明るい気持ちになれる!“生きる原動力”になるコメディ映画20選/#1『トゥルーマン・ショー』約30年前のリアルすぎるリアリティーショー?!
映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。今回から全20回に渡って「生きる原動力になるコメディ映画」をテーマに1本ずつ映画を紹介させていただきます!
私がコメディ映画を観たいと思うのは、心が沈んでいるときや現実逃避をしたいとき。だからこそ、爆笑までしなくとも、観ている間だけでも楽しい気分にさせてくれる作品をテーマにこれからピックアップしていこうと思っています。
今回選んだのはジム・キャリー主演作
『トゥルーマン・ショー』
今回1本目に選んだのはジム・キャリー主演の映画『トゥルーマン・ショー』(1998年)です。『マスク』(1994年)や『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008年)などで知られているジム・キャリーはまさにコミックから出てきたかのような、変幻自在な表情と表現力で視聴者を魅了してきました。本作は、私がジム・キャリーの作品をあさっていた時に見つけた映画で、自分が小さいころから考え続けていた“妄想”を言語化してくれていたので驚いた記憶があります。
保険会社のサラリーマンとして平和に働くトゥルーマン(ジム・キャリー)は、美しい妻もいて家もあって、不自由ない幸せな生活を送っていました。しかし、実は彼の人生そのものが全世界に生放送されており、トゥルーマン自身は自分が架空の街に生きていること、そして自分の生き様が筒抜けであることは知らずに過ごしているというストーリー。
ある日、空から照明が落ちてきたり、ラジオの周波数を間違えたことでスタッフの会話が聞こえてきたりと、身の回りに奇妙なことが起きていることに気が付き、トゥルーマンはその世界から旅立とうともがいていきます。
自意識過剰になってしまう?!
思いつきそうで思いつかない新しいストーリー
この作品を観ていると、「自分以外の周りの人間って実はエキストラなのでは?」「あれ、なんかみんな私のこと見てるな…?」のようなという自意識過剰な感覚に襲われるはず。視聴者も作り手も怖いほどに彼の生活に見入っている様子は、今のリアリティーショーの人気にもつながるような感覚かもしれません。(この映画の方がもっと過激ですが…)
この映画でおかしいのはジム・キャリーだけではなく、周りのエキストラたちの動き。トゥルーマンが、自分の周りの怪しさに気が付き始めたころ、エキストラたちはトゥルーマンの予想外な動きに動揺して、本当に手術をしようとしたり、行く手を妨害しようと山火事を起こしたりしてしまうのです。
さらに、途中でカメラ目線になって商品を紹介したり、妙に背景のポスターを見せてきたりと、今で言う韓国ドラマのような番組内に間接広告を入れてくる、ポップでクスッと笑えるシーンも印象的です。
ところどころに、そのようなシチュエーションコメディ(ストーリーのおかしさや皮肉さで笑わせること)らしい要素ある映画ですが、人生たまにはルーティン通りでない動きをしてみると世界が広がることも教えてくれているように思います。ある意味、自分の人生は自分中心に回っているので、好きなことをしたらいい!ということです。
映画の中の役でも視聴者を楽しませ、映画作品としてもリアルな視聴者を感動させるジム・キャリー。見終わった後は、最強のコメディアンであると実感すること間違いなし!
最後に余談ですが、喜劇王チャップリンの名言に“Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.”という言葉があります。これは「その瞬間は悲劇でも、人生を俯瞰して見ると喜劇である」という、人生について教えてくれる言葉ですが、コメディ映画自体の仕組みとしても当てはまります。コメディでは、主人公がトラブルに巻き込まれ恥をかくような、悲劇的な出来事を笑いに変える話が多いのです。
ようするに人生=喜劇! コメディ映画を観て、もっと楽な感覚で人生を歩んでいく人が増えたらなと思います。
参考:「喜劇映画論」佐藤忠男(中日映画社)
伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。
大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。
シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事:https://linktr.ee/mayano
ブログ:https://ladybird99.com/
関連記事:【ENDROLL】「ライターとして生きる。」ライター 伊藤万弥乃 さん(前編)
『トゥルーマン・ショー』(1998)
Netflixで視聴する⇒こちら
【ストーリー】
トゥルーマンは保険会社の平凡なセールスマン。しかし彼は自分の生活が少し変だと思い始めた。もし自分の人生が、実は“演出された作りもの”だったら…?
【キャスト】
ジム・キャリー、ローラ・リニー、ノア・エメリッヒ、ナターシャ・マケルホーン、ホランド・テイラー、エド・ハリスエド・ハリス 他
【スタッフ】
監督:サム・ハーグレイヴ
脚本:アンドリュー・ニコル
製作:スコット・ルーディン、アンドリュー・ニコル、エドワード・S・フェルドマン、アダム・シュローダー
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