明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#10『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』ジャック・ブラックが引き出す、アドベンチャーの中のコメディ要素
映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。全20回に渡って「生きる原動力になるコメディ映画」をテーマに1本ずつ映画を紹介させていただきます!(※ネタバレを含みます)私がコメディ映画を観たいと思うのは、心が沈んでいるときや現実逃避をしたいとき。だからこそ、爆笑までしなくとも、観ている間だけでも楽しい気分にさせてくれる作品をテーマにピックアップしていこうと思います。
今回選んだのはゲームの世界を再現?!
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
きっと誰もが、子供時代でも大人になってからでも「ゲームの世界に入ってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。(私は「ドラゴンクエスト」の世界に入って、魔法使いとして勇者と共に旅をしたいとずっと思っていました。)『ジュマンジ』シリーズはそんな想像の世界を“映画”という形で実現させた、アクション/ファンタジー/コメディ、何でもありの作品です。
1995年に公開された1作目の『ジュマンジ』は「人生ゲーム」のようなボードゲームの中に入り込んでしまう子供たちを描いています。そのゲームの中に入ってしまえば、脱出する方法はただ一つ、ゲームをクリアすること。しかし、クリアするまでに課せられる問題は生身の人間では難しいものばかりで、命を落としかねない状況に視聴者としてもドキドキしてしまいます。
そしてその続編『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は2017年に公開されました。約20年経つと、ベースとなるゲームも進化。RPGのようなビデオゲームの世界に吸い込まれることになり、ボードゲームだった時代よりもっとリアルに世界観が表現されています。
さらにビデオゲームというだけあって、自身がそのゲームの中のキャラクターに扮することになります。一番ベーシックなキャラクターはスモルダー・ブレイブストーン博士。ドウェイン・ジョンソンが演じていることもあり、見た目もかなり強そうで、安心感のある存在です。そしてジャック・ブラック演じるシェルドン・“シェリー”・オベロン教授、ケヴィン・ハート演じる動物学者のフランクリン・“マウス”・フィンバー、カレン・ギラン演じる悩殺ギャルのルビー・ラウンドハウスなどを選ぶことができます。この物語でゲームの中に入ってしまう高校生4人は、それぞれがキャラクターになりきってクリア(=ゲームからの脱出)を目指してきます。
ジャック・ブラックが引き出す、アドベンチャーの中のコメディ要素
本作の登場人物は、高校の中でも真面目な生徒からカースト上位にいるような生徒まで様々。普段の学校生活で交わることのない彼らは、それぞれ授業でミスを犯し、『ブレックファスト・クラブ』のように集められて居残りをすることに。ごみの仕分けを命じられますが、その中でとあるビデオゲームを発見します。それがまさに、恐ろしくもあり、ワクワクもするようなアドベンチャーの始まりになるのです。
この物語でコメディ要素を強く引き出してくれるのは、ジャック・ブラックの存在です。彼は、自撮りをSNSに載せ、テスト中でも構わずテレビ電話をするような常識外れの今どき女子・べサニーが選択した“豊満ボディの天才”シェリーとして登場します。そう、“豊満ボディ”という言葉は間違いではないものの、ふくよかなおじさんの中身が女子高生という状態になってしまうのでした……。
開始早々「スマホがない!」と騒いでいる間に巨大なカバに食べられたり、用の足し方が分からないと言ってみたり。男の視線の集め方を熟知している様子や話し方、目の見開き方まで、どう見ても女子高生なジャック・ブラックの演技力に惹きこまれること間違いなし。いかついドウェイン・ジョンソンも、オタクの高校生らしい言動を見せ、ケヴィン・ハートはあまり役に立たない荷物係を全うするなど、普段の俳優姿からも想像できないようなキャラクターを演じていて癖になります……。
ちなみに、2019年に公開された『ジュマンジ/ネクスト・レベル』でも訳あってまたジュマンジの世界に入り込むことになりますが、ゲームの故障によりキャラ選択ができなくなってしまいます。そのため、キャラクターに入り込む中身の人間が前回と変わってしまうのです。俳優たちは同じなだけに、本当に中身は別人なのだと思わせられる演技にも注目です。
ビデオゲームの暗黙にしっかり従うストーリー構成
この作品の魅力の一つには、ゲーム経験者の「わかる!」という気持ちを引き出すところにあると言えるでしょう。ノン・プレイヤー・キャラクターは何度話しかけても同じことしか言わなかったり、ゲームの冒頭にはストーリー背景の説明が入れられていたりします。さらには、キャラクターたちはなぜか冒険に適さない服装をしていたり、急に手の中にアイテムが現れたり……。ゲーム全体と現実との違和感、そして登場人物と実際のプレイヤーの温度差まで細かく表現されています。
ゲームをリアルの世界に落とし込むにはそういった「あるある」に加え、迫力も必須。地響きのような音楽や、人間では到底実現できないアクションが満載です。そして、自分勝手だった高校生たちが冒険を通して変わっていく、一つの成長物語としても感動をもたらしてくれます。笑えるコメディだけでなく、アクションや人間ドラマも詰まった作品。まさに現実から離れた映画を観たい時にはぴったり!ぜひご覧ください!
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2018)
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【ストーリー】
学校の地下室で居残りをさせられていた、気弱なゲームオタクのスペンサー、頭が悪いアメフト部員のフリッジ、自撮り大好きうぬぼれ美人のベサニー、シャイなガリ勉のマーサの4人。彼らは「ジュマンジ」という名前のソフトが入った古いゲーム機を偶然発見する。プレイするキャラクターを選択した途端、4人は現実世界の自分とは性格も体格も性別までも違うキャラクターとなってゲームの中の世界に入り込んでしまう。周りはジャングル、猛獣と敵だらけ。各自のライフはたったの3つ、クリアできなければ、永遠にゲームの中に閉じ込められる。果たして彼らは、生きて現実世界に帰ることができるのか!?
【キャスト】
ドウェイン・ジョンソン、ケビン・ハート、ジャック・ブラック、カレン・ギラン、ニック・ジョナス、ボビー・カナヴェイル、リス・ダービー
【スタッフ】
監督: ジェイク・カスダン
原案/脚本: クリス・マッケナ
脚本: エリック・ソマーズ
撮影: ギュラ・パドス
プロダクション・デザイン: オーウェン・パターソン
編集: マーク・ヘルフリッチ
視覚効果スーパーバイザー: ジェローム・チェン
音楽: ヘンリー・ジャックマン
伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。
大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。
シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事:https://linktr.ee/mayano
ブログ:https://ladybird99.com/
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