舞台から映画の世界に来た凄いヤツ!サム・メンデス監督作品特集①『アメリカン・ビューティ』
今週末公開の映画『1917 命をかけた伝令』は全編1カットで見せる戦争映画で、監督を務めたのはサム・メンデスだ。監督作品は決して多くはないが、その1本1本が大きく話題になるサム・メンデス。近年は『007/スカイフォール』で『007』シリーズに新たな風を吹き込んだ。そこで今週はそんなサム・メンデス監督作品を特集する。
『アメリカン・ビューティ』(1999)
映画デビュー作は中流階級家庭の崩壊を描く
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アメリカの典型的な中流階級の過程が描かれた本作。一見幸せに思える家庭が抱える闇を描いたこの映画はサム・メンデスにとってデビュー作であり、そんなデビュー作でいきなりアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞してしまうのだから、サム・メンデスはやはり凄いとしか言いようがない。
広告代理店に努める主人公レスターは会社から解雇されてしまい、不動産業を営む妻は自分の成功のことで頭がいっぱい、娘は典型的なティーンエイジャーで父親のことを煙たがっている。そんなある日出会った娘の同級生にレスターは恋をしてしまう。相当にドロドロしたカオスな展開だが、彼らの家庭の外からはそんな様子をうかがい知ることは出来ない。どんな家庭にも家族の仲をぶち壊してしまうかもしれない要素があり、でも外野からはそうは見えない。良い家に住んでいて、良い仕事をしている。中流階級という肩書きだけが一人歩きし、誰もその中を見ようとしない。
現代アメリカが抱える大きな闇を描いた本作のタイトルが『アメリカン・ビューティ』というのはなかなかに皮肉が効いている。そしてこの映画は決して他人事ではない。どの家庭に起きても全く不思議ではない。ちなみに「アメリカン・ビューティ」とはバラの一種で、真紅の薔薇であり、本作では「豊かな過程の象徴」として、そして「官能の象徴」としても使用されている。まさに本作にふさわしいタイトルと言えるだろう。
【ストーリー】
郊外の新興住宅地に暮らす夫婦と娘の三人家族。夫婦仲は冷め、娘は親と意思の疎通がない。おかしな青年とゲイ嫌いの父親がいる隣家も同様の家庭だ。だが夫がリストラに合い、娘の友人に性的妄想を抱き、妻は浮気、娘は隣家の青年と駆け落ちを決意し……。
【キャスト】
ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング ほか
【スタッフ】
監督:サム・メンデス
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