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第81回:『イングロリアス・バスターズ』|こんな風に描けるのはきっとタランティーノだけ!痛快な復讐劇と笑顔の怖さ、そしてシュトゥルーデルの美味しさに震え上がる!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『イングロリアス・バスターズ』(2009年)

「瀬田ミナコのシネまんぷく」も早いもので第81回を迎えました。いつもありがとうございます!

この連載を始めてからというもの、沢山の方から「美味しそうな映画」や「食べてみたい映画メシ」「おすすめの映画」を教えていただくようになり、料理に注目して映画を鑑賞ということも生活の一部になってきました。笑

今回はそんなおすすめの中から「イングロリアス・バスターズ」を選んでみました!

とあるシーンにリンゴを使ったスイーツが登場するのですが、確かにこれは食べてみたくなる!今回は「シュトゥルーデル」を再現してみます!

まずは、「タランティーノ監督のセンスの塊!」な本編の感想です!

イングロリアス・バスターズはクエンティン・タランティーノが監督・脚本を務めた2009年の作品で、第二次世界大戦中のフランスを舞台にしています。2時間半と決して短くはない映画ですが、5つの章に分けられているため、とても観やすく飽きのこないストーリー展開の連続でした!

作品は、ナチス親衛隊であるランダ大佐が「ユダヤハンター」として、酪農家の家に匿われているユダヤ人一家を見つけ出す場面から始まります。そして、床下に隠れていた一家を皆殺しにしようとするのですが、ショシャナという娘を一人取り逃してしまうのです。逃げ延びたのはショシャナ。5年後、彼女はエマニュエルと名乗り、叔父叔母から引き継いだ映画館の館主をしながら別人として暮らしていました。自分の経営する映画館でプレミアム上映会が開催されることが決まり、ナチスの重役たちが集結することを知った彼女は、「復讐」を計画するのでした。

しかし、この上映会でナチスの大量殺害を目論んでいたのはショシャナだけではありませんでした。ドイツ軍に「バスターズ」として恐れられる特殊部隊も、この上映会で集まったナチスを皆殺しにするつもりだったのです。「バスターズ」は米軍のレイン中尉がユダヤ系アメリカ人を集め編成した、ナチスを「狩る」ための部隊です。

ショシャナとバスターズの痛快な復讐劇を描いた作品です!

映画の冒頭はショシャナの家族が皆殺しにされる残酷なシーンで、しかもクリストフ・ヴァルツ演じるランダ大佐が、笑顔で人を追い詰めていく姿が本当に恐ろしくて、かなり印象的なはじまりでした。しかし、「やっぱりホロコーストを題材にしている映画は、観ていて心が苦しくなるなぁ。」と思った矢先、第二章に入るや否や、バスターズたちが盛大にやり返していて非常に痛快!ドイツ兵をバットで殴り殺し、頭の皮を剥ぐという、なんなら「ユダヤハンター」よりも残酷な方法だったのにはちょっと笑ってしまいました。。。

ブラッド・ピッド演じるレイン中尉が敵の額にナチスのシンボルマークであるハーケンクロイツをナイフで描くところなんか、痛そうだし恐いし、なのに抜群に洒落ていて、とても良かったです!この後も沢山人が死ぬし、グロいし、「楽しいと思っては不謹慎なのではないか?」という気持ちもあるにはあるのですが、それを超えてくる楽しさがこの映画にはありました。題材としては、人が人を恨み、殺し合うお話なのに、こんなにもお洒落で、かっこよく、そして面白く描けるのは、タランティーノ監督だけだと思いました。

私のお気に入りシーンはショシャナの復讐の演出です。ナチスのプロパガンダ映画の上映中に突然映像が切り替わり、大画面にショシャナからの復讐のメッセージが映し出されるなんて、最高すぎました!映画好きとしては、自分が誰かに復讐する時には是非ともやってみたい演出です!(そんな復讐を企てるほどの経験はしたくないし、小心者なので復讐は一行出来なさそうですが。笑)

私は今回日本語字幕で鑑賞しましたが、タランティーノ監督らしい会話劇の面白さも光る作品だったので、もし英語がペラペラだったらもっと監督の作品を楽しめたのかなぁと思うとほんのちょっと悔しいです。

章ごとに区切られているので、誰が主演なのか分かりづらい作品ですが、一応主人公はブラッド・ピッドのようで、個人的にはランダ大佐の存在感がありすぎて、「これはランダ大佐の映画だな。」と思いました。

演じたクリストフ・ヴァルツは、アカデミー賞の助演男優賞をはじめ、数々の賞をこのランダ大佐役で受賞していますが、それも納得の素晴らしい演技でした。明るくて親切で、声を荒げたりもしないのに、こんなに怖い人は他に観たことがありません。何気ない言葉の端々から圧力を感じ、彼が一言話す度に恐怖が増していき、いつの間にか身動きがとれなくなってしまうような不思議な感覚でした。

最初にお話しした「シュトゥルーデル」のシーンは、彼の名シーンだと思っています。5年前に家族を殺した人物だと気づいたショシャナと、ショシャナの正体に気づかずシュトゥルーデルをお勧めしてくれるランダ大佐のシーンは、いつショシャナだと気づいてしまうのか、ドキドキする緊張感MAXのシーンで、彼があれだけ褒めていたシュトゥルーデルにたばこを突き刺したときは、怖過ぎて逆に気持ちがいいという変な感覚になりました(笑)。クリストフ・ヴァルツは本当に良い役者さんだと尊敬します!

というわけで、今回はそんなランダ大佐のお気に入り、シュトゥルーデルを作ります!

まずは生地作り。強力粉と薄力粉、水を混ぜ合わせます。

ひとまとめにしたらラップをして常温でしばらく寝かせます。

その間に中の具材を用意します。
パン粉をこんがりするまで炒め、香ばしい香りを出します。

リンゴの皮をむき、薄くいちょう切りにしておきます。

溶かしたバター、砂糖、レーズンを軽く混ぜ合わせ、レモン汁とシナモンを振りかけたら、先ほどのパン粉とリンゴを加え、砂糖が全体に行き渡るようによく混ぜます。

次に寝かせた生地をのばしていきます。

布巾に打ち粉をして、その上に生地を置き、薄ーく伸ばしていくのですが、この作業がとても難しかったです!

ここで生地を薄く出来ないと、パリパリの食感が出ずに堅くなってしまう、ということで、ペラッペラにしたいのですが、均等に伸ばしていかないとすぐ破れます。すごく繊細!

大きな長方形に形を整え、先ほどのリンゴを乗せて、溶かしバターをたっぷり塗りながら巻いていきます。

一巻きする度にバターを塗り足していき、鉄板に乗せたら表面にもバターを塗りたくります。

オーブンで焼くときも途中何度か「追いバター」をして焼き上げます!

バターを塗る度においしさが増していくような気がします、、、!

焼き上がったら少し冷まして粉砂糖を振りかけ、完成です!

切り分けてお皿に乗せて、、、

クリームを忘れていました!ランダ大佐のこだわりポイントです。

たっぷりのホイップクリームを乗せたら、今度こそ完成です!

頑張って薄くのばした生地も、いい感じに層になっていて良かったです。

ランダ大佐を真似てコーヒーと一緒にいただきます。

生地がパリパリで美味しい!追いバターした甲斐があって食感も香りもバッチリです。さらに炒めたパン粉のおかげだと思うのですが、香ばしさもあって大人なお味です。

生地には砂糖やバターが入っていないので、一般的なアップルパイよりもリンゴの甘みと酸味がダイレクトに伝わって来ます。これは、クリームがよく合う!
大佐がクリームなしで食べることを許さなかった気持ちが分かります。

ショシャナはきっと緊張と恐怖で、味なんか分からなかったでしょう。。
無理もないですが、もったいない!

代わりに私がしっかり味わっていただきました!
ごちそうさまでした!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
ブラッド・ピット, メラニー・ロラン, イーライ・ロス,ダイアン・クルーガー, マイク・マイヤーズ, クリストフ・ヴァルツ

【スタッフ】
監督・脚本 ‏ : ‎ クエンティン・タランティーノ

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

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