第41回:『釣りバカ日誌』|食べることが魚の供養。ハマちゃんの教えに従い、丸ごと使ったイカ料理!【瀬田ミナコのシネまんぷく】
共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!
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■今回の映画:『釣りバカ日誌』(1988)
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皆さんは、2021年になって、何の映画を観ましたか?私、瀬田ミナコの今年一本目の映画は、、、「釣りバカ日誌」でした!
というのも、新年なのでお正月らしい映画を観たいと思い、検索したところ出てきたうちの一つが「釣りバカ日誌」でした。昔は毎年お正月に劇場公開される「お正月映画」だったんですね!誰もが知ってるこのタイトルですが、私は一度も見たことがありませんでした。シリーズで作品数の多いタイトルって観るのにちょっとだけ勇気がいります(笑)
いざ!第一作目を観てみると、お正月にぴったりな、明るくて笑顔になれる作品でした!この作品をチョイスしてよかったです。笑って気持ちのいい一年の初めになりました!物語の主人公は、西田敏行さん演じるハマちゃんこと浜崎伝助。鈴木建設という会社に務めるサラリーマンです。
釣りが大好きなハマちゃんは東京本社への転勤を命じられるも、乗り気ではありませんでしたが、東京湾でも釣りはできる!と思い直し、妻の「みち子さん」と共に東京湾の船宿のすぐ近くに越してきます。ハマちゃんはある日、お昼の定食屋で三國連太郎さん演じる一人のおじさんと仲良くなります。ハマちゃんが「スーさん」と呼ぶそのおじさんは、なんだか難しい顔をした人で、スーさんに釣りの経験がないということを知ったハマちゃんは、彼を釣りに誘います。
最初こそ戸惑うスーさんでしたが、釣りの魅力を知り、ハマちゃん夫妻との交流も楽しむようになります。が、実はスーさんこそが、鈴木建設の社長、鈴木一之助だったのです。まさか自分の会社の社長とは知らずにスーさんに接するハマちゃんと、社長の時と釣りの時のギャップの激しいスーさんがとっても面白い映画です!
西田敏行さんがとっても若くてびっくりしました!そりゃそうですよね。1988年の映画ですもんね!そんな西田さんが演じるハマちゃんのキャラクターがとても愉快で、あっという間に釣りバカ日誌の面白さに引き込まれます。出世欲もなく、朝から釣りに出ていて会社は遅刻気味、スーツもあんまり似合わないし、釣り以外の事にはかなりルーズ。「釣りバカ」という言葉が本当にぴったり。だけどいつもニコニコ上機嫌で、周りの人とともすぐに仲良くなれる人の良さが素敵でした!私もハマちゃんと友達になりたいなぁ。
妻のみち子さんとラブラブなのも、観ていて笑顔になれるポイントです。今でいうバカップル、くらいラブラブでいちゃこらしてるんですが、あんまりにも幸せそうなのでいっそ清々しい!そしてやっぱりなんだか面白い、そんな夫婦です。夜の夫婦の営みシーンは、黒字に白文字で大きく「合体!」と表現されていてびっくりしたし、笑っちゃいました(笑)そんな表現ありか!でもこの作品にはもうこの表現以外しっくりこないですね。急に真面目な濡れ場が出てきたらなんか困ります(笑)
その妻のみち子さんがまたいい女なんですよね~。さすがハマちゃんの奥さん!彼女もいつでもニコニコ優しくて、周りをハッピーにしてくれる人です!夫の会社の社長相手に、「バイバ~イ!!」と最高にフレンドリーな挨拶をする姿が可愛かったです。だからこそ、社長だとバレてしまった時のスーさんの申し訳ない気持ちがよく分かりました。こんないい人たちを騙すみたいになってしまったら苦しいですよね。ハマちゃん夫婦に距離を置かれてしまった後も、何とかして関係を取り戻せないものかと必死な姿が可哀そうでした。
恥ずかしながら、三國連太郎さんの出ている映画を初めてちゃんと見たのですが、想像の何倍も笑顔が可愛かったです!魚が釣れた時の無邪気な顔が印象的で、スーさんの笑顔をもっと見たい!この人には幸せになってもらいたい!と思いました。そして何より、社長のとしての振る舞いと「スーさん」の時との雰囲気のギャップが最高です。社長の時は威厳に満ち溢れているのに、なぜか「スーさん」の時は腰が低く、頼りない感じで、ハマちゃん夫婦には「定年のおじいちゃん」と思われるほどです。ハマちゃんが自分の会社の社員と知り、さらにハマちゃんの社員としての評価(もちろん高くはない)を聞いた時の複雑な気持ちの表現が絶妙でした!
物語のラストは、ハマちゃんがもともと勤めていた高松支店へと帰るシーンです。そもそも東京本社への転勤自体が手違いだったんです。が、スーさんという釣りの相棒に出会えたのだから、意味のある転勤だったと思います!
この映画で意外だったのが、想像よりも釣りのシーンが少なかったことです。題名からして、ずーっと釣りのシーンだとばっかり思っていたので。(笑)シリーズの他の作品ではどうか分かりませんが、少なくとも今作は魚釣りに詳しくない私も十分に楽しめました!映画を観て、釣りをやってみたくなりましたが、、一人で始めるには難しいかも!?作中でも、初心者のスーさんは釣り具の使い方や、リールを巻く速さなど、全然わかっていませんでした。釣り船での暗黙のルールとかもあったので教えてくれる人がいないと大変ですね。そもそも私は餌にする虫を触れない、、、誰かハマちゃんみたいに師匠になってくれる人いませんかね!?
私にとってとても魅力的だったのは、自分で釣った魚を食べるシーンです!狩りの喜び?でしょうか。やっぱり自分が釣った魚って、スーパーで買うよりも美味しいんじゃないかと思います。スーさんの場合はハマちゃんが焼いてくれたり、みち子さんがフライにしてくれたりするんですが、私だったら料理も自分でやりたいなぁなんて思いながら観ていました。
さて、ハマちゃんとスーさんが出会ったのはランチタイムの定食屋さんでした。食事の終わったスーさんのお皿の上に、まだ身のついている魚が乗っているのに気づき、思わずハマちゃんが声をかけたのが始まりです。その時ハマちゃんが言っていたのが「魚だって海で泳いでたのを無理に連れてきたんだから、きちんと食べてやらなきゃ可哀そう。食べてやるのが魚の供養」という言葉です。その言葉を聞いて、自分が何かに食べられてしまう姿を想像しました。。たしかに途中で食べ残されたら気分悪いですね!どうせ食い殺されるなら、綺麗に全部食べて、あー美味しかった!って思われたほうがいいに決まってる。私も今度からもっと綺麗に食べます!
でも、自分の社長に対して、いや、社長だと知らないとしても、たまたま向かいに座った人に対していきなり説教じみた事言ってますよね。さらにこの後、ハマちゃんは人付き合いに関しても勝手にアドバイスし始めます。文字にすると、ちょっと嫌な奴なんですが、ここがハマちゃんのすごい所です!まったく嫌味がないんです!なんだかおもしろい人だな~と思ってつい話を聞いていたくなります。ハマちゃんのペースに飲まれていくスーさんに共感しました。
さあ、ハマちゃんの「魚の供養」の話に基づき、今回はイカを丸ごと使って料理したいと思います!(まるごと!と書いたのにワタの部分は使えませんでした。まだまだですね。ハマちゃん、イカ、ごめん)
まず一品目はイカの丸ごと煮です!
はじめて捌くので、ネットでさばき方を検索して恐る恐る進めます。海の幸は切り身で購入する派なので、捌くこと自体ドキドキです。
胴の隙間に指を入れて内臓をはがすのですが、とぅるんっとしていて気持ち悪い、、ひぃぃ~
そして胴から内臓を引き抜く!のですが、これ本当に引っ張っていいの??飛び散らない??と心配になります。
思い切って力を入れて引き抜くと、ズルっと出てきました!
なんだか思ったよりもグロテスクじゃないかも?
それよりギョロっとした目のほうがダメでした、、そんな目で見ないで~やはり目が合うと「命」を食べてるんだな、と感じます。
そうしたら胴の中は水で綺麗に洗い軟骨も引き抜いておきます。げそは内臓から切り離し、塩を振り、固い吸盤を爪で剥いでいきます。
ここまで行けば下ごしらえはOK!
げそを細かく切って、ニンジン、豆腐と一緒に炒めます。醤油、砂糖など調味料を加え汁気がなくなったら溶き卵を加え、混ぜながら火を入れてフワフワにします。この具材をイカの胴の部分に詰め込んでいきます。
最後に楊枝で口を閉じて、醤油、砂糖、みりん、酒で甘辛く煮ていき完成です!
二品目は、土鍋で作るイカ飯です。
同じように捌いて下ごしらえしますが、今度は皮もむきます。キッチンペーパーを使ってしっかりつかんだら豪快に剥きます!
皮をむくと、私の知っているイカの姿になりました!
げそと胴の部分とえんぺらを一口大に切り、お米と調味料と一緒に炊いていきます。
火が入るとだんだんイカのいい香りがしてきます!
水分がなくなったら、少し蒸らして完成です!
土鍋の蓋を開けた瞬間の炊き立てご飯の湯気がたまりません!ついでに大葉と胡麻をトッピング!
いかがでしょうか!イカづくし!少しだけイカそうめんも作りました。
ちゃんと料理になってよかった。いつもより達成感があります、、!!
イカのまるごと煮は、甘辛くっておつまみにもぴったりなお味!イカの食感も楽しめます。
イカ飯はちょっとおこげができていて、香ばしいです。あっさりめな味付けですが、香ばしさとイカのいい香りがしっかりしているので、これだけで何杯も食べれちゃいそうです。
ついでに作ったイカそうめんもクリーミーで、想像よりずっとおいしかったです。自分でさばいた達成感がいいスパイスになっているのかも!?
切り身で買ってきてしまうと、食材として見てしまうけど、捌いて料理していくと生き物を食べていることを実感しました。たまには捌いて料理することも大事ですね!
ハマちゃんの教えを忘れずに、これからも美味しく食べていきます!
ごちそうさまでした。
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今回取り上げた作品はコチラ!
【キャスト】
西田敏行、三國連太郎、石田えり
【スタッフ】
監督:栗山富夫
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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~ 2021年 春より全国順次公開
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta
『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/
※瀬田ミナコが出演中の「KIQ STATION」アーカイブ動画はこちら!