第27回:『ルパン三世 カリオストロの城』|異国の大衆食堂でミートボールスパゲティを食べたい!【瀬田ミナコのシネまんぷく】
共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!
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■今回の映画:『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)
モンキー・パンチ原作のアニメ、ルパン三世の劇場版映画です。劇場版としては『ルパン三世 ルパンvs複製人間』に続く第二作目です。宮崎駿監督の映画初監督作品でもあります。私が初めてこの作品を見たのは、いつだったんだろう?物心ついた時にはすでに大好きな映画でした。ルパン三世の映画で初めて見たのがこのカリオストロの城だったと思います。
お話の舞台となるのはカリオストロ公国という小さな独立国家です。いつものように大金を盗み出したルパンと仲間の次元ですが、それは世界の歴史の裏側で流通していたと言われる、伝説の偽札「ゴート札」でした。偽札をつかまされたルパンはゴート札の真相を暴くべく、その出処と噂されるカリオストロ公国へと向かいます。
ルパンと次元は道中、怪しげなスーツの集団に追われる少女、クラリスに出会い、逃亡を手助けします。この冒頭のカーチェイスシーンが最高です!真っ白なウェディングドレスを着た少女がカーチェイスを繰り広げ、ルパンの改造車もその性能を発揮します。ルパン三世のテーマ曲も流れ最初の盛り上がりポイントです!
助けた少女クラリスは、実は亡くなった大公夫妻の一人娘であり、摂政カリオストロ伯爵から意に反した政略結婚を迫られていました。 今作のヒロインであるクラリスが本当に優しくて健気ないい子で、ヒロインの中のヒロインという感じです。本人は覚えていませんが幼いころにルパンに会ったことがあり、その時の優しい行いが今作のルパンの行動理由に大きく関係しています。 クラリスの声を演じたのは島本須美さんで、「風の谷のナウシカ」のナウシカ役も務めていました!あの素敵な声で「おじさま!」と呼ばれてみたいもんです。
ルパンはクラリスを自由にしてあげるために伯爵の城へと潜り込みますが、カリオストロ家の闇は深く、ゴート札の製造にとどまらず、暗殺集団を擁しており、国の秘密を探るものは生きては帰さないという恐ろしい手段で国を支えてきた一族だったのです。元は大公一族と一つの家系であった伯爵は、先祖の財宝を手に入れるためにクラリスと結婚しようと無理やり結婚式をあげるのでした。
大まかにいうと、ルパンは伯爵からクラリスを助け出し、カリオストロ一族の財宝の謎と、ゴート札の真相を暴くことができるのか! ということなんですが、三つの要素がうまく絡み合い、とても見ごたえのあるストーリー展開です!ルパン一味である次元大介、石川五右衛門はもちろん、峰不二子と銭形警部もしっかり出てくるので、おなじみのキャラクターたちを宮崎駿監督の演出で楽しむことができます。
全体を通して、おちゃらけたシーンと真面目でかっこいいシーンとのメリハリがすごくて、ルパンというキャラクターの持つ魅力が際立っていました。笑ってしまうシーンも多く、公開当時に劇場で観たという父は「このシーンはお客さんみんな爆笑だったなぁ」とつぶやいていました。ちなみにルパンが屋根の上をぴょーんぴょーんと走っていくシーンです!ほかにも滝を泳いで登ったり、お尻に火がついてロケットのように空を飛んだり、アニメならではのコミカルさが面白いです! 笑ったりドキドキしたりしているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまう、そんな作品です。
そしてクライマックスでは、またドキドキワクワクするアクションシーンがあるんです!時計塔の機関部でのカリオストロ伯爵との一騎打ちは、歯車の向きや大きさを利用したアクションになっており、とても面白いです!大きな時計針の上でのやり取りも緊張感があり、クライマックスにふさわしいドキドキでした!
ルパンといえば女たらしなイメージがあるのですが(そこも魅力)、今作に関してはルパンとクラリスの年齢が離れていて、変にいやらしくないところが良かったです。クラリスが幽閉されている塔の中での二人のシーンは、月明かりの中「あなたを攫いに来ました」というロマンチックとも言えるシーンなのですが、男女である前に人として惹かれあう様子が、静かに綺麗に描かれていてお気に入りの素敵なシーンです。
私がこのお話の中でもう一つ良いなぁと思うのが、ルパンと銭形警部との関係です。ルパンを捕まえるために銭形もカリオストロ公国にやってきますが、カリオストロ家の闇に触れ、その犯罪を暴くためルパンと一時的に手を組むことになります!今まで追いかけ、追われる関係だったのに、ひとたび協力すれば息ぴったりな二人。さらにルパンがケガをした時にはオートジャイロに乗って助けに来ます。別れ際には「俺が捕まえるまで死ぬなよ!」と言っていて、いいコンビだなぁと思いました。
銭形といえば映画のラストの一言も有名ですよね!「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」というセリフは何度聞いてもぐっと来ます!切なそうな表情だったクラリスが途端に嬉しそうになり「はい」と答えていて、この一言があるとないとでは大違いでした。
ちょっと話がそれますが、作中で銭形を含めた日本の警察がカップ麺をすするシーンが出てきます。警察とカップ麺といえば1972年のあさま山荘事件ですが、カリオストロの城は1979年に公開されているので、インスパイアなのかなぁとも思いました。
主題歌の「炎のたからもの」も耳に残る良い曲です。いつも映画を観終わった後しばらく口ずさんでしまいます。主題歌だけではなく、BGMや効果音のタイミングがとてもいいんです。効果音なんて昭和を連想するちょっと古臭いな感じなんですが、ここだ!というところに入ってくるのですごく気持ちよく、映画を盛り上げてくれます。 最後の方で、ルパン達のことを「なんと気持のよい連中だ」と表現するセリフが出てくるんですが、まさにそんな気持ちで映画が終わります!あ~楽しかった!と大満足で見終えること間違いなしの名作でした。
さてさて、今回の料理はルパンと次元が街のレストランで食べていたミートボールスパゲティです!ちょっとしか出てこないんですが、なんとも美味しそうなパスタで、二人で取り合っている姿は印象的です。
まずはミートボールから作っていきたいと思います。
玉ねぎをみじん切りにしたらフライパンで軽く炒めておきます。
透き通って少し色がついてきたら、ひき肉と卵、パン粉と調味料と一緒にこねていきます。
お肉がまとまってきたら、空気を抜きながら一口サイズに丸めていきます。
多めの油で表面に焼き色を付けておきます。すでにハンバーグっぽいいい香りがします!
そしてソースづくりです。ミートボールを焼いた油にニンニクを入れ香りを移したら、トマト缶をひと箱とコンソメと塩コショウを入れよく混ぜ、先ほどのミートボールも加え、弱火で煮詰めていきます。
この段階でですね、、、めっちゃトマトが跳ねるんですよ、、服装を間違えました(笑
シミ取りが大変だったので、もし作る際はエプロン着用をお勧めします!
スパゲティを茹でたら麺をソースのフライパンに入れ、火をつけながら絡めていきます!
最後にお好みで粉チーズとパセリを少々散らして、、
完成!!
映画のように大皿に2人前をたっぷり乗せてみました。こんもりと盛られたビジュアルが美味しそう!トマトとニンニクの香りがいい感じです。
そして、ソースを煮詰めている間におまけをもう一品。
そう、伯爵の朝食シーンに登場する卵です!ゆで卵をスタンドにおきスプーンでチミチミと食べる姿はどうもいけすかない!のに、なぜかとても憧れたシーンです。
温泉卵に近い半熟のゆで卵を作ったら、頑張って上のほうだけ殻をむきます。それだけ!
それ専用のエッグカッターなるものも売っているそうなので、同じようにあのシーンに憧れた方はぜひ検索してみてください!
それでは実食タイムです!
スパゲティは、ソース自体はシンプルなトマトソースなので案外あっさりめですが、ミートボール!!ミートボールが素晴らしい!お肉のうまみと玉ねぎの甘さがしっかりしていて美味しいです。トマトソースとの相性抜群です!
普通のミートソースと違い、お肉が全体にからんでないのでトマトのさわやかな美味しさもしっかり感じられて、ボリューミーなのに重すぎない美味しさです!
卵も見た目はあれですが、中身がとろんとしていて、スプーンですくって食べるの楽しかったです!!(お味は当たり前に卵そのものでした)裕福になった気分!
ごちそうさまでした!
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今回取り上げた作品はコチラ!
【キャスト】
山田康雄、小林清志、増山江威子、井上真樹夫、納谷悟朗、島本須美、石田太郎
【スタッフ】
原作:モンキー・パンチ
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿、山崎晴哉
音楽:大野雄二
作画監督:大塚康生
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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
今後の公開予定作品:映画「種まく旅人〜華蓮(ハス)のかがやき〜」
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta
『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/
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