MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

第129回(最終回):『幸福の黄色いハンカチ』(1977)|出所後に大衆食堂で飲むビールの味。黙々と食べるカツ丼と醤油ラーメン。幸せの形は様々あれど、これも幸せの一つ!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■今回の映画:『幸福の黄色いハンカチ』(1977)

名残惜しいですが「瀬田ミナコのシネまんぷく」は今回(第129回)で連載終了。

「最終回はどんな映画にしよう」と考えた結果『幸福の黄色いハンカチ』を選びました!

映画メシは高倉健さんが出所後にビールをゴクゴク飲む「あの名シーン」を再現するので、ぜひ最後までご覧ください!

まずは映画の紹介から。

『幸福の黄色いハンカチ』は1977年に公開された山田洋次監督の映画で、ニューヨーク・ポスト紙に掲載されたピート・ハミルのコラム「Going Home」が原作です。

第一回日本アカデミー賞では最優秀作品賞をはじめ監督賞、主演男優賞など六部門で「最優秀」を受賞しました。

武田鉄矢さん演じる花田欽也が失恋をきっかけに車を購入、北海道へ旅に出るところから物語は始まります。北海道で旅の連れ合いを求めて女性に声をかけまくる欽也が出会ったのは、桃井かおりさん演じる朱美でした。欽也と朱美はドライブの途中、高倉健さん演じる島勇作に出会います。行く当ても定まらず、何やら訳ありの勇作を「ついでに」車に乗せる欽也ですが、勇作は実は網走刑務所を出所したばかりの身。「自分を待っていてくれるなら、家の前に黄色いハンカチを掲げておいてくれ」と妻に手紙を出していました。

そんな、出会ったばかりの三人が繰り広げるロードムービーです。

 有名な作品ですが、ちゃんと観るのは初めてでした。

「感動作」というイメージが強かったのですが、予想外にコミカルでテンポも良く、とても観やすく面白い映画でした。

45年前の映画という事で、令和ではセクハラ確定になりそうな台詞がいっぱいで(笑)男女の関係性についての考え方や価値観も今とは全然違うと感じました。しかし不思議と不快に感じる事はなく、ちゃんと共感できるし、ちゃんと面白いと思えるのは凄いところです。

ストーリーや演出が良いのはもちろんの事、登場人物がとても魅力的でした。

皆それぞれ素晴らしい人間ではなくて、性格も全然違う、そんな3人のやりとりは見ていてまったく飽きません。

ちょっとびっくりしたのは欽也のキャラクターです。武田鉄矢さんといえば金八先生のイメージが強かったので、こんなに「みっともない若者」がしっくりくるなんて思いませんでした。

 桃井かおりさんは「内気だけど真の強い女性」をとても自然に演じていて、欽也と朱美の掛け合いが絶妙に可笑しかったです。

そして何より高倉健さん。不器用な男を演じながらも表情が多彩で、あまり大きく顔を動かすことはないのに心の中が伝わってくるので本当に素晴らしい。

強面のイメージだったのに、嬉しそうな顔をした時には「可愛い!」とすら思いました。人気のスターになるには、それだけの理由があるのだと良く分かります。

いよいよ勇作の家に近づき、黄色いハンカチがあるか確かめる直前のシーンでは、やけにタンポポの黄色や看板の黄色が目に入り、非常にドキドキしました。

ラストシーンは有名なのでもちろん知っていますが、黄色が繰り返し目に入ってくるので、緊張感と期待がどんどん膨らんでいきます。やっぱりラストは泣いてしまいますし、全体を通してさすがの演出でした!

古さを感じる部分は多くあるけれど、自信をもってお勧めしたくなる名作です。

それでは連載最後の映画メシに移りたいと思います!

出所してすぐの勇作は飲食店でビールを注文していました。刑期を終えて久々に飲むビール。じっと見つめた後グビグビっとグラスを空にするその一連の動きは、それだけで勇作のこれまでを語る素晴らしい演技でした。

そのあとカツ丼と醤油ラーメンを注文した勇作。「頼みすぎでは?」とも思いますが、よっぽどお腹がすいていたのか、好きなものを注文して食べられる喜びから頼んでしまったのか。

勇作の心と体に染みるカツ丼と醤油ラーメン、そしてビールをいただきたいと思います!

ちなみに飲んでいたのはサッポロラガー、通称「赤星ビール」でした。

という訳で瓶の赤星ビールを購入!

まずはカツ丼から。

豚ロースの筋を切り、塩コショウしたら麺棒で叩いていきます。

小麦粉、溶き卵、パン粉の順番で衣をつけます

油できつね色になるまで揚げていきます。

食べやすい大きさに切ります。つまみ食いしたくなりますね!

タマネギを薄く切ったらお鍋に調味料と水と一緒に入れて煮ていきます。

タマネギが柔らかくなったら先ほどのカツを入れて、溶き卵を加えます。

蓋をして蒸らしたら、ご飯を入れたどんぶりに盛り付け、三つ葉を散らして完成です。

お次は醤油ラーメン。

ネギを切って、ゆで卵を作っておきます。

スープは鶏ガラスープの素と醤油、ニンニクとオイスターソースで作りました。

麺をたっぷりのお湯で茹で、

チャーシュー、ネギ、ゆで卵、メンマをトッピングすれば完成です!

どっちも美味しそう~!

瓶ビールを開けて、グラスに注いでいきます。

街の大衆食堂の良さが詰まったようなこの組み合わせ。なんだか幸せな気持ちになります。(笑)

それではいただきまーす!

まずはもちろん赤星ビールから!

じっと見つめて。

唾を飲み込んでから、勢いよく飲む!

役者の憧れです。

そしてラーメンをズズッと啜れば、喉がまたビールを欲するのでグビッといきます。

カツ丼を食べれば煮汁の染み込んだカツがこれまたビールよく合います。

最高の組み合わせですね!

勇作が望んだように、家で愛する人と一緒に手料理を食べるのも幸せでしょうし、欽也と朱美と一緒に笑いながらカニを食べたのも楽しかったでしょう。

でもこの「ビール、ラーメン、カツ丼」のように大衆食堂で一人で黙々と食べるご飯にも、そこにしかない幸せがあるように感じます。

ごちそうさまでした!

 

名残惜しいところではありますが「瀬田ミナコのシネまんぷく」はこの第129回で連載終了となります。

これまでシネまんぷくを応援していただき、楽しみにしてくださった皆様本当にありがとうございました!

これからも映画の中の美味しそうな食べ物に涎を垂らしながら、時には作ってみたりして、映画を楽しんでいきたいと思います。

皆さんもぜひ、映画の中の食べ物に注目してみてくださいね!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回取り上げた作品はコチラ

『幸福の黄色いハンカチ』(1977)

【キャスト】
高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり

【スタッフ】
原作:ピート・ハミル「黄色いリボン」

監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
配給:松竹
© 1977松竹株式会社

公式サイト:https://www.ghibli.jp/works/howl/

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta
Instagram:https://www.instagram.com/cinemanpuku_minako/

『瀬田ミナコのシネまんぷく』
これまでの連載記事はこちらから!