンエアされます! 大人になればなるほど味わい深くなる本作を、映画評論家の松崎健夫さんはじめ、みんなで同時視聴しながら宮崎アニメトークで盛り上がりましょう!!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
スラージ・シャルマ、イルファーン・カーン、タッブー、アディル・フセイン、レイフ・スポール、ジェラール・ドパルデュー

【スタッフ】
監督:アン・リー
脚本:デヴィッド・マギー
原作:ヤン・マーテル『パイの物語』
製作:ギル・ネッター、アン・リー、デヴィッド・ウォマーク

製作総指揮:ディーン・ジョーガリス
音楽:マイケル・ダナ
撮影:クラウディオ・ミランダ
編集:ティム・スクワイアズ
配給:20世紀フォックス

(C) 2012 Twentieth Century Fox

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』
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