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第65回:『おおかみこどもの雨と雪』|コップに入ったタレが美味しそう!やきとりは彼との思い出!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

 

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『おおかみこどもの雨と雪』(2012

今回は「おおかみこどもの雨と雪」です。細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」が公開されるのを楽しみにしているので、これまで公開された中でも特に好きなこの作品を選びました!

「おおかみこどもの雨と雪」は2012年に公開された監督のオリジナル作品。子育てを描いたストーリーに「おおかみ人間」というファンタジーな要素が加わっていて、生活のリアルな悩みに共感しながらも、終始ワクワクした気持ちで観ることのできるお気に入りの映画です!

東京のはずれにある国立大学に通う女子大学生の『花』は、授業に潜り込んでいたある青年に恋をします。彼と親密になり、付き合うことになるのですが、彼には「おおかみおとこ」だという秘密がありました。

彼の秘密を受け入れ、在学中に子供を授かった花は、貧しいながらも彼と子供と一緒に幸せに暮らしていました。しかし第二子が生まれて間もなく、おおかみおとこが亡くなります。突然シングルマザーとなってしまった花が、悩んだり大変な思いもしながらも人として成長し「母」になっていく姿と、彼の血を受け継ぎ「おおかみこども」として生まれた雪と雨の生き方を描いた作品です。

二人の子供の成長がとっても愛おしかったです。子供×オオカミなんて、もう反則級の可愛さでした。ただでさえ可愛いらしい姉弟にしっぽや耳が現れたりして、ビジュアルとしても良いし、しぐさや行動も面白かったです。私は犬を飼っていたので、走り回って家をめちゃめちゃにしたり、机の脚をかじったり、動物と一緒に暮らすときの「あるある」な悪戯も共感しながら、とても楽しく観ることが出来ました。もし子育てを経験した後に観たら、もっと沢山楽しいシーンを発見できるんじゃないかと思います。

コロコロと変身する様子はコミカルで笑顔になれるし、オオカミの姿もとても生き生きと描かれているので、オオカミ人間になれたら楽しそうだなぁなんて思いました。

特に、山の中を駆け回るシーンは圧巻でした。走るオオカミの目線で画面が動くので疾走感があり、観ていて気持ち良かったです!「こんな風にの山を駆け回れたらなんて素敵だろう」と憧れるワンシーンです。

このシーンを含め、山奥に花たちが引っ越してからは、田舎暮らしをしたくなるシーンが満載でした。豊かな自然と広い土地、地域の人との助け合いがとても温かく描かれていて、心が洗われるような感覚になりました。田舎での生活で感じる美しい瞬間や、心が動く瞬間が丁寧に描かれているところもこの映画の大好きな所です。

私が初めてこの映画を観たのは中学生の頃で、その時は母である花についてとにかく「いいお母さん」というイメージでしたし、主人公も雨と雪だと思っていました。しかし花の年齢になって改めて観ると彼女の人生は苦労が多すぎて、本当に大変だっただろうなと同情してしまいます。私だったら毎日泣いてると思うし、もしかしたら花も子供たちのいない所で毎日泣いていたのかもしれません。

作中では花のネガティブな感情はあまり描かれていませんし、監督が描きたかったのはそこではないのかもしれませんが、国立大学に奨学金を使って入り、熱心に勉強していた彼女は、二十歳前後から三十代前半を子育てに費やすこととなり、思いもよらぬ人生を進むことになりました。同世代の人間としてはどんな感情の変化をたどっていったのかつい考えてしまいます。

でもこのお話が花の不幸な物語だとは全然思わないし、むしろ雨や、雪や、「おおかみおとこ」との愛おしくて大切な時間を描いた、とても幸せな映画だと思っています。また、花が結婚や子育てを通して成長する姿や、雨と雪が自分で生き方を選んでいく様を見ると「生きていて変化がある事って素敵だなぁ」と心から思います。改めてと手も素敵な作品だと思いました!

物語は、雨と雪が人間として生きるか、オオカミとして生きるかを決断し、それぞれの人生を歩み始める所で終わります。子供たちのしっかり成長した姿をみて嬉しい気持ちと、想像していたよりもずっと早い親離れに、少し寂しい気持ちとが混ざり合った感情になるラストシーンです。映画はここで終わるけれど、花のこれから、雪のこれから、雨のこれから、どれもずっと見守りたいようなそんな気持ちになりました!

さて、細田守監督の作品は男性、もしくは男の子がとっても魅力的だといつも思います。今作も例外ではなく、とってもかっこいい男の子が出てきます。それは雪の小学校の同級生の草平君です。草平の「獣の臭いがする」という何気ない一言からある事件が起こり、不登校になった雪の元へ、毎日プリントや給食を届けてくれる優しい男。さらに雪が「おおかみこども」である秘密を告白するシーンでは、予想の斜め上を行く感動の言葉を返してきます。本当にかっこいい性格で、毎回惚れ直します!(笑)

この告白のシーンでのカーテンを使った演出が本当に素晴らしく、草平のセリフにも演出にも脱帽の名シーンです。

そして!今回の映画メシは、花の作るやきとりです!

「おおかみおとこ」と一緒に食べる姿はとっても楽しそうでしたし、田舎に移り住んでからも簡易仏壇に供えていました。彼の好物だったのかもしれませんね。

食べる直前にコップに入れたタレに浸して食べるという、この変わった食べ方ですが、信州上田の食べ方のようです。

なので今回たれは信州上田風「美味だれ(おいだれ)」で作ります!

まずは下ごしらえです。今日はムネ肉!モモ肉と迷いましたが高かった!きっと花たちもそんなにお金に余裕なかったはず、、ということで、私の解釈では映画でもムネ肉です!(笑)

パサつかないよう塩水に二時間ほどつけて置きます。

その間に美味だれ作り。

たっぷりのにんにく、玉ねぎ、リンゴを適当に切ったら醤油、みりんと共にミキサーにかけます。

(本当は摩り下ろすのですが、時短します。)

はちみつを加えてフライパンで煮立たせます。少しとろみがつくまで煮詰めたら完成です。

塩水からお肉を取り出し、一口大に切っていきます。

同じく一口大にピーマンとパプリカも切ったらいよいよ串打ちしていきます!

映画を観ている時はあまり気になりませんでしたが、間にパプリカが入ると焼き鳥というよりバーベキュー。

竹串にアルミホイルを巻き付け魚焼きグリルで焼いていきます。

焦げないようこまめにひっくり返し、焼けたら完成です!

焼きたてを美味だれに浸けていただきます!

衝撃でした。「私の知ってるやきとりと違う!!」

タレが違うので当たり前といえばそうなんですが、かなり印象が違います。にんにくの利いた美味だれはかなりパンチが強いです!焼き鳥というよりステーキソースに近い味です。

本場の美味だれが食べてみたくなりました!

作った後に思いましたが、おおかみ人間ってにんにくとか玉ねぎ食べられるのでしょうか?イヌ科の動物はダメなような、、。玉ねぎ抜きで作ればよかったのかなー、なんて思い、手探りでおおかみこどもを育て上げた花の苦労をちょっとだけ感じました!

ごちそうさまでした!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
阿佐美弘恭,高田佳夫,齋藤佑佳,植木英則,井上伸一郎

【スタッフ】
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子、細田守
音楽:高木正勝
主題歌:アン・サリー「おかあさんの唄」
制作会社:スタジオ地図
配給:東宝

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/

 

※瀬田ミナコが出演中の共感シアターのアーカイブ動画はこちら!