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第61回:『アメリ』|ささやかな楽しみはクリームブリュレのおこげを崩すこと!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

 

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『アメリ』(2001

今回私が選んだのは「アメリ」お洒落でユーモアに溢れ、ちょっと不思議な雰囲気を持った映画です。私はこの映画に登場するクリームブリュレに長年憧れていました!正確に言うならば、クリームブリュレのおこげをスプーンで割るという行為に憧れを抱いていたのです。ほんのワンシーンしか登場しないクリームブリュレですが、この映画を観た人で私と同じ憧れを抱いた人は少なくないはず!

「アメリ」は2001年のフランス映画で監督はジャン=ピエール・ジュネ。映画をもとにしたミュージカルもブロードウェイなどで上演され、日本でも2018年に渡辺麻友さんを主演にミュージカル化されました。

物語の舞台は、パリのモンマルトル。そして、そこに住む22歳の女性アメリが主人公です。アメリは子供の頃に心臓病と勘違いされたことから学校には通わず孤独な幼少期を過ごしました。大人になりカフェで働き始めたアメリは平穏に暮らしていましたが、ある日アパートの壁の中から、前の住人が子供の頃に隠したであろうお菓子の空き缶を見つけます。思い出の詰まったその缶を持ち主にそっと返すことに成功したアメリは、人を幸せにすることの楽しさに目覚め、見方によってはお節介とも言えるような行動をたくさん起こしつつも、人を幸せにしていきます。そんな中、ニノという青年に恋をしたアメリ。ストレートにアタックすることが出来ず苦戦する彼女は、自分も幸せにすることが出来るのか?
そんなお話です。

全体を通してとってもお洒落な映画。緑がかったような画面に赤色が意識的に使われていて、アメリの赤い内装のお部屋や、洋服は真似してみたくなりました!アメリ役のオドレイ・トトゥは大きな目が本当に綺麗で、個性的なおかっぱ風ヘアも、パリの街並みの中では芸術作品のようでした(髪型は似合う気がしないので真似できません)。アメリの働くカフェ、「カフェ・デ・ドゥ・ムーラン」はセットではなくパリに実際にあるカフェです。他にもパリ市内のロケ地が沢山の映画なので、パリに行くことがあれば是非ともロケ地巡りをしたいです。特にサン・マルタン運河でアメリのように水切りをしてみたい!

この映画のお洒落な所は目に見えるものだけではありません。

冒頭にナレーションによる登場人物の紹介があるのですが、普通の紹介ではなく、その人の好きなものと嫌いなものを教えてくれます。負けて泣くスポーツ選手が好きとか、水着が張りつく感じが嫌いとか、共感できるけどあえて人に言ったことがないような絶妙なところを突いてくるので、とても面白いです。そしてその、人に言うほどでもない秘かな好き嫌いから、なんとなく登場人物の人となりが分かるからさらに面白いんです。例えば、カフェの常連のストーカーもどきの男が唯一好きなのは、梱包材のプチプチを潰すこと。。。急に人間味を感じられるから不思議です。

アメリが恋したニノという青年の楽しみは、捨てられた証明写真を集めて修復し、コレクションすること。これは本当に楽しそうでワクワクしちゃいました!私にもこんな秘めた楽しみがあったらいいのに!と羨ましく思います。知らない人の写真を集めるなんて見方によっては気持ち悪い行為ですが、この映画に出てくる人はみんな少しづつ変わり者なので全然気になりません。むしろ皆どこか変わっているから愛せるし、変わっていることが普通なんだなぁ….なんて思いました。

アメリは今まで人とのコミュニケーションが少なかったからか、ニノにもなかなか素直にアタックできません。が、孤独な幼少期に培った想像力はすさまじく、アプローチもめちゃくちゃ回りくどいけど、とってもユーモラスです。チャーミングでとっても楽しいシーンですが、肝心の姿は表さず、メモやメッセージで次々に指示を出すさまは誘拐犯のよう。誰かを幸せにするお節介をした時も、決して自分の仕業だとは悟られない方法をとっていて、誰かと正面から向き合ったコミュニケーションをとるのを避け続けます。そんな彼女に隣人のおじいちゃんが送った背中を押す言葉がとても良かったです。あと一歩の勇気が出ない人に勇気をくれる名言でした。

最後に個人的にとっても怖かったシーンを紹介します。それは部下をいじめる八百屋の店主にアメリが仕返しをするシーン。店主の家に不法侵入し、ドアノブを表と裏で付け替えたり、靴を同じデザインのサイズ違いにこっそり変えておいたり、歯磨き粉のチューブを靴磨きに変えて置いたり、、、ちょっとした違和感がいくつも重なる恐怖を感じました。みみっちい嫌がらせばかりですがもし、現実でやられたら精神的におかしくなってしまいそう!映画を観ながら笑っていましたが、ぞっとしたシーンでもあります。

ちょっと(かなり?)やりすぎですが、そこが彼女の魅力ということにしておきましょう!

さて、クリームブリュレがどこに出てきたかというと、アメリの、人に言うほどではない好き嫌いの「好きな事」として登場しました。「おこげを崩すのが好き」だそうです。この映画をはじめてみた時には、クリームブリュレなんて食べたことなかったのですが、私も無性におこげを割りたくなりました。

今回は、そんなクリームブリュレを作ります!

まずは下のカスタードプディングから。

卵黄に砂糖を加え、よく混ぜます。

お鍋に牛乳と生クリームを合わせ、温めます。

温めたクリームを、卵黄のボウルに少しずつ入れて、その都度よく混ぜます!

バニラエッセンスを加えたら、ココットに注ぎ入れ、お湯を張ったバットに並べ、そのままオーブンでじっくりと蒸しながら焼いていきます。

焼きあがったら冷まして、いよいよおこげ作り。

プディングの上にグラニュー糖を敷き詰めます。本来はここからガスバーナーで表面だけ焼いていくのですが、バーナーがないので、トースターで焼いてみました。

が、上手くいかず。

砂糖が溶けきる前に焦げてきて、なんともひどい見た目に。(笑)悔しいので上だけ剥がしてリベンジです。
今度はフライパンに砂糖と少量の水を熱し、溶けて飴色になったらプディングの上にかけます。

一度おこげを剥した跡が分かりますが、今度はちゃんとパリパリになったので満足です!

憧れたようにスプーンでコンコンと軽くたたいておこげを割り、下のプディングと一緒にいただきます。

甘くて香ばしいおこげと、普通のプリンよりも濃厚でトロトロなプディングが最高の組み合わせ!プリンというよりクリームに近いような滑らかな舌触りと、口の中でバリバリッと割れるおこげの差も良いですね!

おこげを割るのはやっぱり楽しかったです!
アメリの、ささやかな楽しみを見つける能力を見習いながら、美味しく楽しくいただきました。

ごちそうさまです!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ

【スタッフ】
監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ
ナレーター:アンドレ・デュソリエ

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/

 

※瀬田ミナコが出演中の共感シアターのアーカイブ動画はこちら!