第29回:『海の上のピアニスト イタリア完全版』|どこをとっても名場面。心に残る素敵な物語をカクテルで表現!【瀬田ミナコのシネまんぷく】
共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!
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■今回の映画:『海の上のピアニスト イタリア完全版』(1998)
1998年のイタリアの映画である「海の上のピアニスト」が今年、4Kデジタル修復版とイタリア完全版として復活上映されるということで、イタリア完全版を観に劇場へ行ってきました。
私が初めてこの映画を観たのは高校生の頃で、当時のピアノの先生がお勧めしてくれた思い出の作品です。 そんな大好きな作品が、イタリア完全版として日本初公開の40分以上のシーンが追加されて上映されるということで実はかなり前から楽しみにしていました。
感動もするし切なくもなる素敵なお話なのですが、ユーモアのあるセリフも多く楽しい気持ちで観ることのできる映画です!エンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしく、迫力のある演奏シーンも見どころです。
大西洋を往復する豪華客船の中で生まれ、生涯一度もその船から降りることのなかったひとりのピアニストの物語です。彼の名前は「ダニー・ブードマン・T.D.レモン・1900」、通称1900(ナインティーン・ハンドレッド)。天才的なピアノの才能をもつ彼の、音楽とその人生を描いています。
1900は生まれてすぐに船の中に置き去りにされ、船の機関部で働く労働者のダニー・ブートマンに拾われ息子として育てられることになります。イタリア完全版ではこの1900の幼少期のシーンが沢山追加されていました!大人になった1900は飄々としていてとっても魅力的な人物なのですが、そんな彼がどのようにして出来上がったのかがより詳しく知れておもしろかったです。
そして、船の上でこっそりと産み落とされ捨てられてしまったために、本当の両親も分からず戸籍や存在を証明するものが一切ない彼の、不安がより深く描かれていたので、前に見た時よりも心に来るものがありました!イタリア完全版は約三時間の長編ですが、やはり観に行って良かったです!
このお話は、1900の親友であるトランペット吹きのマックスが、1900のエピソードを思い出しながら語るという形で進んでいきます。まず一つ目の名シーンはマックスと1900の出会いのシーンです。初めての船酔いに苦しむマックスを、1900が助けます。その方法は、「ピアノごとダンス」。嵐で激しく揺れる船のダンスホールで、ストッパーを外したグランドピアノに座り、ピアノごと波に揺られながら演奏を楽しむものでした。 ダンスホール中を踊るように優雅に動き回るピアノと、軽快な音楽が最高に楽しいワンシーンです!
次の見せ場が、ピアノ対決です。1900の噂を聞きつけた有名なジャズピアニストが、メディアを引き連れ勝負を挑んできます。対決のピアノ演奏は実に盛り上がる演出で、たばこを使って凄さを表すところは特にかっこいいです!(あまりの演奏に熱を帯びたピアノの弦で火をつけます。笑)交互にピアノを弾くだけなんですが、だれもが勝者を確信する圧巻の演奏でした。
ピアノ対決により1900の噂は陸にも広がり始め、レコード会社が契約しにやってきます。その録音の最中に、船室の窓から見える美しい女性に恋をした1900は、愛の詰まった素敵な曲を奏でます。レコーディング中に視界に入るその女性にどんどん惹かれていき、音色もどんどん深く甘くなっていく様子がとても印象的でした。1900にとっては初恋だったんでしょうか、憧れや戸惑いや、胸が締め付けられるような切なさも感じられる名曲です。作中では題名のない幻の一曲でしたが一応「愛を奏でて」という曲です。数年後、その女性に会いに行こうと1900は生まれて初めて船を降りる決意をします。皆に別れを告げ陸地につながるタラップを降りていき、初めての地面まであと数歩のところでピタッと止まる足。何度見ても名場面でした。
そして私が好きなシーンがもう一つあります。中盤くらいに出てくる三等客のおじさんのエピソードです。おじさんは1900に、海の声を聞いたという話をします。ずっと海にいるのに海の声なんて聞いたことのない1900は、その話に釘付けになります。海の声の話があったからこそ1900は船を降りてみたかったし、その話を聞いたからこそ船を降りなかったような気もするのです。
物語のラストは、月日が流れ戦争でボロボロになってしまった豪華客船の爆破シーンです。まだ1900が船内に残っていることを確信したマックスは、爆破を待ってもらって1900を探し回ります。二人が再会した時、1900は船を降りなかった理由を話すのですが、今回イタリア完全版を観て、より心に残るワンシーンになりました。1900にとっての世界がどんなものだったか、音楽と生きる美しい生き方、マックスとの友情も詰まった忘れられないラストです。
今回鑑賞したイタリア完全版は上映時間も長く、作品の持つ雰囲気も穏やかな海のようでゆったりしてるんですが、どこをとっても名場面ばかりなので全然長く感じませんでした。ここで作中出てくる名言をひとつ。「なにかいい物語があって、それを語る相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない。」まさにそんな映画でした!
さて、今回は海の上のピアニストをイメージして何を作ろうか悩みました!1900の名前に「レモン」が入っているのがお洒落でかっこよくて良いぁと前から思っていて、レモンを使った食べ物を探した結果、、、今回はカクテルを作ることにしました!
「ブルーラグーン」という綺麗な青色と、レモン果汁を使ったカクテルです!
お家で楽しむということで、作り方とかグラスとか本格的ではありませんがお付き合いください!!
まずはレモン果汁を絞ります。 飾り用のレモンも切って用意しておきます!
ブルーキュラソーという青いリキュールと、ウォッカ、レモン果汁をシェイクします。シェイカーなんて持ってなかったので、プロテインのシェイカーで、、なんだかごめんなさい、、(笑
しっかり混ざったら、氷を入れたグラスに注ぎ、レモンを飾って完成です!
豪華客船で聞くジャズって聞くとやはりお洒落なイメージなので、カクテルで表現できたのではないかと思います!
おまけの飾りに、作中に登場する割れたレコードをイメージした飴も作ってみました。
こちらは砂糖と水と着色料を煮詰めて薄く伸ばしただけの簡単べっ甲飴です!
一口飲んでみると、、、とっても爽やか!!と同時に強めのアルコールで喉がふわっと温かく感じます!レモンだけでなく、ブルーキュラソーのオレンジの香りもほんのり香って美味しいです!でも私には少しお酒が強すぎたかな?
飾り目的で作った飴が、チビチビ飲むお供に役立ちました(#^^#)
ソーダなどで割って楽しむこともできるカクテルみたいなので残りはそうやって飲もうと思います。
お酒を飲みながら映画を観たり、映画の曲を弾いたり、、そんな楽しみ方も素敵ですよね!
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今回取り上げた作品はコチラ!
【キャスト】
ティム・ロス、プルイット・テイラー・ピンス
【スタッフ】
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽:エンニオ・モリコーネ
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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
今後の公開予定作品:映画「種まく旅人〜華蓮(ハス)のかがやき〜」
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta
『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/
※瀬田ミナコが出演中の「KIQ STATION」アーカイブ動画はこちら!
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