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第94回:『南極料理人』|栄養補給を超えた何かがそこにある!手作り麺の醤油ラーメンとびっくり伊勢海老フライ!?【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『南極料理人』(2009)

毎日毎日、本当に寒いですね。

寒くて外に出る気も、やる気も全然起きませんが、今日の映画は、もっともっと寒い所で頑張る人々のお話です。

という訳で今回は『南極料理人』です!

「料理人」とタイトルにある通り、物語の主人公は、南極地域観測隊の調理担当隊員です。美味しそうな料理が山ほど登場するので、お腹が減ること間違いなしの飯テロ映画!今回は特に印象的だったメニューを二つ、再現して作ってみました!

是非、最後までお読みください!

まずは作品紹介とあらすじから。

『南極料理人』は2009年に公開された映画で、西村淳さんの著書「面白南極料理人」「面白南極料理人 笑う食卓」を原作に作られました。監督は、沖田修一監督で、原作者の西村淳さんの役を演じたのは堺雅人さんです。

物語の舞台は1997年の南極大陸「ドームふじ基地」。平均気温が約マイナス54度の極寒の地に派遣された8人の隊員たちのお話です。

人は愚か、野生の動物すら住むことのできない過酷な環境で越冬する彼らは、途中揉めたりしながらも、毎日働き、たまに遊んだりして一緒に暮らします。

主人公は調理担当の西村さん。彼が限られた食材でありとあらゆる料理を作り、隊員たちが食べる。

大きな起承転結もない、ただそれだけのストーリーの中に、いろんなものが詰まっていて、観た後にはなんだか心が満たされるような、ほのぼのとした映画でした!

まず最初に驚いたというか、楽しそうだと思ったのが、案外過ごしやすそうな南極での生活です。外は極寒ですが、室内ではみんな薄着だし、漫画やテレビも置いてあって、なんだかいい感じです。仕事が終わると皆、麻雀をやったりお酒を飲んだり思い思いに過ごしていて、のんびり時間が流れています。

西村さんの作ってくれる料理も、冷凍や缶詰の食材で作ったとは思えないほど、どれも健康的で美味しそうで、ちょっと羨ましいくらいに思いました。

しかし、映画を観ているうちに、「やっぱり過酷だ」と考えを改めました。まず、逃げ出したくても物理的にどうにもならない状況、気まずかろうが何だろうが、毎日同じメンバーと顔を合わせなくてはいけない人間関係。そして、日本への電話が1分740円という驚異のお値段。

作風が明るく、クスッと笑えるところも多いので楽しそうに見えますが、南極で暮らす辛さは、寒さではなく、孤独な場所に隔離された事なんだと分かりました。

そんな毎日の中で西村さんの作るバラエティ豊かなご飯はどれもキラキラ輝いていて、隊員たちの大事な心の支えになっていたのだと思います。「今日のご飯は何かなぁっ」て考えるの楽しいですよね!好きな食べ物だったらなおさらです。

皆がおにぎりの為に、走って帰ってきたり、重労働の水分確保業務中に「エッビフライッ!エッビフライッ!」と口ずさんだりいていたのが、すごく自然なことに思えます。

隊員のみんなは、とても美味しそうにご飯を食べるのですが、誰も「美味しい!」とか「旨い」とか言わないのです。この映画の中でその言葉が聞けるのはたった一回のみ。これだけ美味しそうな料理が沢山出てきたのに、初めて「うまい」聞けたのは意外すぎる食べ物で、そこにもちゃんと意味があって、演出が本当に素晴らしかったです。

言葉がなくても、みんなの表情から十分すぎるほど美味しさが伝わってくるので良いのですが、でもやっぱり、西村さんに「美味しい」って言葉にして伝えてあげて欲しかったなぁとも、少しだけ思います。(笑)

あと、堺雅人さんのフワッとした優しい雰囲気がすごく良かったです。

堺さんに美味しいご飯作ってもらえたら幸せが倍増しそうです。せっかくの料理に、醤油をドバドバかけられても文句を言わない心の広さ、お皿を並べる時にそっと向きを治すような丁寧さ、素敵でした。

どの料理も印象的でしたが、特に共感したのが深夜のラーメンについてです!

何故、寒いとこで食べるラーメンと深夜に食べるラーメンは美味しいのでしょうか。

隊員たちは夜な夜なインスタントラーメンをすすります。しかも標高が高いが故に水の沸点が低く、若干芯の残ったラーメンを。

いくら西村さんの料理が美味しくても、それはそれで、深夜にどうしてもラーメンを食べたくなる気持ち、よく分かります。

インスタント麺が底をつき、夜の楽しみがなくなってしまった隊員たちに、西村さんは麺から手作りしてラーメンを振舞うのです。

久しぶりのラーメンには、西村さんの優しさが詰まっていて、きっとどんなお店のものより美味しかったと思います!

という訳で今回は、その麺から手作りのラーメンを再現したいと思います!

そしてもう一品、あまりにもインパクトの強かった伊勢海老フライの再現にチャレンジしたのですが、、、。

伊勢海老が手に入りませんでした。高すぎるよ伊勢海老。(泣)

オマール海老で代用です!(オマール海老でも結構なお値段でした)

まずはラーメンから!

作中では「かんすい」の代わりにベーキングパウダーを使っていましたが、私は検索したレシピ通りに重曹で代用したいと思います。

強力粉に塩を加え、重曹を溶かした水を少し加えて混ぜます。

練らないように気を付けながらちょっとずつ重曹水を足していき、パラパラの感触を目指します。

擦り合わせてコシを出していきます。

ちょっと黄色っぽくなってきてラーメンの麺の色に近づいてきました。

ジップロックに入れたら、上からぐいぐい押したり踵で踏んだりしてひとまとめにします。

パラパラだった生地がくっついたらOK。冷蔵庫で一晩寝かします。

コーンスターチをまぶして麺棒で伸ばしていくのですが、

か、固い!!

もっと薄く伸ばしたかったのですが、これ以上伸びそうになかったので、ちょっと分厚いですがヨシとしました。

包丁で細く均等に切り、

打ち粉をまぶしてぎゅっと握ってちぢれを作ります。

たっぷりのお湯で茹でてる間にスープづくり。

鶏がらスープの素と、醤油、麺つゆ、オイスターソース、ニンニクと塩コショウでシンプル醤油ラーメンスープです。

茹で上がった麺とチャーシュー、メンマ、卵とほうれん草を乗せれば完成です!

もう一品はオマール海老フライですが、、、。

デカい!重い!

伊勢海老と違って大きなハサミを持っているので、その重量感が凄いです。

あまりのサイズ感に、どこから料理したらよいのか分からず立ち尽くしました。(笑)

とりあえず頭と胴体を分けて、調理用のハサミを使って殻を剥いていきます。

爪のお肉もしっかり取り出したのですが、なんだか小さくなってしまいましたね。これっぽっちに2千円、、、。考えるな私。(殻はお出汁をとってお味噌汁にしました。超美味しかったです。)

崩れてしまった身は包丁で叩いて海老団子に。

そして衣をつけて油で揚げていきます。

卵と玉ねぎでタルタルソースを作って、

お皿に頭と一緒に盛り付ければ完成です!

頭の存在感が凄すぎます(笑)

ラーメンはちょっと太麺だけど、それなりの見た目になっていて嬉しい!

さっそくいただきます。

ズルズルっと啜ると、それは間違いなくラーメン!自分で麺から作ったなんてなんだか、ちょっと感動です。

南極でこれ食べたら美味しいだろうなぁ。

そして海老フライ!大きくてお箸で持ち上げるのが難しい。

ガブッとかぶりついて驚きました!「肉厚ーー!!」

ぎっしり詰まった身の弾力が最高です。

先ほど「これっぽっちになってしまった」などと書きましたが訂正です。ギュギュっと濃縮されてます。

手作りラーメンをすするのも、巨大エビフライにかぶりつくのも、なんだかとっても楽しかったです。

美味しいご飯を食べることは、私にとっても毎日の楽しみの一つですが、

過酷な環境下では、食事は1日のうちの大事なイベントになるのだろうと思います。食事を単なる栄養補給ではなく、楽しみの一つにすることが出来る「料理」ってなんて素敵なんでしょう!

ごちそうさまでした!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
堺雅人、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、豊原功補、西田尚美、古舘寛治、小浜正寛、黒田大輔、小野花梨、小出早織、宇梶剛士、嶋田久作

【スタッフ】
監督・脚本:沖田修一
原作:西村淳『面白南極料理人』『面白南極料理人 笑う食卓』
音楽:阿部義晴
配給:東京テアトル

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』
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