第24回:『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』|キューバサンドの存在感がすごい!一度は食べてみたくなる!【瀬田ミナコのシネまんぷく】
共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!
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■今回の映画:『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014)
「美味しい料理の登場するおすすめの映画ありませんか?」と質問したところ、たくさんの人にこの映画を教えてもらいました。これは間違いない!と思い観てみることにしたんですが、、、想像以上でした!すごくお腹が減ります!美味しい食べ物をどうしようもなく食べたくなるので深夜にこの映画を観るのはお勧めしません!!
主人公カールはレストランの料理長で腕は一流。妻とは離婚しており、息子のパーシーとはこまめに会って出かけたり、送り迎えをしているものの、なんだかお互い壁のあるようなそんな関係です。ある日カールのレストランに有名な料理の評論家が来るということで、気合を入れた新メニューを創作しようとしていたのですが、お店のオーナーからは客の求める定番メニューを出すように言われ、仕方なく言われたとおりに作ったところ、評論家から酷い低評価を受けてしまいます。その酷い言い様に傷つき腹を立てたカールはつい、不慣れなSNSで暴言を口にしてしまいます。そして再度お店に訪れた評論家に怒鳴り散らす動画が拡散してしまい、カールは職も社会的信用もすべてなくしてしまうのでした。
元妻イネズはそんなカールを心配し、故郷のマイアミへカールと夏休み中のパーシーを連れていきます。そしてカールはそこで食べたキューバサンドのおいしさから、移動トラックでサンドを販売することにするのです。 パーシーと、レストラン時代の仲間のマーティンを乗せて三人のフードトラック旅が始まります!
ジョン・ファヴローが監督・主演・脚本・製作を務めた正にジョン・ファヴローの映画です。『アイアンマン』シリーズやフルCGの『ライオンキング』の監督ですね!役者もやる方だとは知らなかったです。
そしてとにかく美味しい映画です!最初から最後までいろんな種類の料理が出てきます。試作品の創作料理は美味しそうなだけではなく、とってもお洒落ですし、息子に作ってあげる何気ないチーズトーストまで最高においしそうで、もし自分の家族がシェフだったら毎日こんなおいしいもの食べられるのかなぁと、とっても羨ましかったです。
そして何といっても一番美味しそうなのが、フードトラックで販売するキューバサンドです!(今回の再現する料理はこのキューバサンドです!)カールはこのサンドとともにどん底から再スタートし、息子との関係性も変わっていきます。キューバサンドは再スタートの相棒のような料理で、出てくる食べ物というより、もはや登場人物ですね。(笑
料理がおいしそうに描けている映画に共通する事かもしれませんが、出来上がった料理がどう見えるかよりも、作っている調理シーンが見事です。どんな食材を使っているのか、下味をつける過程、包丁の音やフライパンで焼ける音、など味を想像させてくれます。
そして私が個人的に大好きなシーンが、さらにワンステップ前の買い出しシーンです。調理器具や食材を購入していくのって、料理人にとっては武器を装備していくようなものだと思います。アクション映画でも沢山の武器の中からヤバそうなやつを選んだり、銃の弾を込めるシーンってかっこいいしワクワクしますよね!今作は心も温まる優しい映画ですが、アクション映画のそれに近い感覚を覚えました。
息子パーシーとの関係もこの映画の大事なポイントです。 カールはちゃんと息子とコミュニケーションをとっているつもりでいて、実はただ一緒に出掛けているだけでした。パーシーは父親が働いているところを見たがっていましたが、カールはいつも断っていました。しかし、イネズの計らいもあって、フードトラックの仕事をパーシーに手伝ってもらうことになり、親子の関係性が動き出します。
パーシーは、父親の仕事へのこだわりや、熱意をもって取り組む姿をみて、おそらく初めて自分の父親という人間を理解できたんだと思います。カールもパーシーからSNSのことを教えてもらったりして、ようやくお互いが相手のことをちゃんと知っていく時間となりました。 初めてのトラック販売の後、パーシーが一口だけお酒飲むシーンが良かったです。普段ならお酒を飲むなんて許すわけのない父親が、自分を一人の料理人として認めて一口だけ許してくれた喜びが感じられ、すごくいい親子関係だなぁと思いました。 お互い、旅が始まる前とは比べ物にならないほど相手を理解し大切に思っているのが伝わってきます。
もう一つこの映画で素敵だと思ったのが、SNSで痛い目にあったけれど、今度はそのSNSのおかげでフードトラックが繁盛していくところです。SNSの怖いところと、すごく良い使われ方の両方が描かれていて、SNSに疎い世代の人にも観てもらいたいと思いました。 Twitterのマークの青い鳥が、メッセージを乗せて次々に飛び立っていくアニメーションなども加えられていて分かりやすいし、コミカルで可愛いらしいです。
また、作中でもパーシーがカールにSNSの使い方を教えますが、この映画を観た人が同じように子供や孫に「このシーンのこれってどういうこと?」なんて会話が生まれたら素敵だなぁなんて考えました。そして映画のラストは、カールが全てを失うきっかけとなったあの評論家が再登場し、超ハッピーエンドで幕を閉じます。最後までおいしく楽しくハッピーな良い映画でした!
それでは今回は、カールの相棒!?キューバサンドを作りたいと思います!
まずキューバサンドとは、マイアミのご当地料理で、キューバンブレッド(キューバのパン)にハム、ローストポーク、チーズ、ピクルス、マスタードが入っています。そして映画ではローストポークを作る際フルーツたっぷりのジュースに付け込んでいました。これが「モホ・ローストポーク」というやつです。 今回はオレンジジュースをメインに付け込んでいきます!
豚肉にフォークでブスブスと穴をあけたら、塩コショウをすり込んでおきます。
ニンニクスライス、クミン、ローリエ、ローズマリー、ミント、オリーブオイルをオレンジジュースに入れて、お肉も入れちゃいます!すこし揉みこんだら冷蔵庫で一晩漬けこみます。
翌日、お肉を取り出したらフライパンで焼き目を付け、オーブンでじっくり焼いていきます!すでにお肉とハーブたちのいい香りです!
焼きあがったら、スライスしていよいよサンドにしていきます。
ホットプレートでローストポークとハムを軽く焼き、厚さを半分にカットしたフランスパンも並べます。パンにはもれなくバターをたっぷりと!
こんがりしてきたらマスタードを塗り、ローストポーク、ハム、チーズ、ピクルスの順に乗せていきます。パンでサンドしたらプレートに押し付けて焼いていきます。
中のチーズがとろんと溶けてきたら完成です!
押し付けているので案外コンパクトですが、具材やバターの量からしてかなりボリューミーなサンドイッチです。
ガブッとかぶりつくとバターの香りとモホローストポークのうまみが口の中に広がります!これは美味しい!フードトラックで人気が出るのも納得です。なんというか、ビールもってこぉい!という感じ(笑 コーヒーの合いそうな日本のサンドイッチとは別物です。ロストポークはがっつり系なんですが、遠くにオレンジの爽やかさが残っていて、食欲を刺激してくるのに重すぎない絶妙なお味です!!
アップテンポな音楽と、カラフルで美味しそうな料理と、ハッピーな物語のこの映画にピッタリなサンドでした!ごちそうさまでした!
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の瀬田ミナコ的評価は、、、
星3.6!!!
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今回取り上げた作品はコチラ!
【キャスト】
ジョン・ファヴロー、ダスティン・ホフマン、 ほか
【スタッフ】
監督:ジョン・ファヴロー
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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
今後の公開予定作品:映画「種まく旅人〜華蓮(ハス)のかがやき〜」
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta
『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/
※瀬田ミナコが出演中の「KIQ STATION」アーカイブ動画はこちら!
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